電影鑑賞記『焚城 Cesium Fallout』
それなりの入りだと聞いていたのに、雨降りの平日だからかこの上映は私を入れて6人。全員 End Roll 終わるまで席を立たなかった。
入場プレゼントとして港式宣傳單張(香港式チラシ)とでも名付けたくなるシートを貰った。最近はこのA4で卡紙(=ちょっと固めの紙)を入場プレゼントにする作品が増えた。といっても私は高先電影院でしか観ないので、他劇場でも配布しているのかどうかは知らない。
せっかくの高先電影院なのに、大型ポスターも無かったのはなぜなのかな。
ストーリーは完全にファンタジーもの。大陸で上映する為なのか、とても大陸的な作品。VFXが酷かった。End Roll でしっかり観るの忘れてたけれど、大陸の会社がやっているのだと思う。断然大きな予算をつぎ込んでいるはずなのに、このVFXのしょぼさはなんだよ?キャストのギャラに予算を使い過ぎたのか?オールスターものだもんね。
劉德華は『潛行』など、このところこういった傷を抱えたシリアスな人間の役が多い気がする。あまり必要と思えない范偉立(劉德華)をカッコよく見せる為だけの小さなシーンが多すぎるように思う。
范偉立の義弟役の白宇は初めて見た役者だったので、最初から最後まで「誰だこれ?」と思っていた。大陸では著名な俳優だと知らなかったので、多分最初の方ですぐに殉職するのだろうと思っていたら、最後の最後まで引っ張られてしまった。この役は大陸から出て来たという設定だったらしい(Wikiより)が、そんな背景はストーリー中では全くわからなかったよ?
この白宇は大陸の役者なので、Wiki によると広東語セリフは盧鎮業が吹き替えたらしい。最初に Wiki を見た時に括弧掛けで盧鎮業とあったので、え?盧鎮業とのダブルなの?途中でスケジュール合わなくなって盧鎮業を替身に立てたの?と思ったのよ。だって本編で盧鎮業見たよ?なんか盧鎮業にめっちゃ似てる!いや、ちょっと似てる誰かかな?と思ってずっと凝視してたけれど、いくら見ても盧鎮業でしかない。メガネを忘れてしまったので End Roll の字が見えなくて確認できなかったのだけれど、あれは絶対に盧鎮業だったよ。どなたか本編と End Roll で盧鎮業を確認してください。
女性陣は全員それぞれとても良かったのだけれど、芝居が良かったのはやはり Ivana Wong 王菀之。真面目な顔をしてクスッと笑わせる芝居が上手いので、本作でもどこかにぶっこんでくるかなと思ったのだけれど、普通に真面目な芝居をしていた。とはいえ、実に細かい表情を作る技は相変わらず見事だった。
そして目を引いたのが Karen Mok 莫文蔚のメイク。いつものキリッとしつつしっとりした美しさを出すメイクではなくて、ちょっと野暮っための髪型と薄いアイ・メイクで官員っぽさを出しているのがよかった。
Eric Kwok 郭偉亮を久々に銀幕で見た。あまりに久しぶりに見かけたので変に作品への注意力を削がれてしまったよ。
そして私の大好きな Michael Wong 王敏德がまたもや奸商役で出ている。つい最近の『臨時劫案』『毒舌大狀』でも奸商。FBで「昔は飛虎隊隊長(正角)だったのに、年取ってからは奸商(奸角)ばかり」と言われていた。
でもなんだかピッタリだから仕方ない。奸角でもカッコいいから好き。
オールスターで芝居のできる役者を揃えているから成立する作品だと思う。二度目を観る気にはならないが。
高先電影院にて鑑賞。★★