日記 #季節が変わって
校門を出て、暗くて狭い空の中心に、一等星が1つ。
毎年部活や講習が終わった五時すぎに、空の明るさで季節を感じていた。夏には真っ青だったあの空が、日に日に赤く染まっていき、気がついたら暗くなっている。
あの星が見える日は晴れている日、見えない日はあそこに雲がかかっている。
そういえば、最近あの星見ていないような。どこまでも続くような真っ暗の空の中の視線を動かして、少し右にズレたところに一等星を見つけた。
ああ、君はそこにいたんだね。
私の見方が変わっただけで、ずっとそこにいるんだね。
あと数週間して、君がもっと右に見えるようになったら。いよいよビルに隠れて見えなくなってしまうよ。
でも、君はずっとそこにいるんだね。
それだけで救われる自分がいる。
だから大丈夫だよ。
学校の女子トイレの洗面台。
夏の頃は一生懸命、うねった前髪やメイクを直していた(メイク禁止)女の子たちが、帰る前にマフラーをこだわって巻いている。
マフラーのボリュームをだしたところで、リボンを作ってみたところで、君たちの可愛さなんて変わらなくね?と思うけれど、自己満足だからそれでいいんだよね。
男子全員に広めたい、この女子の可愛さを。
もとから可愛いお顔をいじって、さらに自分が可愛く見えるように研究して。何分も同じところを触っているけれど、人から見れば特に変わってなくて。
可愛くなりたい、という女の子はもれなく可愛い。みんな幸せになって欲しい。
冬の幸せそうな人といえば、クリスマスデートをしているカップル。クリスマスとかいう年に数日しかない特別な日を、綺羅びやかに彩られた街のなかを、大切な人の隣で過ごす。想像しただけで幸せだ。
最近「大切な人と過ごす」という言葉が、幸福感を持っていると感じるようになった。私の最大の好きな言葉だ。
「大切な人」というのも素敵だし、
「過ごす」も好き。”会う”でも”話す”でも”触れ合う”でもなく、「過ごす」。同じときを共有している感じ。
大切な人の、大事な時間が、自分のために使われている。そこに価値がある。