#25 ハナレ猿達の行動が変化!新たな展開の予感!ハナレ組結成⁉
2024年9月
淡路島モンキーセンターにやってくる群れのサル達は、毎年恒例の『秋の遠足』に出かけました。
群れのサル達が不在のエサ場には、センター出身と思われる大人のオス猿(ハナレ猿)がやってくるようになります。
※詳しくは #23「サル達は秋の遠足に!群れの居ぬ間はハナレ猿」をお読みいただければと思います。
ハナレ猿は🐵おひとり様が定番
10月に入っても、ハナレ猿が現れる時は1人もしくは、複数でも2~3人でやってくる程度でした。
10月17日
この日はハナレ猿の『ジョー』が来ていました。
私の個人的なイメージですが、ジョーは他のハナレ猿と一緒に現れたり、若いオス猿を連れてくることが少ないように思います。
この時、一緒に居たのは群れのメス『リボン』でした。
彼女は今年で23歳。
ニホンザルとしては高齢なので、この日は群れの遠出遠足には参加しなかったようです。
リボンは群れと離れて単独でエサ場に来ることもありますし、コミュニケーション力が高いようで、ジョーや他のハナレ猿と一緒に過ごすこともあります。
出勤サルが少し増えてる??
10月21日
この日はハナレ猿が10数人来ていました。
私が到着した時は、エサをもらった後のようで、それぞれ好きな場所でくつろいでいました。
エサやり小屋の隅で寝ているのは
『ミギー』
ライブラリーの奥で、寝転がっているオスもいました。
群れから離れているオスは名前のないサルが多いそうで、このサルの名前も分かりません。
彼の元に、まだ幼さの残るオスが毛づくろいにやってきました。
毛づくろいに来たのは『ナルオ』でした。
モンキーセンターで大人気の『ニーナ』のお兄ちゃんです。
この日はナルオと同じ年頃の若オスが、他にも数人いました。
しばらく観察していると、ナルオと同様に若オスが大人の毛づくろいをしたり、一緒に昼寝をしている様子が見られました。
エサやり小屋の裏側にも、大人と若オスのコンビを発見。
若オス達は人間で換算すると中高生くらいでしょうか。
彼らだけでプロレスをしたり、広場で追いかけっこをして遊んでいる様子も見られました。
元気な若オス達と違い、大人達はリラックス。
今日は「群れのサル達は来ない!」と思っているのでしょうか。
それとも仲間が居るから安心しているのでしょうか…
9月頃、単独でエサ場に来ていた時のような独特の緊張感が、あまり感じられません。
エサやり小屋の前で、お客様からサツマイモをもらっています。
サッと手を伸ばしておやつを貰えるサルと、欲しいけど怒られることを恐れて手を出せないサルがいます。
やはりハナレ達の中でも、しっかりと優劣関係があることが分かります。
この日は午後2時半頃、みんな山に帰ってしまいました。
実は、ハナレ猿達をじっくり観察するのは今年が初めてです。
今まで、この時期はサル達に会えない確率が高いので、来園することがなく、毎年YouTubeライブ配信を見ていました。
記録を取っていないので確かではありませんが、毎年この時期はライブ配信を見ながら
「今日もサルは映ってないなー」と思う日がほとんどだったような気がします。
今年は何か違うような・・・
10月22日
「昨日のハナレ達、群れのような雰囲気だったなー」
この日モンキーセンターへ向かう道中、ふとそう思ったのです。
いつも見ている群れのオス達の様子をイメージしてみました。
「群れのオス達もお互いに毛づくろいをするし、弱いオスは独りで端の方で過ごすことが多い。多少のいざこざはあるけど、一緒に行動している」
こう考えると、今のハナレ達の様子は、群れのオス達とそう変わらない感じです。
「これでメスが加わったら、小さな群れ?ハナレ組になるのかな」と思ってみたり。
そこで、この日から
【群れのような雰囲気なのか】を意識して観察してみることにしました。
こちらは管理室前で、おやつが欲しくてスタッフさん達を出待ちしている皆さんです。
群れの上位サルも、同じように出待ちしていることがよくあります。
