堤焼きが好きだ
僕は古物商。
もうすぐ31歳を迎えるが、未だに厨二病を克服できていない。
厨二病罹患者は総じて黒が好きだ。(断定)
闇や恐怖を連想させ、クールだからだ。
たいして白色は好きとか嫌いとかではない。
DMAに刻まれた不可侵と畏れを感じてしまう。
白は堂々たる浄なる色、きっと"生と死"そのもの。
黒の中に流れる白はなにを意味したのだろう。
堤焼きの水甕。
堤焼きは、宮城は仙台藩の御用窯。
地元のものだからというのも多分にあるが、僕は堤焼きが好きだ。
道具屋ホリデイズは北五番丁と堤通りの交差する箇所に位置する。
堤通りは、かつて堤焼きが栄えた通りだ。
今は堤焼きの工人も、販売所も、ないけれど。
人の歴史は忘却と共に歩みを重ねているけれど、それを掘り起こし。
堤焼きの実物とともに、堤通りで僕は商売を続ける。