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電影鑑賞記『我談的那場戀愛 Love Lies』(2024)

10月1日半額デイ「一人電影馬拉松」2本目はこれ。元も子もないほど簡単に言ってしまうと「結婚詐欺」の話。

実は全く以って期待していなかった。1本目の『武替道』と3本目の『千禧曼波』の間に何か入れたかったので、仕方ないこれでも観とくかぁ程度の気持ちだった。Sandra Ng 吳君如の芝居はいつもお約束通りのものだし、MC  張天賦も微妙な芝居はできないので、全く期待していなかっただけに予想外に面白かったのよこれが。

前半は詐欺の過程をスピーディーにコミカルに進めていくのだけれど、Stephy 鄧麗欣の設定が定番でオーバー・アクティングなので食傷気味。これはストーリーの必要上そういう芝居なので理解はできるけれど、観ててちょっとしんどい。そういう芝居を最後まで飽きずに力抜かずにやり通したStephy は素晴らしい。あのオーバー・アクティングはやってて途中で嫌になるよ普通。やり抜いた Stephy に Salute!

あと白先生という人物がどうしても滝藤賢一がダブって仕方なかった。

前半はしんどかったが後半、「少年」(=MC 張天賦)が組織を離れて勝手な行動を取り始めてからはとても良い流れになる。この作品の公式ポスターにある画面にどうやって持っていくのかだけが興味の対象だったのだけれど、ベタにドラマチックに仕上げないところが良い。

そしてトレイラーに出てくるこのシーンが案外胸キュンで良かったのよ。

ネタバレするけれど、この電車は札幌の路面電車らしい。路面電車を重要な小物として使うのはやはり叮叮が身近にある香港人の無意識からか?とか邪推してしまった。

このMC 張天賦、私が参加した『誤判 Prosecutor』で準主役をやっていたのだけれど、実は私、現場に入るまで顔も名前も知らなかった。アクション部分でしか接触しなかったけれど運動神経悪くて驚いた。歌は上手いらしいがアクションどころか走り方からしてアウト。自分の替身(=スタント・ダブル)をやってくれていた武師に心酔して走り方から教授を受けていたのだけれど、それでもまともな走り方にならなかったのよね。だからこの作品ではそういう部分はまさか無いだろうと思っていたのに、全速で走って逃げるシーンがあって、私はもう崩れ折れたよ。

ストーリー的には、「結婚詐欺」ものだから大きな流れはどうやったってこうなるよね、という構成だったけれど、細かい所を上手く作りこんであったのはやはり我らが嘉導・陳慶嘉(脚本家、プロデューサー)の指導のおかげかな、なんて思った。後半の伏線回収とそれに伴うスタイリッシュな絵がとても良かった。脚本の勝ちだね。このシーンには白旗だった。

さてさて、ここでサプライズ。

普段私はスクリーン全体が全部視界に入るように後ろめの席に座るのだけれど、さすが半額デイ、数日前にチケット買う時にはほぼ満席で、前から2列目しか残っていなかった。

本編が終わってエンド・ロールが流れ始めた時に、おばさん二人が早々に劇場を出ようとしたところ、スタッフが「まだ観るものあるよ。席に戻った方がいいよ。」と止めた。彩蛋と呼ばれるエンド・ロール後のボーナス・フッテージでもあるのかと思いきや、エンド・ロールが終わっ明るくなったと思ったらスタッフの声と共にサプライズ謝票が始まった。

え?え?え?ちょっと待って。左端の女性は『追捕』で後半を共にした副導じゃないのさ!本作では編集担当だって!しかも監督は現場にこそあまり来なかったけれど私たちを後方支援してくれた脚本担当じゃないの!中文の名前知らなかったから驚いた。

謝票の間も私は皆のすぐ目の前にいたのだけれどマスクを着用していたから私だと気付かなかったようで、全体写真撮ろう!となった時に副導が私の隣に来る感じだったから「Total!」と声掛けたら「わわわ!Sophie!」となってハグ。それをみた導演が「あいや!Sophie!」となり「皆さん!実はこのSophie は私たちの作品で通訳やってくれた仲間なんですよ!」とか観客に向かって紹介しだすので私まで観客の皆さんに手を振るというハプニング付き。

この鬼佬氏は劇中で「少年」になりすまされたフランス人実業家役の人。この謝票の為に付け焼き刃で広東語を覚えて喋ってくれたのだけれど、誰一人彼が何を言っているか解読できず一瞬場が凍ったのだけれど、そこは優しい香港人、場が凍り付きそうだと感知した途端「ぎゃははー!」と皆で笑って乗り越えた。

監督は「半額デイで他にも選択肢が沢山ある中でこの作品を観に来てくれてありがとう!」と爆滿の会場を観て本当に嬉しそうだった。

皆並んで監督たちと写真を撮っていたので私も並んで写真をパチリ。これは私のスマートフォンで撮ってもらったものだけれど、完全に仲間認定されたので公式のカメラでも撮ってくれていたからFBとか探せばこの時の写真がアップされているかも。あとで探してみよう。

そして、本作のチケット2枚でもらえるサイン入りポストカードを貰っちゃった。ありがとう。このサプライズのギフトも嬉しいけれど、サプライズで仲良しの友人に会えたこと、しかもそれが脚本家から監督に昇格しての謝票だったことが嬉しい。

高先電影院にて鑑賞。★★★★

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