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香港電影鑑賞記『望月 Once In A Blue Moon』首映禮

Andy Lo 羅耀輝導演からチケット頂いて観に行ってきた。

実はこの作品、随分前のラフ・カットで一度観ている。とはいえその時は某映画祭のキュレーターの身分だったので今回とは心持が違ったし、結局随分間が空いたのでとても新鮮な気持ちで観られた。

大好きな Peter 陳湛文と楊偉倫がキャスティングされている時点で期待大。

それほど大きな(予算の)作品でもないし、第一線の俳優が主演しているわけでもないのに、思った以上に人がいてびっくり。

この若い子たちは MIRROR なの?若い女の子のファンが結構いたからそう思うだけで、マジで誰一人として知らなかった、ごめん。

ここで Peter 陳湛文出て来て安心した。そして老闆楊受成もセレモニーに登壇した。この規模の作品にも出てくるって大したもんだ。監督の腕を買っているのかな。

Peter 陳湛文と楊偉倫の二人ともいれば嬉しかったのだけれど、楊偉倫は今や超売れっ子だから忙しいのかな。

入り口で、去年の9月から撮影に入った(もう一年か!月日の流れが速すぎる・・・)『誤判 Prosecutor』(ド兄さんの最新作)の時のカメラマンにバッタリ。「おお!久しぶり!最近どお?」から当然始まるわけで。つい先日この『誤判 Prosecutor』が10月1日國慶上畫予定と聞いたばかりだったのだけれど、このカメラマンが「昨日もまだ編集したし、明日もまたド兄さんと一緒に編集する。國慶には間に合わないよ。」と言う。國慶上畫とか言いながら全く宣伝ができていないので、私もこれはちょっと無理じゃないかと思っていたところ。國慶が無理なら聖誕節上畫だろうか?

と、あれこれ話していて「席どこ?」とお互いのチケットを開けてみたところ、「隣やん!!!」

なんともこんな偶然ある?席の指定は監督自らじゃなくてスタッフがやるはず。そしてカメラマンと私がこの前の作品で一緒だったなんて知っているはずもない。二人で大爆笑しちゃった。

ということで内容をネタバレ無しで。

ストーリーの大枠は、すれ違いや秘密でぎくしゃくした家族の関係が最後には丸く収まるという、よくある方向性。ただし、秘密をしっかり作りこんであって、それぞれの小さな出来事や秘密の意外さがそれぞれに面白い。良い脚本だと思う。

予算少ないと言いながら上等な演員を沢山使っている。

主演の Loletta Lee 李麗珍は金馬で最佳女主角獎獲ったりしているのだけれど、申し訳ないがこの作品の芝居は私はあまり好きではない。

Peter 陳湛文は文句無し。彼が主役であるだけで安心できる。初めて知ったのは『三夫』。よくぞこんな役者見つけてきたなと思ったのだった。そして次に『飯戲攻心』で、こいつはホンマ凄い!となり、2023年の活躍で「うわわわわ」となった。『命案』でサイコパスを演じ、『全個世界都有電話』で「ああやっぱり Amos、この人使いよった、あはは!」となり、『白日之下』で「ここまで幅広げてくるか!」となり、『年少日記』で「それまでの印象と全く違う役なのにすんなりこなしてくるのね」となった。Peter 出てるだけで一見の価値ありですわよ皆さん。

主演の Gladys 李靖筠はそれまでちょくちょく小さい役で観ていたけれど『深宵閃避球』でいい役者だなと思った。今回も自然で良い芝居している。これから大きくなるよ。

楊偉倫は一応主役ではないようだけれど、私の中では主役のうちの一人だな。このキャラはこの人以外にはできない。謝君豪路線を継ぐのはこの人だね。『正義迴廊』を観ていないので、もうずっと観たくてたまらない。多分今私が思っているキャラと全然違うキャラだったのだろうと思う。どこかの戲院でかけてくれー。楊偉倫が出演しているものは一見の価値あり。つまり、本作は絶対見逃してはいけない俳優が二人とも出ている作品。一粒で二度美味しい。

あと Amy 鄧麗英も美味しい。彼女もキャラが立っていて常に美味しい。画面に出てくるだけで笑える。『全個世界都有電話』で父と娘だった Peter とは本作では従妹同士。おいー、年齢設定どうなってんねんー。

あと、美味しかったのは客串の Carlos 陳家樂と羅永昌。Carlos はこういうチャラ男系キャラも上手くこなすんだけど、まずは自分が楽しんでるのがよくわかる。楽しそうに芝居しているんだもの。

そして羅永昌導演。導演だけれど役者もこなしまくっている。導演としては『小Q』でご一緒させていただいたけれど、粗口バリバリのおもろい導演。役者としてはシリアスな役から強面からおもろいおっちゃんから何でもこなす。役者として大好き。

ストーリーの細かいところで大好きなシーンや編集の仕方もいろいろあるのだけれど、そこはネタバレになるので披露しないことにする。

『望月』だけあって中秋節の上畫に当ててきたのだと思うので、香港在住者は是非中秋節の雰囲気のある中で観ていただきたい。監督が映画祭狙うと言っていたので、日本は映画祭にかかるだろうと思うと当初は書いたのだけれど、2023年の「香港映画祭 Making Waves」で上映したらしいので、東京国際や大阪アジアンといった映画祭上映はもう無いだろうと思うけれど、プレミアにこだわらない映画祭ならチャンスありかな。日本の皆さんにも観てほしいなぁ。

英皇戲院(銅鑼灣時代廣場)にて鑑賞。★★★★

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