神経筋電気刺激とキネシオテーピングの併用が脳性麻痺児の姿勢制御と座位バランスに及ぼす影響
今回の文献は、脳性麻痺児の姿勢制御や座位バランスを改善するために、NDT(神経筋治療)、NMES(神経筋電気刺激)、KT(キネシオテーピング)などの手段が用いられることがありますが、これらを併用することで脳性麻痺児の姿勢制御および座位バランスにどのような影響を及ぼすか調べてみたという内容になります。
1.方法
下記に簡単に方法を紹介します
・対象
CPの子ども45名(痙性片麻痺9名,四肢麻痺36名)
年齢:5歳から12歳
GMFCS:レベルⅣ・Ⅴ
*口頭での指示やコミュニケーションに従うことができ、それを受け入れることができる人
・除外対象
1)過去6ヵ月以内に整形外科手術またはボツリヌス毒素注射を受けた
2)股関節に拘縮や脱臼がある
3)重度の痙性(Ashword Scaleで4または5)
4)キネシオテープにアレルギー反応がある子供
CPの子どもたちは、3つのグループのいずれかに無作為に割り振られました
第1群:NDTプログラム
第2群:NDTプログラム+脊柱起立筋にNMES
第3群:NDTプログラム+脊柱起立筋にNMES+KT
各群15名から構成
各治療内容を簡単に記載します
NDTプログラム、、、
短縮筋の伸長、姿勢制御、腹筋と背筋の機能的強化、体幹の伸展促進等を目的とし、端座位(足底接地)で上肢を促進すること、座位でのバランストレーニング、リーチングによる座位での体重移動などが含まれていた。
30分間/回
NMES、、、
座位で脊柱起立筋にNMESを実施。子どもたちは、施術中、体幹伸展を維持するように求められた。
15分間/回
KT、、、
1つ目のテーピングは脊柱起立筋の円滑化を目的とし、座位で仙骨から頸部まで縦方向(Iテーピング)に実施。
2つ目のテーピングは患者に固有受容感覚を与え、座位時の肩甲骨間部を矯正するため、患者が直立姿勢で肩甲骨が引っ込んでいるときに、X型のテーピングを実施。
(使用KT幅5cm/週1回実施し、4日間はその状態を保持)
↑テーピングイメージ
これらの治療を毎週4日間、6週間(24セッション)実施。
治療効果判定のための評価項目を下記に紹介。
座位機能は粗大運動機能測定法(GMFM)の座位セクションで評価
姿勢制御は座位姿勢制御測定法(SPCM)で評価
2.結果
GMFMの座位セクションはすべての群で有意に改善
第3群の増加率は第1群、第2群よりも高かった(p = 0.001)
SPCMの姿勢、機能、総合得点は、すべての群で有意差を認めた。3群間の比較では、第3群の変化が一番大きかった。
↑治療前と治療後の各評価の点数変化
↑各評価の点数変化率
3.まとめ
NDT、NMES、KT各々に、CPの子ども達の座位姿勢やバランス等を改善する可能性があります。
しかし、これらを組み合わせて使用することで、CPの子ども達の姿勢制御と座位バランスをより効果的に改善できる可能性があることを結果として示した文献でした。