Hong Kong-Asian Film Collaboration Funding Scheme 亞洲文化交流電影製作資助計劃のセミナーでHONG KONG FILMS@TOKYO 2024に参加
東京国際映画祭併設の TIFFCOM に行ってきた。私が参加しているプロジェクトが助成金を獲得し、それを世界にプロモートしたい当局からの招待で監督がセミナーに参加するというのでクルーとして連れていってもらった。
まずは自分へのリマインダーも含めて、どういうシステムの助成金なのかを書き記しておく。
香港特別行政區政府文化體育及旅遊局の下に、旧 Create Hong Kong 創意香港・現 The Cultural and Creative Industries Development Agency (CCIDA) 文創產業發展局という部署がある。クリエイティブ産業の発展を支援する機関だそう。
電影に関して言うと、香港電影發展局、香港電影工作者總會、香港電影金像獎、香港國際電影節などがこの傘下にある。
香港電影發展局は様々な支援プログラムを打ち出していて、First Feature Film Initiative 首部劇情電影計劃(=処女作支援プログラム)や Hong Kong-Asian Film Collaboration Funding Scheme 亞洲文化交流電影製作資助計劃といったスキームがある。この亞洲文化交流電影製作資助計劃の第一期合拍片資助計劃は、香港とアジアの国家との合作を支援するスキーム。第二期合拍片資助計劃は対象国家を拡大してアジアまたはヨーロッパの国家を対象とした Hong Kong-Europe-Asian Film Collaboration Funding Scheme 歐亞文化交流電影製作資助計劃となっている。申請資格の詳細や金額などはリンクをご参考に。第一期、第二期共に助成金は最大HKD9,000,000(=約1億8000万円)。金像獎で来港された是枝監督や、今回の我々の日本側プロデューサーもこの金額には「凄い金額が出るんだね!」と流石に驚いておられた。
今回 TIFFCOM での「香港-アジア映画共同制作助成制度 受賞プロジェクトの成功事例紹介」というセミナーに、私が脚本翻訳および港日間の通訳として参加している作品の監督 Vincci Cheuk 卓韻芝が呼ばれたので、日本側プロデューサーの古賀俊輔氏とのミーティングも兼ねて香港側プロデューサーと共に付いていったというわけ。卓韻芝は才女。ラジオDJもやればラジオ・ドラマから舞台から映画の脚本も書く、スタンダップ・コメディもやる。女優も監督もやる。凄い才能。ちなみに今回の Making Waves 香港映画祭で最新作『Vital Sign 送院途中』が上映された。そして日本側プロデューサーの古賀俊輔氏は音楽プロデューサーから始まり映画のプロデューサーへ転身、大学で教鞭を取ったり沖縄特有のお皿を作る会社を興したりと、これまた多彩な方。
第一期の助成金受賞プロジェクトは合計2作品。もう1本はプロデューサーが Stanley Kwan 關錦鵬、脚本が Jun Li 李駿碩、監督が松永大司という作品。港產片迷なら關錦鵬、李駿碩は今更解説せずともお馴染みの方。二人とも非常に物腰柔らかでシャイな方。
一番左の方は Curator 兼 MC の Maggie。日本語もとてもお上手。
このセミナーは広東語、英語、日本語の同時通訳がついていて、ヘッドセットで好きな言語を選べるようになっていた。これはとても良いシステムね。
關導演、実はこの日の朝6時着のフライトでやって来て、このセミナー終わって夜のフライトでとんぼ返りという弾丸。疲れておられませんか?と言ってみたら、機内で寝てるから大丈夫!とホント優しい方。
李駿碩には「実は随分前に会ってるよ」と懐かしい写真を見せてみた。『I Miss You When I See You 看見你便想見你』の謝票場の時のもの。「うわ、演員の時のだ!」とのけぞってくれた。あまりに軽くお喋りし過ぎて『濁水漂流』の撮影について聴きたいことあったのに、すっかり忘れていたアホたれな私。
この時の岑珈其はまだ今ほど売れっ子じゃなかった頃。でも私はこの芝居なら絶対に売れると思っていたので、本人にそう言ったらとても喜んでくれた。ほら見ろ、今や実力派の売れっ子だぞ。
そして松永大司監督。今回お会いするからと Wiki ってみたら、なんと!『大阪のうさぎ』に出演とある。私の過去を知っている方なら「おお!」となるかも。ちょっと懐かしいようなくすぐったいような。とはいえ申し訳ないが松永氏のことは全く覚えていなかった。と本人に言ったら、本人も俳優やっていたことは内緒にしたいそうで。
卓韻芝導演と古賀俊輔プロデューサー。古賀氏は流石にキャリアも実力もあるので、いろいろなお話が面白かった。このセミナーではあまり沢山お話されなかったけれど、食事やミーティングで既に沢山のことを教えていただいた。映画のことだけでなく、政治のこともさらっとお話できる。脚本の読み込み方が素晴らしく、私自身の観方の確認にもなり、もっと深い読み込み方のお手本も見せていただけて、実に勉強になる。これからこの方と一緒に仕事していけるのが本当に楽しみ。
そして自分の参加しているプロジェクトよりも聴きたかったセミナーがこちら。「カンフー映画:過去、現在、そして未来」大哥大と倉田保昭氏が並んでいて、そこに谷垣さんもいるなんて、こんなドリーム・チーム二度と無いと思う。
「香港映画をサポートするには何が有効か」の質問に大哥大が「買飛!」つまり「チケットを買って劇場で観ろ!」と。この登壇中3度は言ったね。大哥大、わかってるよ。私は常に「買飛入場」してまっせ!
『九龍城寨之圍城 Walled In』(邦題の「決戦!」がダサすぎるので私は『九龍城寨之圍城』または『九龍城寨』しか使わないことに決めております)も日本の宣伝にはかなりトリッキーなコピーを付けているが、「入場者数」が史上最高らしい。もう落畫しているので『九龍城寨』にはこれ以上の票房貢献は出来ないが、港產片はとにかく劇場で観る!
こんなにばっちりセルフィやったの初めてじゃないかと思うのだけれど、二人して iPhone のカメラで目線をどこにやればいいのかわからんという…おい、ホンマに電影人か我々?
セミナー後の Hong Kong Party 開始前に早めに会場に到着しちゃった人たちだけで記念撮影。さて、誰が誰かわかりますか?
開估!
左からチーム『虎毒不』(盧鎮業、陳小娟、談善言)、チーム『爸爸』(谷祖琳、蘇文濤)、チーム『破・地獄』(衛詩雅、陳茂賢、朱栢康)チーム『我談的那場戀愛』(何妙祺、陳慶嘉)
もちろんこの後のパーティーは物凄い人で大変だったっすよ。でも飲み食いさせてもらえたので助かった。ウチの監督もプロデューサーも自分で話す相手探して回っていたので、私が完全付き添いしなくて良かったのでホント助かった。
パーティー始まる前に子華神と Michael Hui 許冠文からもサインを貰って舞い上がってしまい、一緒に写真撮ってもらうの忘れたアホたれです。もっといろいろ喋ればよかったと大後悔もしている。まあ、監督と仲良くなったので、そのうちまたチャンスはあるかと。
TIFF 東京国際映画祭での『爸爸』と『不赦之罪』を観たので、鑑賞記はまた別途アップしまする。
観たい映画を好きなだけ観られる状況じゃなかったのが悲しかったけれど、CCIDA や映画祭事務局の方とのコネクションも出来たし、電影人とのコネクションも深まったので、今後の楽しみがまた増えた。実り多き出張だった。ありがたいことです。