次は、エサやり小屋の端で居眠り中の2人。
この2人の姿から、緊張感は全く感じません。
こんな所で休んでいるサルもいました。
優位なオスは、エサ場の中心で過ごすことが多いようでした。
好きな場所で自由に過ごしているハナレのオス達。
きっと少し前までは、単独で過ごす時間がほとんどだったと思うのですが、他のサルが近くに居ても気にならないようです。
では、この集団の中で一番優位なのは誰なのでしょうか。
こちらの『シミ』
見た感じ、体格は一番大きいようですが、順位は2番目のようです。
シミが毛づくろいをしている相手が、この中では一番優位なサルのようです。
このサルの名前は『ハチコウ』
#23「サル達は秋の遠足に!群れの居ぬ間はハナレ猿」の時は名前が付いておらず、記事では【似てマツ】と呼んでいたオス猿です。
管理室前でセンター長さんを待つ姿が『忠犬ハチ公みたい』ということで、センター長さんが名付けられたそうです。
このハチコウを筆頭に、シミやミギーのような大人が数人と、5~6歳かな?と思われる若オス達、合わせて10数人の集団になっていて、この日も午後2時を過ぎると、大人達が山に帰り始め、若オス達も後を追っていきました。
この日あたりから私の中で、
ハチコウ達を『ハナレ組』と呼ぶようになりました。
あら?メスさんまで
10月26日
11時前にチラッとエサ場に行ってみました。
あれ?
ハナレ組の中に1人、メスが居ます!
彼女の名前は『アサリ』
この数分後、彼女はハチコウの傍に居ました。
秋になるとサル達の恋の季節(発情期)が始まります。
もしかしたら、アサリも少し恋愛モードになり、この日は遠足をお休みしてハチコウに付いてきたのかもしれません。
2人の様子が気になるところではありますが、残念ながら、この日の観察はここまで。
サル達も午後3時までに、山に帰ってしまったようでした。
10月29日
この日はハナレ組16人と共に、メスの『ライチ』が来ていました。
しかし、ライチはエサ場の中心(カッコン付近)まで降りて来られないようでした。
どうやら下に居るオスから逃げているようで、木の上でしばらくじっとしていたり、オスの動きを見て他の木に飛び移ったりしていました。
この時、ライチを追いかけていたのは…
3日前のアサリの時とは雰囲気が違い、この日は一方的にハチコウの方がライチに興味があるようでした。
ちょっぴり恋愛モードのハチコウ以外のオス達は、この日も変わりなくエサ場でのびのび過ごしていました。
安心、安全な場所をキープしているサルも
雨が降ったら、みんなで雨宿り
しかし、微妙に間隔を空けて座っているところを見ると『仲良しの群れ』というよりは『おひとりさまの集まり』という感じにも見えます。
幼さの残るナルオは仲間と一緒にくつろいでいました。
基本的には独りで過ごすけど、同じエリアで過ごすには やはり良好な関係を作ることも必要なのでしょう。
大人と若オスがお互いに毛づくろいをするシーンは、よく見られました。
識別ができないので、正確ではありませんが、大人オスには可愛がっている若オスが決まっているのか、同じペアかな?と思うことがありました。
朝から出勤していたハナレ組は、この日も午後2時頃からソワソワ。
大人達が山に帰り始めると、若オス達の行動が急にあわただしくなります。
大人達が独占していたカッコンにダッシュで向かい、高速でカッコンの紐を引く子。
管理室前まで来て、可愛くおやつをおねだる子。
この日、最後までおねだりを粘っていたのはナルオです。
ナルオは、おやつも欲しいけど、先に帰った仲間も気になります。
管理室のドアと、山を交互に見ています。
この直後、ナルオはおやつを諦め、慌てて仲間を追っていきました。
ご安心ください。
みんなが山に帰る前、ナルオも含め全員たくさんエサやサツマイモをもらって食べていました。
恋の季節とハナレ組
11月2日
朝から雨が降っていました。
前日のお昼過ぎまで、一部の群れのサル達が来ていたからでしょうか、ハナレ組のサル達は少し山の方を気にしているようでした。
おや?
