コメンタリーから魅る『山椒大夫』
あらすじ:平安朝の末期、越後の浜辺を子連れの旅人が通りかかった。七年前、農民の窮乏を救うため鎮守府将軍に楯をつき、筑紫へ左遷された平正氏の妻玉木、その子厨子王と安寿の幼い兄妹、女中姥竹の四人である。四人は越後に横行していた人買に言葉巧みに騙され、厨子王と安寿の兄妹は母や姥竹と別の舟に乗せて引き離されてしまう。女中姥竹は身を投げて死に母は佐渡へ売られ、厨子王と安寿は丹後の大尽山椒大夫のもとに奴隷として売らてしまう。
コメンタリー:宮川一夫・撮影監督、内藤昭・美術監督、白井佳男、依田義賢・脚本家
内藤:平安朝の一般市民の衣装をどうデザインすればよいかわからず、東宝研究所の歴史の先生に草鞋までご指導いただきながら作る。衣装デザインは想像して作った部分も多いが、溝口監督の時代考証は非常に厳しかった。
宮川:溝口監督から「シリアスに厳しい画で撮りたい」と注文がある。そのため、ハイライトが常にあるように心掛けた。セットやロケーションも7割、8割は逆光線で撮りました。
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