
アメリカ地貌季語委員会
第3回目のお題は「蝶渡る」!
鳥も渡れば蝶も渡る。ではなぜ今このお題なのか?秋は蝶の渡る季節!春にも渡る?渡ります。しかし形態が異なります。例えば北米に生息するオオカバマダラ(monarch butterfly)! 秋、オオカバマダの成虫は、集団で交尾もせずに花の蜜で栄養補給をしながらひたすら南へと渡ります。そして渡るにつれその数が増え続けるのです。オオカバマダラの渡りは5000キロにも及ぶこともあるとか!比べ、春の渡りはそれぞれが別々に行動し、交尾をしながら北上します。途中メスは卵を産み一生を終え、羽化した蝶達が北上する、と言うのを繰り返します。故に秋のような大群の渡りとは異なります。
日本でも蝶の渡りは見られます。アサギマダラは海を渡って1000キロ以上の大移動をします!渡りをする日本で唯一の蝶です。(わらわは子供の頃、蝶の大群の渡りを見たことがあるでござる。あれはアサギマダラだったにに違いないぞよ!)
さて、「蝶渡る」はまだ季語として確立していないようです。お題として出されても、秋の蝶としたり藤袴と組み合わせて詠まれたりしているようです。是非、アメリカ地貌季語と限らず、確固たる季語に推そうではありませんか!
投句期間の2022年10月14日より20日までに、ツイッター上で158名の方々から241句をお寄せいただきました。英語でのご投句もありました。ご賛同とご投稿を誠にありがとうございました。数多の蝶が飛びました!
それでは素晴らしき蝶渡る句をお楽しみください!(順不同)句と共にお寄せただいた体験談やコメントもツイッター(#アメリカ地貌季語委員会)にて是非ご覧ください。Save butterflies!
綿雲と追いつ追われつ蝶渡る
千代之人
Siriよりも風に詳しき蝶渡る
麦のパパ
蒼穹へフライングして蝶渡る
麦のパパ
何処から問ふも拝みて蝶渡る
麦のパパ
護身てふ毒を吸い吸い蝶渡る
亀田かつおぶし
白昼の夕空めくや蝶渡る
いさな歌鈴
魁(さきがけ)は震えるかしら蝶渡る
ほしのあお
太陽のかけら拾うて蝶渡る
げばげば
蝶渡るハワイに住みたかった叔母
梓弓
気に入りの風捉うかに蝶渡る
句保田凡
大陸を寿ぐ蝶の渡りかな
栗田すずさん
柿色の柱ほぐれて蝶渡る
栗田すずさん
自転車の集団千切れ蝶渡る
梅鶏
革命の粉塵纏い蝶渡る
福みつこ
溢れゆくひかりの欠片蝶渡る
三月兎
蝶渡る故に地球は自転せり
恵勇
山の神ぷぅーと後押し蝶渡る
伊藤柚良
幾千の風の先っぽ渡り蝶
怨念大納言
「熱情」の調べのゆくへ蝶渡る
充子
蝶渡るピンの先ほど小さき脳
秋白ネリネ
蝶渡る毒取り込みし己が身よ
秋白ネリネ
太陽と触覚の地図蝶渡る
秋白ネリネ
父母も知らぬ行路や渡り蝶
秋白ネリネ
蝶渡る自由は心より生まる
このはる紗耶
水平線と風の角度を蝶渡る
月岡方円
漂流の筏は小さし蝶渡る
仁和田永
波の間に散る翅もあり蝶渡る
仁和田永
言語野を鱗粉の散る蝶渡る
仁和田永
国境の銃声ひとつ蝶渡る
仁和田永
蝶渡る月に光があるやうに
柊月子
蝶渡るイルカに乗った少年と
ヒマラヤで平謝り
アメリカと日本の空を蝶渡る
ヒマラヤで平謝り
蝶渡る月のひかりにだまされて
ヒマラヤで平謝り
蝶渡る空は平和のためにある
クラウド坂の上
なき声もあげず群れなし蝶渡る
風早杏
日系の系に風雪蝶渡る
欲句歩
人間は眠たき肉や蝶渡る
