スポーツ領域でのNFT活用事例
最近のスポーツ領域におけるNFT活用事例についてまとめてみました。ネット上の記事を引用しながら読者がなるべく短時間で情報をインプットできるように整理しています。読みやすさを重視して情報量をあえて絞っているため、詳細が知りたい人は記事内のリンク先の記事を参照したり、ググったりしてください。
1 サッカー
1.1 Sorare
現実の試合の戦績がゲームスコアに反映されるブロックチェーンゲーム。Ethereumのプラットフォームを活用したブロックチェーンテクノロジーが利用されておりゲームを通してお金を稼ぐことができる
Sorareで使用されるカードはNFTで発行され、公式サイトとマーケットプレイスで取引可能
2021年12月22日時点で215のクラブチームとライセンス契約を結んでおり、Jリーグに加盟する全チームも含まれる
リンク : Sorareとは?
1.2 RealFevr
RealFevrは「モーメント」と呼ばれる数秒間のデジタル映像をNFT化したカード。RealFevrのHPで購入可能
ファンタジーゲームのカードとしての使用も可能
プラットホームのブロックチェーン基盤としてBINANCEが開発した独自のブロックチェーンプラットフォームである「BINANCE Smart Chain」を採用。ユーティリティトークンとしてBNBを使用している
RealFevrのNFTマーケットプレイスではBNBをさらにRealFevr独自のトークンであるFEVRに変換する事で、PACKの購入、モーメントの取引、ファンの間でのNFTの借入や融資、ファンタジートークンリーグへの参加などの機能が利用できる
リンク : RealFevrとは?
1.3 浦和レッドダイヤモンズ
浦和レッズはミンカブ・ジ・インフォノイドと2022シーズンからのパートナー契約締結を発表
両社でNFTコンテンツを共同開発、ファン・サポーターへ提供する予定
NFTコンテンツは、デジタル証明書を付与したメモリアルな動画や音声、写真などを販売。またリアルな商品、店頭グッズと連携し添付されたQRコードを介してNFTを取得できる機能開発も行っている
ブロックチェーンについては、イーサリアム基盤のプライベートブロックチェーンを採用
リンク : 「ミンカブ」のニュースリリース
1.4 アビスパ福岡
株式会社フィナンシェが提供するブロックチェーン技術を利用して、アビスパ福岡のファントークンを発行
ファントークンは保有することでチーム運営に関する投票企画への参加や、ホルダー限定のイベントの参加、特典などを受けることが出来る
ファントークンはオーナーやプロジェクトが実施するクラウドファンディングの返礼として、あるいはコミュニティへの貢献度に応じて配布される
ファントークンはフィナンシェが運営するマーケットプレイスでの売買やファン同士でのギフトでの入手も可能
ファントークンはニーズに応じて価格が上下し、保有者が増えるとトークンの価値が高まる可能性もあり、サポーターにとっても初期から応援している証や継続的に応援するモチベーションにも繋がる
2021年にJ1残留を記念してトークン保有者に対してコレクションカードと同デザインのNFTの配布が行われた
リンク : ファントークン販売に関するニュースリリース
1.5 鎌倉インターナショナルFC
OpenSeaにて、NFTコンテンツ「鎌倉デジタルコレクション by 鎌倉インテル」を販売
鎌倉デジタルコレクションとは、鎌倉の名所や人物などに、鎌倉インテルが掲げるビジョン「Club Without Borders」およびロゴテーマである「Evolving Marble」のグラフィックデザインをかけ合わせたデジタルアートコレクション
同コレクションの初期販売および二次販売以降の収益から手数料を差し引いた一部を「鎌倉インテルこども未来基金」を通じて、鎌倉の子どもたちや指導者を対象としたスポーツ教育、国際教育、環境教育の充実に活用
同コレクションの販売開始を記念して、株式会社フィナンシェが運営するブロックチェーン技術を利用したトークンプラットフォーム「FiNANCiE」内にてNFTプレゼント企画を開催
リンク : 鎌倉デジタルコレクションのニュースリリース
2 バスケット
2.1 NBATop Shot
NBA選手の試合でのプレーのハイライト動画をデジタルカード形式のNFTとして所有することができるサービス
NBAと、Dapper Labsによって提供される
利用者はDapper Labsでパッケージを購入するか、マーケットで所有者から直接カードを購入することでカードを手に入れることが可能。
Flowブロックチェーン上で開発されている
リンク : NBA Top Shotとは?
3 格闘技
3.1 RIZIN FIGHTING COLLECTION
トレーディングカードタイプのNFTコレクション。試合のハイライト映像やベストフォトがNFT化
RIZIN FIGHTING COLLECTION限定のコンテンツの提供やリアルなグッズやチケット等を特典とした、RIZINならではの新しいNFTの活用方法を計画
RIZIN FIGHTING COLLECTIONのマーケットプレイスにてユーザー同士の売買が可能
IOSTのブロックチェーン技術が採用
4 野球
4.1 メジャーリーグ Topps MLB NFT
トレーディングカードを製造するアメリカの老舗企業 Topps社が発行するNFT版の野球カード。レアカードの背景やホログラムに動きが加えられるなどデジタルな存在だからこそできる加工を施している
NFTマーケットプレイスで個人間の取引が可能
WAXブロックチェーンを基盤として採用
リンク : Topps MLB NFTとは?
