「あなたの恋人に会いました、素敵な方ね…。
偶然なの、友達に紹介されたの!」
こんな言葉をかけられる間柄って、どんな男女なのでしょう?
突然ですが、今年生誕100年の節目となる作曲家 大中恩さん。
「さっちゃん」「犬のおまわりさん」や「おなかのへるうた」など子供のころから大好きで歌ってきた童謡が大中作品と私が知ったのは、ずいぶん大きくなってからでした。
童謡だけでなく数多くの歌曲、合唱曲を作曲し、多くの人に歌う幸せ、聞く幸せを届けてこられた方でもあります。
日本語の流れや言葉の持つニュアンスと、メロディとが絶妙にマッチしていることに惹かれて、ここ数年たびたび演奏会でも歌ってきました。
中でも、歌うたびに新しい感覚を発見し、ハッとさせられることがある江間章子さん(「花の街」の作詩者)の詩による「あなたの恋人に会いました」は私を虜にしてやまない作品です。
歌いだしの歌詞が、冒頭に書いた言葉。これがそのままタイトルとしても使われています。
ピアニストさんと演奏を練っていく中で、出てくる人物像、二人の関係性は、奏者ごとに違ってとっても面白いんです。
・かつて付き合っていたカップル ←これは、まず間違いない。
・別れて間もないカップル(ひょっとして夫婦!?)、その別れの原因になったのが、”恋人”
・円満に分かれたと思っているのは男性だけで、長い年月が経った今でも女性は心の中にくすぶった思いを持ち続け、こっそり復縁を願っていた
・実は現在付き合っているのに、彼にはもう一人の”恋人”がいると知ってしまった直後、友達と一緒に歩いていて偶然、彼氏に遭遇してしまった。友達の手前、皮肉を言うしかできない女性
・かつての恋人にばったり再会し、「あぁ、素敵な女性だったなあ」と元カレに思わせたくて精一杯がんばっている女性・・・
いろんなイメージが湧いてくるものです。
ピアノ伴奏がどういう心情、情景を描いているのか、というのも十人十色。
どんなカタチの恋愛だったのか、想像が膨らむ作品ですが、歌う時々の私の感覚によって、強い女性だったり優しい女性だったり、か弱い女性にもなったり・・・歌曲ってこういう面白さもあるから好き。
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