ハチコウと後ろの若オスとの間に、誰か居ます。
ハチコウの後ろに居たのは、1週間前に見たアサリでした。
やはりハチコウに近づきたいようです。
見慣れている群れのオスよりも、ハナレオスの方が魅力的なのでしょうか。
様子を見ていると、すごくラブラブな雰囲気ではないけど、ハチコウもまんざらでもない感じでした。
もちろん、他のハナレ組の皆さんも居ます。
管理室内を覗いている若オスもいました。
この日はナルトも来ていました。
若いメスがやってくるのは珍しい気がしましたが、ナルトはナルオの姪なので、一緒に来たのでしょうか。
それともマイペースな彼女の性格なのでしょうか。
お食事時間はハナレ組スタイル
この日もハナレ組と数人のメス、合わせて20人ほどが出勤。
エサ以外に、時々おやつタイムがありました。
私が群れのサル達と違うと感じたのは、エサの時間でした。
群れのサル達の食事時間でも、食べ物をめぐって揉め事はあります。
しかし、上位のオス達は「自分は確実にもらえる」と思っているからか、他のサルが自分よりも先におやつをもらっても、噛みつくほど激怒することはほとんど見かけません。
また、ハナレ組の場合は人数が少ないので、誰がエサをもらっているのか一目瞭然です。
弱いサルは襲われるのを恐れて、見える場所にエサがあっても上位のサルが近くに居ると寄りつきません。
群れのサル達と比べると、上位のサルが独り占めしようとする感じです。
その為、エサやおやつの時にはスタッフの皆さんは、ハナレ組全員に行き渡るように配慮されていました。
エサを小分けに撒いたり、弱いサルの近くまでおやつを投げたり、強いオスに気づかれないようにそっと渡したり。
若オス達も、普段はあまり食べられないであろう大きさのサツマイモ、バナナ、リンゴなどを美味しそうに食べていました。
このまま『ハナレ組』結成??
11月9日
『群れが来ない日は ハナレ組』が
すっかり定着してきました。
ハナレ組の滞在時間も少しずつ伸びてきて、ほぼ閉園時間までエサ場で過ごすようになっていました。
安定のソーシャルディスタンスですが、群れより総人数が少ないので当然ですかね。
静まり返ったエサ場に、一定のテンポで聞こえてくるカッコンの音。
のんびりくつろいでいるサル達をじーっと見ていると、ドンドン眠たくなってきます。
写真では少なく見えますが、エサの時間になると20人程度集まってきます。
11月12日
ズンズンズン
力強い足取りでスロープを上がってくるシミ。
ハナレ組N0.2の貫禄を感じます。
鋭い視線を山の方に向けたあと、近くに居た若オスをチラ見。
そのまま彼の前でゴロンと寝転がりました。
若オスも受け入れ態勢は万全です。
シミが寝転がったと同時に毛づくろいスタート。
ハナレ組と一緒にやってくるメスも、少しずつ増えてきました。
プーさんとリボンは体力温存の為に、遠足をお休みしたのかな?
ミギーはカッコンの順番待ち。
もちろん若オス達も出勤していました。
エサ場の中心まで、なかなか降りてこられない大人も居ます。
ハナレ組No.1のハチコウは管理室前で、おやつ待ち。
11月16日
この日はメスのライチが来ていました。
2人共に顔が赤く、この距離感。
むむっ。
なんだか怪しい💖
ハチコウに追われていた時と違い、ライチがシミに積極的なように見えます。
すました表情でその気がないように見えるシミですが、この2人は相思相愛なようで、撮影していない時に仲睦まじい様子が見られました。
ハナレ組の出勤日にやってくるオスも、毎日同じではありません。
『おじい』?『おじいやん』?
