私は私のことをまだよく知らないのかもしれない

私が役者を目指したきっかけは、私の記憶では中学生の頃に観たミュージカルテニスの王子様だった。

観た、とは言ってもあの頃はニコニコ動画が全盛期(だったかな?)で、そこで出会ったんだけど。

そもそもテニスの王子様を読んだのは塾で同じクラスの女の子がそれを好きで、読んだことないと言ったら毎回5冊ずつ貸してくれたところからだった。

それでハマって、好きなものは徹底的に調べたい癖のある私はPCで検索しまくった。

そこでたまたま出会ってしまったニコニコ動画。

そこで観てしまったテニミュ。

そこで知ってしまった主役が同じ年齢の男の子ということ。

その時の私の感情は「すごーい!」とか「かっこいい!」とかじゃなく、「いいなぁ」という羨望だった。

それに気付くのは大人になってからなんだけど。

そこから大学生までの私はよくある「表に出るのは自信がないけど声優だったらできるかも!」みたいなぬるいことを考えていた時期だった。

ちなみに高校三年生の時、友達についてきてもらってとある声優養成所の体験レッスンを受けたことがあって、その友達が先生にめっちゃ褒められて心折れたのと、そのレッスンをやりながらその先生に対してとてつもない、言いようのない違和感を感じたことで養成所に行くことはやめた。

大学卒業して、フリーター生活の私は実家暮らしでお金が貯まる。

しかも、2.5次元が好きな同じくフリーターの友達と2.5次元の舞台を観に行ってた。

そこでも面白いよりも、羨望の感情の方が強かった。でもそれを押し殺してた。

何しろ23歳くらいまでの私は今の私しか知らない人からしたら驚くくらいの人見知り、そして引っ込み思案だったのだ。

しかしそんな私がフリーターをしていたのはとあるインテリアショップで、ゴリゴリの接客。

そのあと契約社員として就職したのも、ゴリゴリの接客&営業的な側面の多い仕事。

だんだんと人見知りもやってられなくなるのだ。

そんなある時観た『ミュージカル黒執事 地に燃えるリコリス』のAKANE LIVさん演じるマダムレッドの一人芝居。

すごかった。とうとう私は、「あんな風になりたい」と思ってしまった。

この空間にいる人全員の感情を自分の色に染め上げてしまうような、そんなお芝居だった。

とうとう自分に嘘がつけなくなった私は、仕事を辞めて上京して、とりあえず専門学校に行ってみる、というところからスタートした。


と思ってた。


上京して数ヶ月、実家に帰った時

母「お母さんは意外だと思ったけどパパは納得したんだって。元々舞台観るのが好きだったもんなって言ってたよ」

私「ん?中学生の頃?」

母「幼稚園くらい」

私「???」

母「NHKでやる忍たま乱太郎の親子ミュージカルみたいなのとか、夢中で観てたって」

私「!!!!!」

まじやん!!

鮮明に覚えている、一年は組の三人組は着ぐるみで、ピンクのくのいちのお姉さんと、ドクタケの悪い奴らとかがやってる、親子向けの舞台。

未だに0点チャンピオン歌えるくらいには好きだったわ。

なんの違和感もなくあれを観てたわ。

アニメ忍たま乱太郎も好きだったけどあの舞台はテレビでやってるの見つけると必ず食いついて観てたわ。

自分の気づかないところで元々好きだったんだね、私。

最近友達とかから「昔から○○好きだったよね」と言われることが多かったから、自分を振り返ってみた。

また振り返ろう。

次回!「ミュージカル、違和感なく観てるの家族で私だけだった」でお会いしましょう!(仮)


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