下肢装具の有効性は(脳性麻痺)? システマティックレビュー
脳性麻痺児の歩行に対する下肢装具の有効性についてシステマティックレビューがありましたので簡単に紹介します。
1.方法
研究の方法は以下の通り。
文献サイトを使用し2007年から2015年の間に発表された,AFOを装着したCP児の研究論文を検索
●文献サイト:PubMed,Scopus,ISI Web of knowledge, Cochrane Library,EMBASE,Google Scholar Cochrane Library,
●調査内容:歩行パターン変化とその後の歩行能力
*治療法を組み合わせた研究は除外し、17件の研究を対象とした
●対象(1139名 脳性麻痺児)
●平均年齢は7歳(範囲1~18歳)
●論文中にGMFMレベル等の記載はなし
Pedroスコアがよくエビデンスレベルも適切であったのは17件中4件の研究のみだったようです。各論文から得られた結果を下記に記載します。
脳性麻痺患者の空間的・時間的・運動学的パラメータ(歩行速度、歩幅、片脚支持時間、対称性の改善など)、歩行運動、エネルギー消費、機能的スキルに対するAFOのポジティブな効果が示唆された。
歩行変数に対するSAFOの効果
・CPの歩幅を増加させたが、ケイデンスに対する効果については一貫性のない結果が得られた。
・PLSやHAFOと比較し、片麻痺CP児の歩行速度を最も向上させた。
歩行パラメータに対するHAFOの効果
・HAFOにより、歩幅、歩行速度、片足支持、歩行対称性が改善。
・片麻痺CP児の足関節と膝のROM、足関節のパワーにプラスの効果あり。
・片麻痺CP児のエネルギー消費量を減少させる効果あり。
・総体的な運動機能の改善もあり。
足関節背屈を自由にし、底屈をブロックすることで、初期接地時の足関節の動的変形を防ぎ、生理的な踵接地を実現し、歩行初期の足関節ロッカーを回復させるのに有効であった。
歩行パラメータに対するFROの効果
・片麻痺CP児の歩幅、ケイデンス、歩行速度を向上させた。
・膝関節伸展を改善する効果あり。
接地時の反応ベクトルが膝関節の前方に向かうことで、膝の伸展モーメントが得られ、大腿四頭筋への負担が軽減された。
・Mst(立脚中期)での矢状面の膝関節モーメントは、伸展から屈曲へと内部で変化し、足底屈-膝伸展カップルの整合性を確保するのに最も効果的であった。
歩行パラメータに対するPLSの効果
・片麻痺CPの膝関節屈筋モーメントと歩行速度の改善に有効
・片麻痺CPの膝と足首のROMを改善し、四肢麻痺では歩行のエネルギーコストを有意に減少させたが、研究数は1つと少ない
歩行パラメータに対するDAFOの効果
・DAFOとspring-like AFOは、立脚後期まで、より正常なキネマティックスとキネティクスを作り出す。
・また、PSw時の押し出し力をより正常にすることができ、歩行のエネルギー効率を向上させる可能性あり。
・屈曲姿勢(立脚時の背屈と膝屈曲の増加)を促進することができるため、equinus pattern(尖足)やdropped foot(下垂足)を持つ、しゃがんだ歩行パターンの子どもに効果的
2.結果・結論
・AFOの使用はスピードとストライドの長さを改善
・HAFOは裸足の状態と比較して、
片麻痺CPの歩行パラメータの改善とエネルギー消費量の減少に有効
痙直型片麻痺の歩幅、歩行速度、片足支持、歩行の対称性を改善
・プラスチック製のSAFOとFROは、・プラスチック製のSAFOとFROは、
片麻痺CPのエネルギー消費量の削減に効果的であった
・HAFOとSAFOは痙直型片麻痺の総運動機能を改善した