私は未だにどっちが正確な名前か分からないのですが、とっても可愛らしい顔をしています。
昨年も来ていたそうです。
この数日前からエサ場周辺に現れるようになったと聞き、ぜひ会いたいと思っていました。
若オスでは『ナイン』が来ていました。
彼は群れのメス頭『プリコ』の次女・プリコ09の息子です。
ナインは完全に群れから離れてはいません。
11月中も群れのサルがエサ場に来ている時に、母親のプリコ09と一緒に居ることもありました。
まだ幼いので母親と一緒に群れで過ごす時もあれば、他の若オスと一緒に行動する時もあるのではないかと思います。
もしかしたら名前の分からない他の若オスも、ナインと同じような行動をしている子がいるかもしれません。
『群れ』と『ハナレ組』
この秋のハナレ猿達の行動を簡単に振り返ると…
9月上旬
シミやハチコウなど、群れから離れているオスが単独で現れることが多く、
エサ場で集合している感じではなかった。
10月中旬
ハナレ猿だけで10~20人程度、エサ場に集まるようになった。
10月下旬
群れのメスも数人参加するようになった。
11月
ハチコウ、シミを中心に、小さな群れのような雰囲気がすっかり定着。
「群れのサル達が遠足から戻ってきたら、ハナレ組はどうなるのかな?」
今年、初めて『ハナレ猿』と言われているサル達をじっくり観察し、それぞれのキャラクターや関係性を知ると、ますます興味が湧いてきました。
『ハナレ組』の群れっぽさを強く感じるようになり
『群れ』も観たいけど、『ハナレ組』も観続けたいな、と思っていたら
11月18日以降、群れのサル達が徐々に戻ってくるようになり、私が訪問する時に『ハナレ組』に会う機会が少なくなりました。
ハナレ組のサル達は群れが出てくる前の早朝にやって来ることが多いようです。
彼らはエサ場でエサを食べたり、寝転がってくつろいでいても、群れのサル達が近づくとすぐに気づき、背伸びをして山の様子を確認。
群れのサル達がエサ場に到着とほぼ同時に、走り去っていきます。
まるで【交代勤務】のように。
ライブ配信を見ていると、交代する時に群れのサル達がハナレ猿に向かって『出ていけ!』と言うように追いかけることもありますが、ケガをさせるような争いをしている様子は見られません。
淡路島という限られた範囲の中で暮らしている淡路のサル達。
私が観察したハナレ組のサル達も、群れのサル達と同じような場所で暮らしているのかもしれません。
群れのサル達の動きを見ながら、なるべく鉢合わせしないようにしているように思います。
これも淡路のサル達の寛容性なのでしょうか。
ということで
今回『群れっぽい』と感じて始まった観察の結果は・・・
『ハナレ組』ゆるーく継続中!
あくまでも、私の個人的見解ですので、悪しからず。
12月になり、本格的な発情期に入りました。
先日、群れのサル達がエサ場で過ごしている時に、エサ場の端を警戒しながら通り抜けるシミやミギーを見掛けました。
発情している群れのメスを探しているようです。
群れのサル達も魅力的ですが、ハナレ猿達も個性豊かで魅力的です。
ハナレ猿に興味のある方は、モンキーセンターを訪問された時、山の中・木の上など…じっくり観察してみてください。
ハナレ猿がジーっと群れの様子を見ているかもしれないですよ。
☆YouTubeにて、動画投稿を始めました!
よろしければ、チャンネル登録をお願いします。
sora.11 YouTubeチャンネル
【そらと淡路のおサルさん】
淡路島モンキーセンター YouTubeライブ配信
淡路島モンキーセンターの情報はホームページでご確認ください。
淡路島モンキーセンター Instagram
sora.11sora Instagram