古田秀
山門に仙果の瓦蝶渡る
ももたもも
蝶渡る海は平和に渡るもの
明 惟久里
蝶渡る赤い彗星堕ちる時空(そら)
水蜜桃
蝶渡る死にゆく星と知りながら
水蜜桃
蝶渡る大いなる弧を描きつつ
立田鯊夢
パブコメの公開終へて蝶渡る
梓弓
蝶渡る自分が何者かを知らず
穂積天玲
蝶渡る空の深きを吹雪くごと
竹田むべ
蝶渡るその身に毒を孕ませて
竹田むべ
テキサスに住むまたいとこ渡る蝶
イサク
触れし物に色を足しては蝶渡る
渡辺かや
蝶渡る奇跡はほんの二億年
まんぷく
複眼の現世歪めず蝶渡る
まんぷく
パンゲアは五つに別れ蝶渡る
まんぷく
人間の鎖を蝶の渡りけり
藤白真語
蝶渡る真下へ沈む潜水艦
羽沖
この星に生まれた理由蝶渡る
三尺玉子
永遠に飲みたいスープ蝶渡る
三尺玉子
chestnut tiger
desire to be a part of
your DNA
三尺玉子
ベッドから起きて南へ蝶渡る
龍田山門
鱗粉のかがやく水面蝶渡る
暖井むゆき
蝶渡る重力でさえ心地よい
染野まさこ
両翅に英字や数字蝶渡る
竹内いちに
しらしらと休みてゐたり渡り蝶
露草うづら
赤道を滲む汽笛や蝶渡る
企鵝
テキサスに起こる竜巻蝶渡り
樋口滑瓢
陸奥の兜の月や蝶渡る
迫久鯨
海原や浅葱の翅の蝶渡る
佐渡の爺
渡る蝶便り届けよ未知の地へ
佐渡の爺
青空へ羽衣の翅蝶渡る
佐渡の爺
丸天井崩れし空へ蝶渡る
由野
薔薇窓が伝へる奇蹟蝶渡る
由野
QRコードの調べ蝶渡る
岸来夢
蝶渡る空よ私がバカだった
けーい〇
蝶渡る破れた翅の浅葱色
直
蝶渡る翅の日付の三か月
直
億の翅ひとつになりて蝶渡る
紗羅ささら
線引きのなき渦潮や蝶渡る
いたまきし
蝶渡るできるだけセンチメンタルに
丁鼻トゥエルブ
蝶渡る太陽を蹴るパルクール
丁鼻トゥエルブ
蝶渡る空に染まりし進化の翅
一久恵
蝶渡る寅さんの鼻緒すげ替へ
一久恵
過酷なる自由をえらび蝶渡る
中山月波
蝶渡る己がいのちに忠実に
蝦夷野ごうがしゃ
蝶渡るバレエ少女の脱露劇
阿部八富利
赤道は凪の帯なり蝶渡る
山本先生
しなやかにしたたかに蝶渡る宙(そら)
幸田柝の音
風よ雲よおだやかにあれ蝶渡る
幸田柝の音
碧天の機影遥けし蝶渡る
夏湖乃
蝶渡るケーナを遠き風に聴く
木ぼこやしき
蝶渡る技能実習1号口
シルマ☆
摩天楼を蝶渡りゆく風の渦
じゃすみん
変態てふ美しき掟や蝶渡る
じゃすみん
蝶渡る翅音は抱きて微振動
楽花生
地に落つる翅夥し蝶渡る
川越羽流
蝶渡る天へ数多の紙吹雪
梵庸子
国境は赫く平らか蝶渡る
高尾里甫
Motelのcoffee薄し蝶渡る
池之端モルト
蝶渡る渡る他人になりきれぬ
嶋村らぴ
蝶渡るサハラ砂漠で砂を噛む
有利
佳き風や蝶渡りゆく勁くゆく
紅藤子
賎民の目は潰されて蝶渡る
登りびと
飾らない日のショーウィンドウ蝶渡る
登りびと
メキシコの黄色い陽射し蝶渡る
糸川ラッコ
閉塞のため息一つ蝶渡る
近江菫花
蝶渡る少女の髪にスリーピン
近江菫花
国境に欠けし標石蝶渡る
近江菫花
三度目の初めましてや蝶渡る
濃厚エッグタルト
蝶渡る隔てる壁をなべて超え
だらのん
渡る蝶あまた天上我の物
だらのん
渡る蝶あまた天上を我らに
だらのん
恋文にそっと口づけ蝶渡る
郁爺(蟹組)
本当の空を探しに蝶渡る
郁爺(蟹組)
自我という荷物を捨てて蝶渡る
毛糸
