『ゴースト・オブ・ツシマ』キャラボイス集・未公開セリフまとめ
先日、Twitter情報をきっかけに「境井仁ボイス全集」なるYouTube動画を見に行ってみたら、投稿者さんが仁だけではなく、他ツシマキャラの英語ボイスデータもどーんと公開してたんですよ。おそらく吸い出した音声データをまとめている系の動画だと思うのですが、本編未公開セリフも含まれていたため、推敲の過程が伺えて面白かった点などをキャラ別にまとめました(筆者も全セリフを記憶しているわけではないので、見落としやゲーム内既出分が混ざっている可能性は大ありですが)。ゆな、志村、竜三、石川ボイス集には『冥人奇譚』の弓取、侍、刺客、牢人各ボイスの加工前音声も含まれています。なお、元は公式以外の第三者がアップした動画ですので、未公開分に関してはあくまでマルチバースと申しますか、非公式情報としてお考え下さい。
ゆなボイス集
『冥人奇譚』の弓取りボイス、九死でよく聞く「That was rough(やばかったね)」の前にため息が入ってることに初めて気づきました。未公開分については本編戦闘中ボイスと混ざってる気もしますが、
さすがにスカッとする啖呵多数です。あと技名的な「Sharp Shooter」というセリフもありました。「狙った的は外さない」的な意味からの応用で、けっこうお下劣なスラングにもなってる(しかも複数)フレーズなので、えっ大丈夫? ってなりましたが。
本編未公開分に関しては16:04あたりから、仁がコトゥンと決着をつけて帰還するまでの間、派手に炎上する蒙古の軍船を目の当たりにした仲間たちがどうしていたかがわかるセリフが。
典雄の動揺っぷり。また、20:05には弟自慢ボイスもありました。
さらに31:52あたりでは、何やら「たかの火(Taka's Fire)」なる兵器らしきものの話も出てきます。
あちこちを同時多発的に攻撃できるらしい「たかの火」、えらい最終兵器感ですよね。仁ボイス集に後述するゆなの口ぶりではたか死亡後の要素らしいのですが、普通に蒙古を一掃できそうな何かの登場も検討されていたらしい形跡、興味深いです。
竜三ボイス集
「竜三ボイス集」では勿論『冥人奇譚』の加工前牢人ボイスが聴ける(石川先生の牢人ボイスも石川先生ボイス集に入ってます。やはり牢人は先生と竜三が混ざってるようです)んですが、しれっと刺客ボイスも入ってました。刺客の声は誰がやったんだろ? と思ってたら竜三役レオナード・ウーの兼ね役だったとは! ご本人は以前「セリフが多すぎて『奇譚』は収録した記憶が全然ない」とおっしゃってましたが、ということは日本語版の刺客ボイスを担当されたのももしや多田野さん??
で、牢人の未公開ボイスには「まことの地獄はこんなものではないぞ」「ここは通さぬ」とか、式神に話しかけてるらしい"There, there. Done loitering?"(「よしよし、道草は済んだか?」。動画01:35あたり)というものが。明後日の方向にウロウロすることにかけては定評がある式神たちですけど、あれ道草だったのか……。
そして刺客ボイス未使用分は01:45あたりから、
などなど、殺意ガンギマリボイスの数々が。刺客にはもしや、志村に「鬼子(demon child)」呼ばわりされた子供時代の竜三でも混ざってるんでしょうか? どんなコンセプトがあったのか気になります。他、「Shadow Strike!」(影之撃)という技名ボイスも確認しました。
本編の竜三ボイスは03:39地点から、
あたりは、どんなやりとりだったか気になりますね。
志村ボイス集
『Legends』侍ボイスとしては00:46あたり、弓取のケースと同じく「That was tough(骨が折れたわ)」の前に不敵な低い笑い声が入っていたことに初めて気付いたんですが、ゲーム内でも使われてるんでしょうか? 未公開分は「Flurry Strike!」(「連撃」。プレイヤー間では「流麗の伍連」の通称にも使われたりしてます)という技名(?)があった他、
などなど、基本的に無駄口を叩かないキャラ傾向がわかる内容でした。
本編ボイスだと、あのつら〜いラスト「志村之譚」パートらしい08:00に、和歌(原語版ではhaiku)と思われるボイスが。
