おばあちゃんの家2 〜おじいちゃんの存在〜
なぜかみんな「おじいちゃんの家」とは言わず、「おばあちゃんの家」と言っていた。でもおじいちゃんもいたんだよ。
おじいちゃんは小学生の頃のボクたちにとっては不思議な存在だった。
普段おじいちゃんは閉め切った暗い部屋で布団に入ったままラジオをずっと聴いてる人だった。別に寝たきりだったわけではないが、1日のほとんどをその部屋で過ごしていた。
おじいちゃんはものすごい甘党で、たまに起きてきてコーヒーを飲むのだけれど、砂糖を山盛り3倍ほど入れて、重そうにスプーンで混ぜるのだ。それにご飯に砂糖をかけて食べてた事もあった。
夏休み中ほとんどをおばあちゃんの家で過ごした少年時代だったのに、おじいちゃんとまともに喋った記憶が全然ない。というか、誰かと喋ってる記憶もほとんどない不思議な人だった。
今になって思うのは、孫のボクたちの事をどう思ってたんだろう?という事。
おじいちゃんは孫を可愛がるイメージがあるが、そんな素振りは見たことがなかったから。本当に不思議な人だった。