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#20 オスの子育てが進化? ガアラとメダカの娘
淡路島モンキーセンターでは、5月1日に今年最初の赤ちゃんが誕生し、その後も続々と赤ちゃんが誕生しています。
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ポコの赤ちゃん
6月下旬のセンターの餌場は、よちよち歩きの子や、ママに抱かれている赤ちゃんだらけです。
一方で、大人オスが子ザルと一緒に過ごしている様子もたくさん見られます。
子ザルを可愛がるオス達🐵
まずは、群れのNo.7オロチ
彼が子ザルの世話をする様子については『#12 オロチおじさんと子ザル』で書きましたが
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オロチとマミヤの息子
6月になっても、オロチの傍でマミヤの息子が遊んでいる様子が見られました。
続いて、群れのNo.2チョウナン
彼は昨年からずっとタマボンがお気に入り。
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相手のお腹をつまむのが好きな
チョウナン
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童心に返ってプロレスも
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チョウナン
継承されている優しさ🐵
センターの資料館には、淡路ザルは他のニホンザルと比較すると、寛容性(仲間に対する優しさ)が高いと紹介されています。
その中に、オスの子育てに関する資料もあります。
そこには【ニホンザルのオスは子育てには、ほとんど関わらない】と記されています。
恋の季節(発情期)に複数の相手と恋愛をするサル達。
出産するメスと違い、オスは父親の自覚を持つことができないから
【子育てに参加しない】ということなのでしょうか。
しかし、資料には続きがあり
9代目リーダー・アサツユは
【母親が面倒を見なくなり、衰弱している子ザルの面倒を見た】と紹介されています。
また『伝説のボス』と語り継がれている7代目リーダー・マッキーは
【母親が居ない、障がいをもつ子ザルの面倒を見た】と紹介されています。
チョウナンやオロチのように、子ザルを可愛がるオス達を見ていると、歴代リーダーを中心に、こうした優しさが継承されているということなのかな、と感じます
淡路のイクメン達🐵
昨年、センターではタカチヨ(愛称パパさん)が母親の居ない子ザル達の世話をしていることが話題になりました。
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愛称の由来は
子ザル達の世話をしているから
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世話をしている子ザル達が
タカチヨの毛づくろい中
群れのNo.3マック
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毛づくろいだけではなく
甘える子ザルを抱いていました
別の日には、子ザル抱いて雨やどり。
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マックと子ザル
しっかりと温めています
この日は別のオスも、子ザルを抱いていました。
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ギューッと
こちらのオスは、元気いっぱいな子ザル(タッチ)を抱いています。
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タッチを抱くオス猿
(名前は付いていない)
他にも、子ザルの毛づくろいをしたり、抱いているオスをよく見かけます。
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このように、子ザルの世話しているオスは複数いるのですが
今回は『ガアラ』の観察記録です
🐵ガアラとメダカの娘
オスの名前は『ガアラ』
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太郎と共に屋根上に居ます
ガアラに甘えているのは『メダカ(メスの名前)』の娘(2023年生まれ)
まだ名前がないので「メダカの娘(コ)」と呼ばれています。
『おてんば』という言葉がぴったりの、元気いっぱいな女の子です。
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ガアラに甘えているメダカの娘
メダカの娘はガアラに毛づくろいされている時も、じっとしていられる時間は短く「友達と遊びたいんだけどー」と言わんばかり。
体をくねくねさせています。
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しかし、ちょっとだけ友達と遊ぶと、ガアラの元に戻って甘えます。
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気持ち良さそうに毛づくろいされていましたが、やはりじっとするのは苦手なようで、すぐに向きを変えます。
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雨降りの日には、一緒に雨宿り
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ガアラに抱かれて熟睡中
そろそろ「この娘には母親は居ないの?」という質問が聞こえてきそうなので、先にお答えしておきます。
メダカの娘は常にガアラと過ごしているのではありません。
彼女の母親『メダカ』は群れに居ます。
娘が母親に甘えに行くことも、もちろんあります💖
🐵親子のような2人
野生なのでメダカの娘の父親が誰なのかは分かりませんが、2人の様子を見ていると、まるで親子のように感じることがあります。
6月10日
ご飯(エサ撒き)が終わり、夕方恒例のデザートタイムが始まりました。
ガアラは群れのNo.6太郎と一緒に、屋根上から手を伸ばしてデザートを貰っています。
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トンマ(左) 太郎(中央) ガアラ(右)
この場所は中央に陣取る食いしん坊・太郎のおかげで、順位が低いトンマやガアラも大きくカットされたデザートを、No.7オロチよりも多く貰うことができる特等席です。
ガアラの右にはメダカの娘がいます。
大人達と同じように下の様子を見ていますが、娘は下を覗いてもデザートはもらえません。
退屈になり、構ってもらおうとしたのか、ガアラにチョンと軽くタッチをしに行きました。
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大事なデザートを貰う為、集中していたガアラは娘の身体を掴んで叱ります。
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しかし、叱った方のガアラが逃げるように後ろに移動。
叱られたメダカの娘は「キキッ」と声を出しながら、移動するガアラの背中に飛び乗ります。
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ごめんなさい!(by 娘)
デザートタイム中に子守りをするガアラが珍しいのか、太郎も気になる様子。
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謝るように飛び乗ってきたメダカの娘を許したのか、そのままグルーっと向きを変えたガアラ。
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娘を背中に乗せたまま、デザートタイムに戻ります。
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メダカの娘は、ガアラが腰を下ろすと背中から降り、ひどく叱られずに済んでホッとしたのか、頭をポリポリと足でかいています。
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その後、ガアラがニンジンを食べている間は屋根上をウロウロし
