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鬼滅の刃 遊郭編

先週、最終話が放映されました。遊郭編は「映画版 無限列車編」以上のアクションの連続に驚かされるストーリーでした。

そして、上弦の陸・堕姫(だき)と妓夫太郎(ぎゅうたろう)が鬼になった過去が丁寧に描かれています。彼らの回想シーンによって、この遊郭編の影の主人公は妓夫太郎であることがわかります。

最終話の冒頭、宇随天元や炭治郎たちによって切られた向かい合う堕姫(だき)と妓夫太郎(ぎゅうたろう)の首。その二人が言い争っています。責任をなすり合う二人。ここで堕姫は妓夫太郎に言います。

堕姫:あんたみたいな醜い奴が、アタシの兄妹なわけないわ!!アンタなんかとはきっと血も繋がってないわよ!だって全然似てないもの!この役立たず!強いとこしかいいところが無いのに、何も無いのに!負けたら何の価値もないわ!!出来損ないの醜い奴よ!!

妓夫太郎:出来損ないはお前だろうが!弱くて何の取り柄もない。お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた。お前さえ生まれてこなけりゃ・・・

その言葉を言う前に炭治郎は妓夫太郎の口を優しくふさぎます。

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炭治郎:嘘だよ。本当はそんなこと思ってないよ。全部嘘だよ。仲良くしよう この世でたった二人の兄妹なんだから。君たちのしたことは誰も許してくれない。殺してきたたくさんの人たちに恨まれ、憎まれて罵倒される。味方してくれる人なんていない。だからせめて二人だけはお互いを罵り合っては駄目だ。

妓夫太郎の言葉に呆然としていた堕姫は泣き叫ぶ。

堕姫:うるさいんだよ!!私たちに説教するんじゃないわよ!!クソガキが!!向こうへ行け!悔しいよ、悔しいよ!!何とかしてよ、お兄ちゃん!!死にたくないよぉ。お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!おにい・・・

消滅していく堕姫。消滅していく堕姫に対して叫ぶ妓夫太郎

妓夫太郎:梅!!

妓夫太郎のナレーション:そうだ・・・妹の名前は梅だった。堕姫じゃねぇ。酷い名前だ・・・

堕姫と妓夫太郎の回想シーン

妓夫太郎のナレーション:いや、梅も酷い名前だったなぁ。死んだ母親の病名からつけられたんだからなぁ。遊郭の最下層で生まれた俺たち。子どもは生きるだけで飯代がかかるので迷惑千万。生まれる前に何度も殺されそうになり、生まれてからも邪魔でしかなく何度も殺されそうになり・・・それでも俺は生き延びた。枯れ枝のような弱い体だったが、必死で生きていた。「虫けら!ぼんくら!ノロマの腑抜け!役立たず!」醜い容貌を嘲られ、汚いと言って石を投げられた。この世にある罵詈雑言は全て俺のために作られたようだった。俺は醜かったし、汚かった。いつも垢まみれ、フケまみれ。ノミがついた酷い臭いで美貌が全ての価値基準である遊郭ではことさら忌み嫌われた。怪物のように腹が減ったらネズミや虫を食っていた。遊び道具は客が忘れていった鎌だった。俺の中で何かが変わり始めたのは梅が生まれてからだ。梅・・・お前は俺の自慢だったなぁ。年端もいかないころから大人がたじろぐほど綺麗な顔をしていた。俺は喧嘩が強いと気づいて取り立ての仕事を始めた。誰もが俺を気味悪がって恐れた。気分が良かった・・・自分の醜さが誇らしくなり、お前のような美しい妹がいることは俺の劣等感を吹き飛ばしてくれた。これから俺たちの人生はいい方へ加速してまわっていくような気がした。梅が13になるまでは・・・

客の侍の目玉を簪で突いて失明させたので、その報復で梅は縛り上げられ、生きたまま焼かれた。俺はいなかった・・・仕事から戻ったらお前はまる焦げになっていた。

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妓夫太郎:(梅を抱きしめて)わぁぁぁぁぁぁ!!!やめろ!やめろ!!やめろ!!!俺から取り立てるな!!!何も与えなかったくせに取り立てやがるのか!!!許さねぇ!!許さねぇ!!!元に戻せ妹を!!でなけりゃ神も仏もみんな殺してやる!!!