縫いあげたプレタポルテや蝶渡る
林りんりん。
蝶渡る薬草園に南京錠
林りんりん。
カメムシのくさい山みち蝶渡る
林りんりん。
減便のバスやつと来て蝶渡る
林りんりん。
第二幕マリア・カラスの蝶渡る
林りんりん。
三重版にアサギマダラの旅の記事
林りんりん。
ピンカートン帰国の悲恋蝶渡れず
林りんりん。
みなとからグラバー邸へと蝶渡る
林りんりん。
退職のビジネスレターや蝶渡る
林りんりん。
遊郭の楼門ひらり蝶渡る
林りんりん。
三人子(みたりご)とアンパンマンショー蝶渡る
林りんりん。
せせらぎの橋から峠蝶渡る
林りんりん。
蝶渡る天井はシャガール作
林りんりん。
蝶渡るむかしむかしの鎮守さま
林りんりん。
ふるさとの筆書き看板蝶渡る
林りんりん。
くさむらにましろきむくろ蝶わたる
林りんりん。
蝶渡る柩のクラウン解かれる
林りんりん。
六華苑の和館洋館蝶わたる
林りんりん。
おゐらんの簪あまた蝶わたる
林りんりん。
定借を更地に還す蝶渡す
林りんりん。
ダブルオーにおんな着任蝶渡る
林りんりん。
蝶渡る翅に眼玉の無気味なり
林りんりん。
抽斗のジャポニカ帳や蝶渡る
林りんりん。
黄蝶渡る眼下の奴は死んだふり
林りんりん。
無伴奏重低音に蝶わたる
林りんりん。
帰蝶わたるうつけと共に天下布武
林りんりん。
きっぷ拝見の車窓に蝶渡って
林りんりん。
高虎の兜に一刻蝶渡る
林りんりん。
いい湯だな昭和ドリフや蝶渡る
林りんりん。
蝶わたるまるさんかくのてつぽうまど
林りんりん。
オフェリヤの眠れる岸べ蝶渡る
林りんりん。
あさゆうの米寿の日課蝶わたる
林りんりん。
廃校の二宮尊徳蝶渡る
林りんりん。
蝶渡るなばなの里の足の湯よ
林りんりん。
天帝の漫ろ心や蝶渡る
有野 安津
渡り蝶くすぐる地球(テラ)の臍部かな
有野 安津
トナティウの愛でし緋色の蝶渡る
有野 安津
蒼穹の透けゆく渡り蝶の翅
有野 安津
かの地でも芽の出ぬ男蝶渡る
荒太
蝶渡る二十一℃を求める旅
青木りんどう
覚えなき匂ひの果てや蝶渡る
青木りんどう
蝶渡る皆は空路をなすように
コンフィ
曇天は僕の後悔蝶渡る
コンフィ
蝶渡る澄んだこころのパスポート
姫川ひすい
蝶渡る狂うて駅の時計塔
ふるてい
魂の震える空へ蝶渡る
秋野しら露
渡り蝶音は消えたらどこへ行く
平良嘉列乙
蝶渡る夕映えの朱と見紛うて
鈴白菜実
ハチドリ来けふ王様の蝶渡る
大久保加州
羽音の谷に響けり蝶渡る
大久保加州
Monarch migration
sound of flapping echoes
in the valley
Cashew OHKBO
渡り蝶ひらと降り立つルチャの街
長谷川水素
蝶渡るフィートマイルを換算す
かむろ坂喜奈子
わたりてふくもにやすんでいるのだらう
若知古
蝶渡ル吾ガ屍ヲ越ヘテ往ケ
若知古
逆風を昇り昇りて蝶渡る
若知古
陽を吸うて万の眼黒し蝶渡る
加座みつほ
軽き身を柱に投じ蝶渡る
播磨陽子
Throwing its light body
to the flying pillar of its siblings
---Monarch migration
播磨陽子
はらはらと一つの命蝶渡る
とまや
渡り蝶示指で追ふ子の名は紬
ツナ好
蝶渡るクジラを望むはずの船
イサク
そこに仇いるわけでなし蝶渡る
北欧小町
アスペラトゥス波状雲下蝶渡る
⑦パパ