4.2 埼玉西武ライオンズ
パシフィックリーグマーケティングが運営するNFTコンテンツを扱うプラットフォームPLM COLLECTION内で、球団公式NFTコンテンツの販売をするLIONS COLLECTIONを開設
PLM COLLECTIONはコンテンツホルダーによるNFTを活用した販売プラットフォームサービス。将来的にはPLM COLLECTIONで購入したNFTコンテンツを利用者同士で売買できるサービスの展開も視野
LIONS COLLECTIONでは実際に球場で使われた装飾品やパネル、選手の記念品や野球用具、名シーンや球場特有のデジタルコンテンツ(動画)などを販売
4.3 横浜DeNAベイスターズ PLAYBACK9
ブロックチェーン技術によるNFTを活用して開発したデジタルムービーコレクションサービス
試合の名シーンを球団公式のデジタルアイテムとして販売。アルバムから獲得したシーンを閲覧したり、集めたシーンを友達に共有することも可能
デジタルアイテムは特設サイト上で個別に期間限定販売
将来的にユーザー間でのNFTのオンライン売買も可能になる予定
リンク : 株式会社ディー・エヌ・エーのニュースリリース
4.4 パ・リーグ Exciting Moments β
パ・リーグ6球団の記憶に残る名場面やメモリアルシーンを捉えた動画コンテンツをNFT化しコレクションとして保有できるサービス
パ・リーグ6球団およびパシフィックリーグマーケティングとメルカリが共同でサービス提供
「パ・リーグ Exciting Moments β」ウェブサイトからクレジットカードで購入
将来的にユーザー間でのNFTのオンライン売買も可能になる予定
5 テニス
5.1 全豪オープン
全豪オープンはNFTプラットフォームであるSweetと連携し、記念NFTコレクションをリリースする
Sweetはスイート社が「Bitcoin.com」と連携して立ち上げたNFTプラットフォーム。トークンシステムであるSLPと、ビットコインキャッシュ(BCH)ネットワークを活用
NFTはテニスボールをモチーフにデザインされ、6776個発行され6776区画に分割されたバーチャルテニスコートの1区画とランダムに紐付けられる。大会で行われる約400試合のウイニングショットの位置に該当したNFTの保有者には、ウイニングショットの映像、バーチャルウエアラブル、全豪オープンのグッズが贈られる
決勝戦のウイニングショットに該当したNFT保有者には、実際のボールが特注ケース入りで届けられる
獲得したバーチャルウェアラブルは大会期間中、メタバース「ディセントランド」で開催されるバーチャルパーティーでアバターに着せることができる
リンク : 全豪オープンがNFT発行、試合と連動した試み
6 モータースポーツ
6.1 MotoGP MotoGPイグニッション
MotoGPイグニッションはMotoGPからの公式ライセンスを受けたブロックチェーンゲームで、ERC-20規格のREVVトークンを決済に採用
ブロックチェーンには、FLOWブロックチェーンを採用
MotoGPイグニッションではプレイヤーはNFTカードパックを購入することで各NFTを入手
入手したNFTはコレクションするだけでなく、MotoGPイグニッションの「レジェンド」機能にて、他プレイヤーとのレースで使用することが可能
Animoca Brands社のNFTマーケットプレイスにて売買できる
6.2 F1 F1®Delta Time
F1®Delta Time(F1デルタタイム)はAnimoca BrandsがリリースしたF1公式ライセンスを受けたPCブラウザ向けのブロックチェーンゲーム
ユーザーはレーシングパーツNFTの売買ができ、自分好みの車体にチューンナップしてレースに選手として参加したり、NFTパーツを集めたりすることができる
ゲーム内で使用できる仮想通貨は、REVVトークン
レースに勝てばランキングに応じたREVVや、NFTを入手可能でトークンはゲーム内でパーツ購入、タイムトライアル、グランプリのプレイ料、レースイベントへのエントリー料などに利用できる
REVVトークンはレースの報酬、レースマシン (NFT)のステーキング報酬、トラック(レーシングコース)所有者への報酬として獲得することが可能
NFTはマーケットプレイスで売却できる
リンク : F1®Delta Timeの始め方
7 スポーツ選手(個人)とNFT
7.1 大谷翔平(野球)
キャンディ・デジタル社はMLBと提携し、過去の映像や画像データなどをNFTとして販売。
野球カテゴリーで、大谷の画像が史上最高額となる10万ドル(約1150万円)で購入された
キャンディ・デジタルのマーケットプレイスは、パーム(Palm)ブロックチェーン上に構築されている
リンク : 大谷翔平、NFTでも新記録樹立!