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ガアラがニンジンのヘタをポイッとすると、彼の足元に落ちていたニンジンの欠片を拾ってモグモグ。
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小さなニンジンの欠片を食べ終えると、ガアラと一緒に下を覗いていたのですが、やはりじっとしていられないようで・・・
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今度はガアラのお尻をチョンと触ると、後ろに向かってダッシュで逃げました。
ドッドッドッドッ
怒ったガアラが屋根上をかけ上げる足音がしっかりと聞こえます。
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言っただろー(by ガアラ)
ガアラの迫力に、さすがのおてんば娘も「ごめんなさい、もうしません」の表情です。
大事なデザートタイムを2回も邪魔されたガアラ。
今度こそしっかり注意しようとしたのか、軽く叩くように右手を出したその時・・・
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ガアラのお腹にくっつきました
娘にタッチされた直後の「ドッドッドッドッ」の勢いは、どこにいったのでしょう。
抱き着く娘をあっさり受け入れてしまいました。
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『男親は娘には弱い(甘い)』ということでしょうか。
怒る気持ちを落ち着かせるようにその場に座り、落ちていた押し麦を拾ってモグモグ。
抱き着いているメダカの娘に
「パパの仕事はもう少しで終わるから、待っていなさい」と言い聞かせ、また定位置に戻ります。(妄想です)
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終わるまで遊んでくるね(by 娘)
さっきまで泣きそうな顔をしていた娘は、何事もなかったかのように隣の屋根の方へ遊びに行きました。
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ガアラは定位置に戻り、デザートを食べている間も時々振り向いて娘の様子を確認しています。
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一方、無邪気なメダカの娘は、時々ガアラの元に戻ってデザートの欠片を拾って食べたり、くっついて甘えていました。
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デザートタイムが終わり、屋根の端で友達と遊んでいたメダカの娘をガアラが迎えに行くと、気付いた娘が先に柱を伝って下に降り始めました。
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ガアラも降りています
ガアラも頭から降り始めましたが、ちょうど娘の上でくるっと向きを変えると、覆いかぶさる状態になりました。
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守っているようにも見えます
ガアラにすっぽりと守られた形のメダカの娘は、阿吽の呼吸で向きを変え、ガアラのお腹に抱き着きました。
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娘をお腹に抱いた状態で、スルスルと下まで降りると颯爽と歩き出したガアラ。
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この日は、一緒に山に帰っていきました。
ガアラの子守りは、他の日にも見られました。
2024年6月16日
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デザートタイムが始まる直前
デザートタイム中も、メダカの娘の面倒をみています。
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たくさんもらってるね(by 娘)
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2024年6月17日
デザートタイムが終了
下で遊んでいたメダカの娘が屋根へ上がろうとしています。
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ただいまー(by 娘)
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この日も、先にメダカの娘が降り始めます。
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メダカの娘も、降りる途中でガアラが降りるのを確かめています。
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この後、2人で山に向かったのですが、途中でメダカの娘が寄り道をして土を食べ始めました。
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天真爛漫なメダカの娘。
途中で待っているガアラのことを気にする様子はありません。
表情を変えることなく、娘が食べ終わるのを健気に待っているガアラを見ていると「できた父親だな」と感心します。
周りが騒がしくなると、メダカの娘はガアラの元にやってきました。
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甘え上手な娘は、ジーっと待っていたガアラに飛びつくように抱き着きました。
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娘の立ち姿が可愛い💖
この後、すんなり山に帰るのかと思ったら、メダカの娘はガアラの腕からするりと抜け出し「やっぱりもう少し遊んでくるね」と餌場に向かってしまい、結局また待たされるガアラなのでした。
【子育てをしない】とされるオスが、のんびりと過ごす時間に子ザルの世話をしている姿にも感動しますが、『食べる』という、大切な時間でも母親のように心配したり、甘えさせる様子を見ていると、人間と同じような『優しさ』『守りたい』といった感情が、サル達にも豊かにあることを感じることができました。
🐵ファミリー感のあるサル達も
冒頭の【淡路のイクメン達】でも紹介しましたが、タッチの世話をしているオスはタッチの母親とも仲が良く、まるで家族のように見えます。
他にも、ミカヅキ(オス)とココロ(メス)も行動を共にしていることが多く、こちらも家族のような雰囲気です。
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見守るココロ(左) ミカヅキ(右)
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観察していると、ココロがミカヅキに付いて、行動を共にしていることが多いようです。
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注意するミカヅキ
オスは赤ちゃんが近づくと扱いに困るのか、手荒く払いのけているのをよく見かけます。
しかし、ミカヅキはココロの赤ちゃんに手荒くする様子はありません。
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手を伸ばしています
食べ物に関しては厳しい動物社会なので、この時はヒヤッとしましたが、ミカヅキはバナナをサッと引き、目を見て「ダメ」と軽く圧を掛けただけでした。
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赤ちゃんを見つめるミカヅキとココロを見ていたら「完全にファミリーだわ」と大感動してしまいました。
今回は、人間社会の子育てが時代と共に変化しているように、淡路ザル社会も【オスも一緒に子育てをする時代】へ変化し始めているように感じ、もしそうだとしたら・・・と思うと、さらに興味が湧く観察となりました。
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