塩おにぎり
コンビニでふと塩おにぎりが気になったので買ってみた。私は過去塩おにぎり至上主義の方の思想に触発されコンビニスーパー目につく塩おにぎりを食い尽くした。ここまでシンプル極まりない食べ物が自宅以外で売っている事に驚いた。水と塩おにぎりの違いは飲料か食物かの違いだろうと思う。過去の私は残念ながら彼の魅力に最後まで気づけなかった。どこの奴を食べても米の硬さ以外になにも変わらない。そもそも食べ物として非常に物足りない。視覚も味覚もどこか物足りなさを感じる。そんな心中で過去の私は彼との決別を決した。しかし大人となった今なら・・・、彼の魅力を理解できるかもしれない。私は彼を口に運び咀嚼し、口の中で形の消えていく米粒一つ一つの味を感じようと心がける。ごくりと音を立てて彼の欠片が喉元を通り過ぎていく。その間私は、ただ一つの事を考えていた。“鮭が中身に欲しい”