7.2 森重真人(サッカー)
FC東京に所属する森重選手が2022年の抱負ツイートをNFT化しオークション販売
保有者だけが閲覧できる2022年のチームの目標、個人の目標、新年の挨拶、落札のお礼の動画を同封
NFTはオークション形式でHEXA(ヘキサ)で販売。日本円で入札が可能
NFTの情報はPolygon(MATIC)ブロックチェーン上に記録されHEXAや、 Open Seaで転売可能
入札するとニックネームやツイッターアカウントの情報が連携。森重選手だけでなく、 他のサポーターにも購入者がオークションに参加したことが証明できる
森重選手はオークションによって得られた資金全額を寄付
リンク : メディアエクイティ株式会社のニュースリリース
7.3 大坂なおみ(テニス)
大坂なおみ選手はNFTプラットフォームAutographから独自のNFTをリリース
大坂選手はデジタル形式でNFTにサインしており、NFT購入者はSNSプラットフォームDiscord上のコミュニティへ特別アクセスできるなどの特典も得られる
Autographはスポーツやエンターテインメント界のデジタル収集品をファンに提供するプラットフォームとして構築
Autographは主に、Ethereumのインフラストラクチャを利用するPolygonブロックチェーン上でNFTを提供
6.4 井上尚弥(ボクシング)
井上尚弥選手の12.14WBA・IBF世界王座防衛戦の試合映像を活用し、 井上選手初となるNFT作品を販売
素材となる試合映像はイースト・ファクトリーが制
販売時期など詳細については未定
7 スポーツブランド
7.1 ナイキ
「ナイキ(NIKE)」が、デジタルスニーカーやバーチャルウェアを販売しているブランド「RTFKTスタジオ」を買収したことを発表
リンク : ナイキがNFTスニーカー企業を買収
また、独自のメタバースエリア「NIKELAND(ナイキランド)」の設立を発表。大手オンラインゲーム「ロブロックス(ROBLOX)」内で実現
ショールームではアバターに新作のナイキ製品などの着せ替えが可能。エアフォース1やオリジナルの新製品も試着できる
ナイキランドのアバターは現実世界と連動する機能を備えユーザーの活動に応じてメタバース内のアバターに影響を与えることが可能。ユーザーが実際に運動することで、ゲーム内で「走り幅跳び」や「スピードラン」など、より高度な動作が可能になる
7.2 アディダス
アディダス オリジナルスは、ブランド初のNFTコレクション“Into the Metaverse”を発売
NFTブランド“Bored Ape Yacht Club”、“gmoney”、“PUNKS Comic”の3者と共同開発したコレクションで、緑のトラックスーツや黒のフーディー、オレンジのビーニーなどを用意
購入者はNFTと同じデザインのプロダクトを現実で入手できるほか、NFTゲームThe Sadboxなどで使用可能なバーチャルウエアを手に入れることができる
また、アディダスが、PRADAとの初のオープンメタバース&ユーザー参加型のNFTプロジェクト「adidas for Prada re-source」を発表
NFTマーケットプレイスSuperRareで出品され、収益の大半は気候変動の問題に対するソリューションと包括的なコミュニティの創造に取り組む非営利団体で研究機関の Slow Factory に寄付
7.3 プーマ
Pumaはメタバース参入を示唆する商標登録を申請
仮想現実で使用できる衣類やバッグ、スポーツ用品などをリリースすることを念頭に置いた申請内容
8 スポーツ動画配信サービス DAZN
DAZNが求人ページで国内NFTマーケットプレイスに携わる人材募集を行っていることが確認された
募集が確認されたのは「NFT Marketplace Business Owner」職
日本市場でNFTマーケットプレイスのローンチを計画している可能性あり
9 スポーツエコシステム推進協議会
スポーツ産業の振興とスポーツエコシステムの確立を目的として2022年1月31日に設立
民間企業30社の参画及び元アスリートや有識者からなるアドバイザリーボード8名のもと発足
スポーツデータの活用やスポーツベッティング、ファンタジースポーツ、NFTやスポーツトークンの活用など、デジタル技術を活用したスポーツ産業化に関する最新の国際動向などに関する調査・発表を行うとともに、適正な市場形成とスポーツ振興や社会課題の解決に向けた具体的な施策を立案・推進
リンク : スポーツエコシステム推進協議会
まとめ
海外ではコンテンツホルダーのNFTの販売(一次流通)にとどまらず、ユーザー間でのNFTの売買(二次流通)、さらには獲得したNFTのゲームやメタバース空間での活用まで進んでいる事例が多いのに対して、日本国内では多くの事例でコンテンツホルダーのNFTの販売(一次流通)までしか実現できていない事に加えNFT自体もコレクションの要素が強く二次的な活用が出来ていない。
そんな中でアビスパ福岡のファントークンによるエコシステムは、NFTの販売による短期的な収益を目的とせず、チームとサポーターの繋がりをより強くすることを目的とし、長期的な視点でチーム運営の基盤となるようなシステムになる可能性を感じる。これは野球などの他のスポーツや、スポーツ以外のコミュニティ(地方自治体や、アイドル、政治活動など)に対しても有効な施策だと思える。
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