これはもしや志村側の辞世? 地頭の気概を感じさせつつも複雑なニュアンスのある歌ですね(ちなみに日本の古い和歌や俳諧に狼を詠み込んだ作品は稀)。また19:55からはしばらく子仁との戦闘チュートリアルボイスになってるんですけど、22:12に、
というちょっと謎めいたセリフがありました。仁が特定の武器にトラウマを植え付けられるような設定が存在していたのでしょうか。あとは25:07にチュートリアルでの仁敗北時ボイスと思われる、
というセリフも確認しました。
そして逆に、本編に登場する小ネタの謎解き的なセリフもありました。32:52あたりから、「志村と仁が過去に青海寺で起こした面倒」「牢人との諍い」に関連すると思われるパートです。セリフの登場順を話の展開に沿って(いると思われる順に)並べ替えた上で抜粋します。
あの小ネタには回想シーンが存在していたようですね。そして志村と揉める牢人の名「カマタリ」は、志村喬と同じく黒澤映画の常連だった俳優・藤原釜足からとったものと思われます。名前のチョイスからして力を入れていたシーンだったんでしょうか。仁のセリフ集には該当箇所が見当たらなかったものの、大筋らしきものがわかったのは収穫でした。
石川先生ボイス集
『Legends』の牢人ボイス未公開分では、「薬師の息吹(Breath of Yakushi)」という奥義名を叫んでるのがまず驚き。牢人の奥義、伊邪那美じゃなく薬師如来も候補になってたんでしょうか。また、
などなどこう、濃縮された石川先生成分を感じるセリフもありました。本編の方のボイスでは「いくさが終わった後、日吉に来ることがあらば道場へ顔を出すがよい」とか「お主の鍛錬の賜物よ。お主にならば我が弓を預けてやってもよい。世辞はいらん」(10:29あたり)とかいつになく優しいセリフもあり、先生どうかしたんかな? と思うなどしました。
典雄ボイス集
9:07にはなぜか「お作法事の稽古を受けにいらっしゃい、杉寺の僧がセンセイを相務めましょう」とマナー教室開催を宣伝しているボイスが。典雄がマナー講師…!? そういえば大きなバトルの前に、希望者を集めて瞑想の会を開いたりもしてましたもんね、まったく違和感ないです。
あとまとめて聴くと、「阿弥陀様のご加護があらんことを」とか「阿弥陀様に救いを求めなさい」と阿弥陀如来への言及がそこそこあるな、ということにも気づきました。また兄・円浄が典雄の薙刀に刻んだという言葉「進めば浄土、退けば地獄」は巷間、石山会戦の一向宗の旗に書いてあったとされる「進者往生極楽 退者無間地獄」が元ネタなので、杉寺の宗派モデルのひとつはもしや浄土真宗? 1274年は開祖・親鸞が亡くなってから10年ちょいしか経っていないので、典雄や円浄たちもほぼ同時代人になるんだな、と思うと何だか面白いですね。
たかボイス集
冒頭にバトル中のセリフが入ってるんですが、たかは「俺があんたに何したって言うんだよ…!」というセリフの他に、「境井様が決着をつけて下さる!」「境井様に降伏しろ! 冥人相手に勝ち目はないぞ!」みたいな応援セリフ? もあるんですね。あと(あくまで私が覚えてる範囲で)本編に使われてたか微妙なセリフは、04:05あたりの、
鑓川近辺での思い出話と思われる04:40あたりの、
あたりでしょうか。また、クエスト「罰」で蒙古軍を誘き出す囮役をかって出た時の「こっちだ! ついてこい、汚い野良犬ども!」に始まる煽り口上にはもっと口汚いバージョンの続きがありました。
たか役エディ・シンさん、音楽やSEなしでセリフを聴くと日本語の固有名詞の発音のクリアさが際立ちますね。
政子ボイス集
未使用分らしきセリフが断片的でなかなかわかりづらかったんですが、最初の方にある「よぅし、大事ないぞ。良い子だ。気を鎮めろ、案ずるな…」という馬をなだめる優しい声は本編に出てきましたっけ? しかしやっぱり、
など苛烈度高めなので、静かなトーンとの温度差がすごかったです。仁パートと照合して初めて意味がわかった部分は、仁ボイス全集の項に後述します。
百合ボイス集
百合ボイスの未使用分に関しては03:46あたり、あと08:43あたりから、仁に収集を頼む素材類の名前が色々と出てきたのが面白かったですね。
などなど、毒物以外にも漢方薬や民間療法の材料と思しき組み合わせもありました。過去には百合の薬師ショップ的な何かの導入が検討されてたんでしょうか?