蝶渡る影とはすでにそこにあり
たーとるQ
万の蝶渡るリーズ城のあなた
小緑ふぇい
渡り蝶私の中のクエスチョン
おんちゃん。
蝶渡る今風の道開かるる
夏椿咲く
蝶渡る小さき神の子となりて
唯果
我秘めし思ひまとひて蝶渡る
茂木りん
蝶渡るゲートボールのサドンデス
藍創千彩子
登録者百万人で蝶渡る
鳥田政宗
まばたきは星の軽さや蝶渡る
DAZZA
ひとひらの葉書の余白蝶渡る
菅井香永
悠久の空へかたらひ蝶渡る
渥美こぶこ
戦争が終はらぬ理由蝶渡る
朝月沙都子
磁場感知日の射す方へ蝶渡る
那須のお漬物
蝶渡る翅のかたちに描く地磁気
冬のおこじょ
海原を豪華客船蝶渡る
星月さやか
人間を少しさまして蝶渡る
霞山旅
遺伝子の配列のごと蝶渡る
風花美絵
蝶渡る遺伝子青く動き出す
はれまふよう
蝶渡るダイナーよってパンケーキ
香田ちり
蝶渡る指にキビヤックの苦み
イサク
天へ伸ぶ風の回廊蝶渡る
中鉢矢的
蝶渡る己のきぼう羽に乗せ
宮井そら
ひたすらに彼方を見据え蝶渡る
鈴音(りん)
海渡る蝶の口吻甘からん
七瀬ゆきこ
a kiss of a butterfly
flying across the ocean
so sweet
七瀬ゆきこ
蝶渡るメルカトル図法のいびつ
古瀬まさあき
蝶渡るティンカー・ベルの粉纏ふ
摂田屋酵道
風変はり約束の地へ蝶渡る
夏椿咲く
蝶渡る重なる翅に千の色
風花まゆみ
海色を翅へ織りとり蝶渡る
トウ甘藻
蝶渡る南の国へ光る翅
三崎扁舟
蝶渡る風の生まれるところから
うた歌妙
蝶渡る道はにわかに輝いて
うた歌妙
蝶渡る進化形の生き方で
うた歌妙
蝶渡る生命の密よあと二日
うた歌妙
割れ石は聖地となりし蝶渡る
川端芙弥(かわばたふみ)
蝶渡る彼の軌跡に脚懸けて
片岡六子
蝶渡る空に広ぐる絵巻物
村瀬っち
蝶渡る渡る地球はしづかなり
ゆりのはなこ
爆撃の空知らずして蝶渡る
ゆりのはなこ
ひと言も喋らぬ一日(ひとひ)蝶渡る
うからうから
蝶渡る情念の火の赫く燃へ
山川腎茶
頬撫でる蝶の渡りの風かすか
新田ダミアナ(KNITTER Damiena)
蝶渡る朝はちらちら光る朝
雨野理多
朝の陽や木々の鼓動や蝶渡る
おかげでさんぽ
蝶渡る緑青吹きし羅針盤
みらんだぶぅ
百姓の悲喜すり抜けし蝶渡る
まるにの子
ふるさとの風の匂ひや蝶渡る
みずな
水底(みなそこ)にタイムカプセル蝶渡る
くまタガリ
谷深し一頭の蝶渡りゆく
あなうさぎ
やはらかな翅の靭さや蝶渡る
音羽凛
国境のなき空渡る蝶に自負
きのえのき
蝶渡る遠距離恋愛君と我
草流
風に乗り風を生み出し蝶渡る
桃園ユキチ
青き湖記憶に刻み蝶渡る
小川さゆみ
蝶渡る恋の聖地で逢いましょう
美村羽奏
DINERのネオンにゆらぎ蝶渡る
かねつき走流
もみの木のベット二泊目蝶渡る
里山子
蝶渡る行く道ちりり見ゆるのか
さおきち
蝶渡る海の向こうにある未来
小野更紗
風を追い花を追う旅蝶渡る
山内彩月
羽ばたきで廻る地球よ蝶渡る
山内彩月
蝶渡る幾億の夢閃かせ
にゃおっく
二十ペソのタコスのしなり蝶渡る
大槻税悦
消印を押され彼方へ蝶渡る
真井とうか
Monarch butterfly (Photo: Bernardo Roca-Rey Ross)
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