東京パラリンピック選手「タチアナ・マクファーデン」に見る「超適応」と進化
開始される東京パラリンピック!!
東京パラリンピック、本日開催されますね。
歴史上、異例中の異例の中での開催で、様々な意見が飛び交います。それぞれの立場で、正しい意見を発信されていて、本当にカオスな状況だとおもいます。
そんな中、東京パラリンピックに見る、「超適応」という概念をパラリンピック選手タチアナ・マクファデン選手を入り口に考え、このカオスの時代の生き方を考えてみたいと思います。
タチアナ・マクファデンについて
マクファデンは生まれつき脊髄に障害を持って生まれたため、歩くことができず、本来は車椅子が必要でした。しかし、当時のロシアでは車椅子の入手が難しく、ベッドで寝たきりの生活を余儀なくされていました。
そして、そのマクファデンがいた施設の子ども達に靴が寄付されます。しかし、マクファデンにだけは靴は寄付されませんでした。
「歩けないから靴はいらない」という扱い。
しかし、マクファデンは思いがけない行動でそれに答えました。
「私にはできる」といって、逆立ちで歩き出したのでした。
階段も逆立ちで歩きます。3歳から6歳という、脳が最も変化しやすい頃に手を使って逆立ちをして、施設を歩き回っていたのでした。
マクファーデンの脳の領域を調べると、驚くべきことが分かりました。
それは本来足を動かす脳の領域が、手を動かすように発火していたのです。これが100分の1秒の手の精密な動きを可能にしていたと思われます。
科学者者は言います。「普通では考えられないことが脳の領域で起きている。」と。
マクファーデンの本当の目的
未知なる領域を覚醒させ、全距離レースの制覇を目指すマクファーデン。しかし、マクファーデンの本当の目的は金メダルにとどまりません。
マクファーデンは言います。
『前代未聞の達成をすることで、障碍者としてではなく、アスリートとしての私を認めてもらいたいのです。 地球上には何億人もの障害者がいますが、私たちは健常者の常識の世界の中に生きています。 その考え方を変えたいんです。』
脳は何歳からでも変化し成長する
このような記事を見ると、無意識に、「マクファーデンは3歳から脳を鍛えた体」「脳の成長臨界を超えた自分には関係ないし、難しかろう…」という反射的反応が起こるかもしれません。
その反射反応は、過去からの常識と研究からで、事実ではありません。
「大人になると脳の成長は止まる」という概念は、真実ではありません。
事実、人は60歳、70歳になってもなおその知能を高めていける傾向が確認されています。
『超適応』
東京大学工学部の太田教授の研究グループは、「超適応」という概念を提唱しています。
超適応
「脳には本来、身体的な損傷や機能低下を補う機能が備わっています。例えば、若くして失明したブラインドサッカーの選手は、研ぎ澄まされた聴覚を頼りに、まるでボールが見えているかのような機敏なプレーを見せます。そうした視覚障害者の脳では、通常使われていない領域が活性化され、新たな神経回路が再構成されていることがわかっています。脳は自らの機能をアップデートして、新しい行動原則を創り出し、環境に適応しているのです」
これはある意味、言い方を変えますと、脳にいろんな人間の機能がありますが、リミッターを外すという側面を示しています。
認知科学でのゴール理論
認知科学を応用して、コーチング、カウンセリングがなされています。
「ゴール」という認識があって、現状が変わって行くということです。
例えば、「来年、海辺の一軒家に引っ越す」というゴールを決めた瞬間に、脳が、「創造的」に「クリエイティブティ」にそのための方策や人脈、資金取集の集め方を発見し、作り出すというものです。
それは努力ではなく、勝手に脳が行うことなのです。
子どもが何時間もTVゲームをしている状況は努力とは言いませんが、そのような状態で自身のゴールに向けて心と体が動き出すのです。
その時に脳の中は、現状からゴールに向けた脳機能に移行し、変化しています。
この認知科学の結果を考えると、「超適応」というのは、未来からの報酬をいただいている、という捉え方ができます。
未来自分や世界を創造し、ワクワクし、今が充実できるということです。
他の例で考えると、
大好きな異性を誘って、来週初デートに行くというゴールを設定すると、自分の身なり、ふるまい、態度を改めて見直し、デートコースプランを立てたりと、不安や緊張もありながらもワクワクとその準備をしている時です。
その時、人間は種の保存機能が活性化し、全身全霊で心身をそのゴールに向けて最適化します。昨日までの自分では、デートの結果はつまらない結果になるからです。
まさに「超適応」した人は「時空間を超えた操作ができる段階にある」ということを表しています。
それが、人というものが新しい時代に適応していく姿であると言えます。
今こそ「超適応」が必要な人類
パンデミックの中、全人類が共通の課題にそれぞれ一人一人の状況から向き合っています。
昨日までの対応や考え方では、前代未聞のこの状況に対応するすべはありません。
今日から始まる「超適応」した選手たちを感じ、自分の中の脳の超適応領域を活性化し、「健常者の創った常識の世界」を超越する自分と世界をヴィジョン化するまたとない機会になると考えます。
ウィルスは、生物の進化にきっかけになります。
脳を根拠にして肉体にも“超適応”ができるのなら、情緒、感情の“超適応”もできます。脳の扁桃核や前頭前野が情緒に関わっているからです。
今の時代、「情緒と感情を超えて」いかないと、意識進化なされません。
この絶対的な進化のチャンスの起爆剤として、パラリンピックの選手たちが東京で、私達にその超適応した過程を「見せつけて」くれるのだろうと、思います。
選手たちのパフォーマンスを心から応援しています!