コトゥンボイス集
本編では聞いたことない類の哄笑から入って、
とか高圧的なセリフの数々が。 また、
というセリフもありました。
後半では元国が日本侵攻を決めた経緯を解説する流れで、歴史書等に記録があるチンギス・ハーンの言葉を引用するパートも。演者のパトリック・ギャラガーがだいぶ抑え目なトーンで語っているのは、兼ね役とはいかないまでもコトゥンの祖父チンギスとして話してるからでしょうか。内容的には「我をおのれらへの神罰と思え。おのれらが何の罪も犯していないというなら、何故神が我という罰を賜ったというのか」という脅し文句から「力を合わせねばどんな強者も無力」「贅沢に溺れて己を見失わぬよう、質素を旨としている」という人生訓までけっこうランダムです。
境井仁ボイス全集
元動画のタイトルに「全」がついてるのは仁のみ、通しで聞くと4時間超のボリュームです。紙ベースでまとめたら広辞苑くらいの分厚さになるのでは。未公開ボイスも量が多いのでトピック別にまとめます。また元動画は2つに分かれているため、タイムスタンプはPart 1を①、Part 2を②と併記してあります。
◆謎のセリフ
まずはどこに入るのか、ちょっとよくわからなかった謎のセリフです。多分ボツになったクエスト等の名残だと思うのですが。
①50:43には「キクゾウ」なる刀鍛冶の名前が出てきます。
①20:23には「ハラ」なる人物が。
①28:19のボイスはデモ映像か何かで聞いた覚えがあるような、ないような。
①1:56:18はこれ、本当にどういうことなんでしょう。
◆父・正関連
①1:48:49のボイスは、おそらく「鑓川の臆病者」クエスト中。親しい相手に冗談めかして話しているような調子なので、ゆな・たか姉弟のどちらかに向けてのセリフなのでは。
①1:53:49の方は、どういうシチュエーションなのかは不明です。一応前後は「鑓川」「アルタン」という単語が登場するセリフになってるんですが、さて。
なおこの「痛めつけた」という表現については、仁役ダイスケ・ツジ氏が正にまつわるボツ設定を明らかにしたことにより、どのあたりを由来としているのかも判明しました。詳しくは別記事参照。
◆ゆな関連
例の「たかの火」関連の仁パートは①1:54:44あたりに入ってたんですが、使用する・しないで選択肢があったようです。例によって推測のもと、2バージョン別に分別します。
・使用する
・使用しない
色々とナゾの多い状況ですが、後者に煽りボイスが入ってるの、「冥人の型(口頭)」って感じでちょっと笑ってしまいました。
ちなみにゆなボイス集の当該パートと照合すると、ゆなは「冥人からの言付けを届ける使いだ、一人は生かしておきなよ。蒙古どものたかへの仕打ち。あたしたちみんなへの仕打ち。これでアイツらにも、こっちの気持ちがわかるだろう。冥人への恐れを植え付けてやればいいのさ」とも話してます。何とダークな。平行世界にはちょっとマクベス夫人を彷彿とさせるようなゆなもいたみたいですね。
◆竜三関連
①21:33あたりには、「15年前の夏に竜三が盗んできた酒を浜で痛飲した時の話」の仁パートがありました。たぶんこういう流れじゃないかな? という推測をもとに再構成して訳します。
また①55:10あたりからは、菅笠衆のメンバーに関する噂話パートも。
さらに、①55:28地点には竜三の生い立ちにまつわる話がありました。竜三ボイス集にも該当箇所がありましたので、こちらも推測のもと再構成して訳します。
竜三には家族に置き去りにされた過去があったようです。あとは①55:30にこんなやりとりも。
◆志村関連
