ホームプログラム 介入効果 エビデンス

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1.はじめに

障害のある子どもたちへの理学療法や作業療法の集中的な介入は、集中的な練習による神経可塑性の促進が期待できるという神経科学の知見の高まりとともに、話題になっています
しかし、実際には「週単位のブロック治療」であり、これは神経可塑性を誘発するために推奨される治療の総「量」をはるかに下回っているといわれています(Gordon, 2011; Novak, 2012; Sakzewski et al. 2013)

今回の文献では、ホームプログラムとは?ホームプログラムの有効性とは?ホームプログラムを提供するためのエビデンスモデルとは?を紹介していきます

2.ホームプログラムとは?

望ましい健康上の成果を得ることを目的として、家庭環境の中で親の援助を受けて子どもが行う治療的な活動" (Novak et al., 2007, p. 475)
ホームプログラムは、指導と助言の形態であり、親と子どもの生活様式となる。家庭での活動を定期的に実践することで、親は子どもの可能性を最大限に引き出す。保護者は、ホームプログラムから得られる指導やサポートを利用して、子どもを支援する方法について自信を深める」(Novak, 2011, p209)
親と子の両方に介入することが可能(Novak, 2011)
しかし、ホームプログラムは、それ自体が介入ではなくサービスを提供する方法の一つであることを認識することが重要

3.ホームプログラムの有効性とは?

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コーチング介入のトラフィックライト(上図)
黒の網掛け=効果があるので優先的に使用する
灰色の網掛け=さらなる研究が推奨されるので個々の成果を測定する
白の網掛け=効果がないので使用を中止する

目標指向型トレーニング(課題指向型運動、課題特定型トレーニング、機能療法としても知られる)を用いた家庭プログラム介入が、脳性まひの子どもの運動転帰の改善に有効であるという質の高いエビデンスがある(Katz-Leurer et al, 2009; Novak et al, 2009)
親のコーチングを用いた家庭プログラムによる介入が、自閉症の子どもの認知的アウトカムの改善に有効であることを示す低中質のエビデンスがある(Ozonoff et al.、1998; Rickards et al.、2007)
作業療法士のトレーニングを受けた母親が高用量の関係性に基づく(DIR)/FloortimeTMを実施した台湾での新たなパイロット試験の結果を紹介
この介入を受けた自閉症の子どもたちは、情緒的機能、コミュニケーション、日常生活のスキルに著しい改善が見られた(Liao et al.、2014)
エビデンスによると、最良のエビデンスと親の好みに沿ってホームプログラムがうまく設定されていれば、親は家庭プログラムを利用する可能性が高くなり、その結果、より高い「用量」で介入を実施することになる(Novak et al., 2009; Novak, 2011)

4.ホームプログラムを提供するためのエビデンスモデルとは?

5つのステップ
1)子どもと家族が、協力的なパートナーシップを確立すること
2)子どもと家族(セラピストではない)が、家庭環境で取り組みたいことについて目標を設定すること
3)子どもと家族の目標に合ったエビデンスに基づく介入方法を選択し、子どもの好みや家族特有の日常生活に合わせて活動を考案したり交換したりする権限を親に与えることで、家庭内プログラムを確立すること
4)子どもの改善点を確認し、必要に応じてプログラムの複雑さを調整するために、家族に定期的なサポートとコーチングを提供すること
5)一緒に成果を評価すること(Novak et al. , 2006)
●セラピストからの定期的なコーチングとフォローアップサポート
●セラピストからの予後に関する情報と、現実的に期待できることについてのガイダンス
●複数のホームプログラムではなく、チームで連携したアプローチ
●ホームプログラムからの子どもの進歩について、セラピストからの定期的なフィードバック
●子どもの目標に合わせてプログラムを作成し、やる気を起こさせ、楽しく実施できるようにすること
●家族からの精神的、身体的サポート
●活動を行うために必要な器具の提供
●練習を忘れないようにするための運動記録帳の提供
●安全かつ治療的に実施する自信と能力があると感じられる少数の運動を行うプログラムを用意すること
 (Novak et al. , 2006; Novak, 2011; Taylor et al., 2004)

5.結論

ホームプログラムの有用性と有効性は、親とのパートナーシップにより「どのように」設定されるかによって高められることになる

ホームプログラムは次のような場合に有効
A) プログラムの内容が、効果が証明されている介入方法に基づいて設計されていること
B) プログラムが親の実施方法の好みを尊重して考案されていること
C) 親がプログラムを実施するためのサポートとコーチングを受けていること

【補足】

Floortimeとは:自閉症の子どものための関係性に基づいた療法
この介入は、親が子どもと一緒に床に降りて、子どものレベルに合わせて遊び、交流することから、Floortimeと呼ばれてます
Floortimeは、ABAの代替療法であり、ABA療法と組み合わせて使用されることもあります.その目的は、大人が子どもの "コミュニケーションの輪 "を広げる手助けをすることです.子どもの発達レベルに合わせて、子どもの長所を伸ばしていきます. セラピストと親は、子どもが楽しんでいる活動を通して、子どもに関わっていきます(子どものゲームに参加する.子どものリードに従う)

ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析学)
ABAには様々なティーチング・ストラテジーがある.発達障害や自閉症をもつ方に対してそれぞれの問題行動への対応や、スキル習得のために実施されるアプローチのひとつとして、DTT(Discrete Trials Training)がある.DTTは、指導をする側が「環境の調整」を実施.​そのほかに、機会利用を活かして指導する方法もある.その際には、言語オペラントのレベルで査定し、マンド訓練、エコーイック訓練、タクト訓練、イントラバーバル訓練など、ABAで用いられる指導方法やアセスメント方法(Verbal Behavior Milestones Assessment and Placement Programなど)​など、行動改善戦術は様々ある.そのどれもが研究を実施し科学的に認められた手法であることが、ABAを実施する上で前提となっている.

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