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ワタシは宇宙人 「弱り目に祟り目」 #23

卒園式の朝を迎えた。

この日は、わたしの楽しかった保育園の仕事の最後の日でもあった。

相変わらず、外の空気は冷たい朝だった。

保育園に着くとすぐに、少し下腹部辺りがズンと鈍く痛んだのが分かった。その日は礼服を着ていたため、お腹が冷えたのだと思い、お腹にタオルを当てて温めた。

式が始まると、ズンズンと少しずつ痛みが強くなった。

やっと卒園式が終わり、今度は会食及び送別会が始まる。先生はこの時のために、ずっと練習してきた出し物を披露するのだ。

わたしは他の先生と一緒にダンスと演奏を披露した。そして最後の見送りまでお腹の痛みになんとか耐えきった。

緊張の糸が切れると痛みは更に強く襲って来た。夕方、家に帰るとすぐ病院に連れて行ってもらった。

病院に着いて間もなく、わたしは痛みで意識を失った。

虫垂炎だった。

わたしは長い時間我慢していたため、虫垂は親指のサイズに腫れて内出血し、それが腸の影に隠れていてなかなか診断を下せなかったらしい。そしてやっと手術になった。中を見ると腹膜炎を起こす寸前だったようだ。

そして何より最悪なのが、この手術でわたしは脳脊髄液減少症を引き起こしていた。

脳脊髄液減少症とは腰に麻酔を打った時に、少し針がズレて脳脊髄液がこの穴から漏れてしまうことだ。症状は激しい頭痛や吐き気、めまいなどが起きるのだ。

わたしは虫垂炎手術をして次の日に意識が戻ったが、頭は何かで殴られたように酷く痛んだ。しかし、先生には安静にして自然に改善するのを待つのがよいと言われた。

手術して4日目。

激しい頭痛を抱えたまま、わたしは退院した。

家に帰っても激しい頭痛と吐き気で起き上がることが出来なかった。


それから1週間経ってもわたしの頭痛は一向に治まらず、結局また再入院になった。

感動の涙に包まれるハズの卒園式は、腹の痛みで泣きそうで、我慢のあげくの虫垂炎で腹膜炎になりかけて、手術をしたのは良いが、とどめには脳脊髄液が漏れるという、見事に弱り目に祟り目状態だ。

なんでわたしはこうなんだろう。ツイてないときは、とことんツイてない。


何より、こんな事している場合ではないのだ。

祖父がいつ行ってしまうのか分からないと言うのに。本当に自分が情けない。

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