志村ボイスまとめの項では志村側のハイクの存在に驚いたわけですが、仁パートにも別バージョンの選択肢がありました。話をわかりやすくするためにまず、日本語版の和歌とハイク原文(カッコ内は意味最優先での拙訳)の最初の選択肢を挙げますね。画面左から右への順に並べてます。
英語のハイクは文字数ではなく音節数で5・7・5のリズムを作るため、かなり情報量が多くなる場合があります。この句の上五にあたるパートもそうで、意味を優先すると和歌というより偈みたいな形式にならざるを得ない。ゆえに和歌形式を遵守している日本語訳では、原文の意味をやむなくスルーしてる場合もある(※原語版は言葉選びや題材選びからして完全なるアメリカンハイクなので、日本語訳はイベントシーンの風景描写からもモチーフをとるなどなるべく日本の和歌の雰囲気に寄せ、かつ現代人にもわかりやすい表現になるよう離れ業的な配慮がなされてます)んですけど、それにしてもこの「我が師父と/我が君と/我が父と」はどこから来たんだろ? と思っていたら、①44:58の仁の未公開ボイスの中に答えがありました。
この1行目に列挙されてる要素を3つに分解して使ってたんですね。もしかすると他の和歌にも原語版の非公開部分をもとにした訳があるのかもしれません。②1:39:08ぐらいからはハイクボイスのパートもあるので、そのうち気力が湧いたら聴き比べてみようかな、と思います。
◆石川先生関連
②29:30には石川先生とではないんですが、巴(ただし「まつ」と名乗っている時の)との会話らしきボイスが。
◆政子関連
クエスト「母」で政子の息子たちを埋葬するためかがり火台へ向かう道中の会話にも、未公開部分がありました。仁パートは②34:41から、政子ボイス集だと15:54あたりです。既出部分から再構成して訳します。
志村を筆頭に百合、安達晴信、石川先生と、仁のの成長を見守ってきた大人たちの中でも、政子からの「子供の頃から知ってる子」扱いは何かが一味違いますよね。政子の前での仁も、なぜか一番「いいとこのぼっちゃん」感を出してるような気もします。
◆堅二関連
(筆者が)お待ち兼ねの堅二関連ボイスは②1:19:55あたりから。とくに②1:23:43からはクエスト「酒売りと百姓」パートになってるんですが、堅二が蒙古の宿営地にあった熊の檻を開けるシーンのものと思われるセリフがありました。プレイ済みの方はご記憶ですよね、あの蒙古と菅笠衆と熊が入り乱れる地獄のようなクエストです。
もしかして堅二が熊を解放してしまう前に蒙古を一掃するなど条件次第で聴けるボイスなのでは? という気もしますが、少なくとも冥人の本気のツッコミ、筆者にとっては初耳でした。なおその近辺に「うむ、熊の檻があるな。忠告ありがたい」というボイスもあったんですが、忠告した本人が檻を開けるってどういうことなんだ。
◆蒙古軍関連
①1:49:44あたりには鑓川でのテムゲ斬首前(原語ではテムゲを"This man"と呼んでるので、近い距離感で話してるはず)と思われるこんなボイスが。
◆『冥人奇譚』関連
仁役ダイスケ・ツジ氏が以前「僕も『奇譚』の収録は参加できるならしたかったけど、関わってないんだよなぁ」と語っていた通り、それらしいボイスは確認できませんでした。ただし全ボイスをまとめて聴いてみると、「Easy prey.(たやすい獲物だ)」「That's the last of them.(今ので最後か)」など本編で仁が言っていたちょっとしたセリフのいくつかが、そのまま『奇譚』の冥人たちのセリフとして流用されているようです。
◆「思うこと…」未公開セリフ集
温泉での「思うこと…」は、未公開分もやはり小ネタの宝庫でした。②1:45:20あたりから。
以上、キャラボイス未公開分まとめでした。元動画の再生リストはこちらです。巴や行善、壱与(Onibaba)、蒙古兵ボイス集などもあります。