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ESG用語:トランジション(移行)

近年、SDGsやESG、サステナビリティに関するニュースや新聞記事の中で「トランジション」という言葉を頻繁に聞くようになった。トランジションとは何なのか。ここでは、その基本的な用語の説明をしたいと思います。

トランジションとは?

一般的にトランジションは、「移行」という意味を持ちます。それでは、サステナビリティの文脈におけるトランジションとは何なのか。それは、炭素社会から「脱」炭素社会への移行のことを指します。

2015年のパリ協定を受けて、世界では120か国以上が脱炭素社会の実現に向けて目標の設定や具体的な行動を取ることを宣言しています。

トランジションを起こすのは誰か?

脱炭素社会の実現に向けて動きを起こすのは、政府と企業、一般市民です。

企業とトランジションの関係は?

脱炭素社会への移行は、企業にとってチャンスとリスクの両方をもたらします。例えば、脱炭素社会に移行する中で、炭素排出量の高いビジネスモデルを継続することは今後難しくなると考えられます。つまり、社会変化により従来のビジネスが成り立たなくなるリスクがあります。一方、脱炭素社会に向かうということは、新しい環境関連技術の需要が高まることを示唆しています。つまり、そのような社会及び需要の変化は、企業にとってビジネス拡大のチャンスとなります。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2020年8月に発行した「ESG活動報告」というレポートでは、「世界全体が1.5℃や2℃目標を達成するシナリオの下では、国内株式において移行リスクや物理的リスク(気候変動によって生じる異常気象などによるリスク)よりも、トランジションに伴う「事業機会」の方が大きく、トータルでは日本企業の価値が増大するという結果が示されたとのことです。

企業としては、脱炭素社会への移行の中で、いかに移行リスクを低減し、変化に対応した事業を構築できるかが求められています。

トランジション・ファイナンスとは?

トランジション・ファイナンスとは、投資家や金融機関が企業の移行戦略・計画を評価し、必要な資金を提供することを言います。企業が脱炭素社会への移行に対応し、また、その環境変化をビジネス・チャンスに繋げるためには、設備投資や研究開発といった具体的な行動が必要となります。そのような資金需要を支えるものをトランジション・ファイナンスと呼んでいます。

企業が資金調達を行うためには、投資家などのステークホルダーに対して、自社の移行戦略を分かりやすくかつ具体的に開示する必要があります。

トランジション・ファイナンスのメリットは?

  1. 資金調達の円滑化に繋がる可能性があること。

  2. 自社のレジリエンス(社会環境変化への耐性)の向上に繋がること。

日本政府の動き

日本では、経済産業省が「トランジションファイナンス基本方針」を策定するなど、トランジションファイナンスの普及に力を入れています。

参考文献


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sora
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