突然、妓夫太郎は侍から後ろから背中を斬られる

侍:こいつで間違いないか?

女主人:はい、そうでございます。感謝いたします。厄介払いができて良かった。本当に凶暴でねぇ!取引先で大けがさせたり、最近ではもう~歯止めがきかなくて。梅のことは残念でしたけど、可愛い子がいたらまた紹介しますので。あの~、お金のほうを・・・

侍:まぁ、待て。止めをさしてからだ。

妓夫太郎は高く飛び上がり、女の脳天を鎌でかち割る。そして、斬りかかってきた侍の頭を鎌で斬る

妓夫太郎のナレーション:誰も助けちゃくれない。いつものことだ。いつも通りの俺たちの日常。いつだって助けてくれる人間はいなかった。雪が降り始めた。全てが俺たちに対して容赦をしなかった。どうしてだ?禍福は糾える縄の如しだろ?いいことも悪いことも代わる代わるこいよ!!!鬼になったことに後悔はねぇ。俺は何度生まれ変わっても必ず鬼になる。幸せそうな他人を許さない。必ず奪って取り立てる妓夫太郎になる。

回想シーンが終わり、暗転

妓夫太郎のナレーション:ただ、唯一心残りがあるとするなら・・・梅・・・お前は俺と違ったんじゃないかってことだ。もっといい店にいたならまっとうな花魁に。普通の親元に生まれていたなら普通の娘に。良家に生まれていたなら上品な娘になっていたんじゃないか。染まりやすい素直な性格のお前だ。俺が育てたからお前はこうなっただけで、奪われる前に奪え!取り立てろ!と教えたからお前は侍の目玉を突いたな。従順にしていれば違う道があったかもしれない。俺の唯一の心残りはお前だったな・・・

地獄に一人立っている妓夫太郎

妓夫太郎:なんだ?ここは?地獄か?

梅:(人間の頃の姿に戻っている)お兄ちゃん!やだ!ここ嫌い!どこなの?出たいよ!!なんとかして!!

妓夫太郎:お前、その姿・・・。

梅に背を向け、歩き出す妓夫太郎

梅:そっちが出口?

妓夫太郎:お前はもう俺に付いてくるんじゃねぇ。

梅:なんで?わたし・・・

妓夫太郎:ついてくるんじゃねぇ!!!!!

梅:さっきのこと怒ったの?謝るから許してよ!!お兄ちゃんのこと醜いなんて思ってないよ!!悔しかったの!!負けて悔しかったの!!!あたしのせいで負けたって認めたくなかったの!!ごめんなさい!!!上手く立ち回れなくて。私がもっと役に立ってたら負けなかったのに。いつも足を引っ張ってごめんなさい!!!ねぇ、お兄ちゃん!!!

妓夫太郎:お前とは兄弟でもなんでもない。俺はこっちに行くから、おまえは反対の方、明るい方へ行け。

梅、駆け足で妓夫太郎に後ろから抱きつく

妓夫太郎:おい!!!

梅:(泣きながら)やだ!やだ!!離れない!!絶対に離れないから!!!ずっと一緒にいるんだから!!!何回生まれ変わっても私はお兄ちゃんの妹になる!!絶対に!!!私を嫌わないで!叱らないで!一人にしないで!!おいてったら許さないわよ!ずっと一緒にいるんだもん!ひどい!ひどい!!約束したの覚えてないの?忘れちゃったの?

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少年時代のぎゅうたろうと梅の回想シーン

妓夫太郎:俺たちは二人なら最強だ!寒いのも腹ペコなのも全然へっちゃら。約束する。ずっと一緒だ。絶対離れない!ほらもう、なにも怖くないだろ?

後ろから抱き着いた梅を背負い、地獄の果てへ歩き出す妓夫太郎


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みやびの映画日記
日々観た映画の感想を綴っております。お勧めの作品のみ紹介していこうと思っております。