固まる覚悟
「3月末で退職します。」
昨日、上司に告げた。
豆鉄砲を食らったような表情。
2月から新しいプロジェクトがスタートする。
そのために12月から進めてきた。
その中心にいるはずの人間が告げた言葉。
何を言っているのか理解しきれていない様子。
「おれは反対だし、認めない。」
そんな言葉を言われても、もう決断も覚悟もできているし、全て決まってしまっているので後戻りすることはない。
「他の人間だったら何にも言わないけど、お前だと話は違う。」
でも、辞める事実は回避しようがない。
本当に課長には申し訳ない気持ちは強く持っている。
迷惑をかけてしまうことになるのは痛いほど分かっている。
でも、自分の人生を前に進めたい。
本当にやりたいことを、自分の意志を、芯にある思いを貫きたい。
「せめて半年前に言ってくれないと、代わりなんて育てられないよ…」
それだけの評価をしてくれているのはありがたいし、心苦しい…。
自分からは揺るがない決断と強い思いを丁寧に伝えることしかできない。
正直、今の仕事に不満はない。
この仕事を14年7ヶ月続けてきて、知識も負けないものを持っている。
取引先との関係も深いものになっている。
給料面も文句はない。
でも、この先このままで働いてこの先の人生が自分にとって望む道なのか…いや、やはりそうではない。
ありがたいことに、先月ご縁を頂いた。
自分の本当にやりたい仕事にとても近い仕事。
学生の頃に憧れていた大学教授が通った道。
その仕事に就くチャンスをもらって、狭き門を通りはたらけることになった。
今の仕事を手放すことへの苦悩がないわけではないけど、それ以上にやりたい仕事に就くことができることへの喜びやワクワクが勝っている。
「どうにかするしかないか…」
「残り2ヶ月でお前レベルに後輩を育てろよ」
最後には課長からその言葉を頂けた。
「迷惑かけてすみません。」
「必ず育て上げます。」
ここから2ヶ月の期間で全力で遂行するという強い気持ちを持ち、課長との話が終わりました。
それと同時に自分が下した決断への強い覚悟も生まれた。
いろんな人に迷惑をかけているから、自分の揺るがない気持ちをさらに強く持って次のステージへ向かおう。
そして、残り2ヶ月に最大限のパワーを注いでみせる。
生半可な気持ちで進むんじゃない。
春に向けて一花咲かして長い間お世話になった会社を去ろう。