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電影鑑賞記『點對點 Dot 2 Dot』(2014)
嶺南影像というプログラムで『點對點 Dot 2 Dot』を上映していたので観に行った。
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2014年の作品。大阪アジアン映画祭で上映されたおかげで導演の Amos Wong 黃浩然や音音姐こと Susan Shaw 邵音音と仲良くなった。もう10年も前になるのか。感慨深い。
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ストーリーを大雑把に紹介すると、黃雪聰(陳豪)が様々な場所にこっそり書いた線結び用の点に気付いた曹小雪(蒙亭)が線結びを完成させる。その図案が世間の話題になったことで二人がお互いの存在に気付く。香港中に点を書き、その謎解きという鼬ごっこ。実はこの二人は意外な線で繋がれていたのだった。
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この作品を初めて観た時には驚いた。オープニング・ロールの最初に龍哥の葬儀の新聞記事が流れるのだ。龍迷の私からすると「何?今の龍哥だよね?なんで???」と驚くばかりだった。導演に聞いてみたところ、オープニング・ロールには香港の歴史的な大事件の報道を流してみたという。導演自身は龍迷でもないが、龍哥の逝去と葬儀の様子は当時の香港の大事件だったのでと。まさか日本で通訳やってくれる人間からオープニング・ロールの背景になぜ龍哥の記事が使われているのかと質問されるなど夢にも思っていなかったであろうから、かなり面白い奴だと思われた模様。
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10年ぶりにスクリーンで観られるということと、導演のティーチ・インがあるというので観に行ったわけである。
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ティーチ・インの内容は・・・ハッキリ言ってあまり覚えていない。ごめんんなさい。「10年前の作品です。早いなぁ。資金が無くてなかなか大変でしたよ。」みたいな話と
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「なぜ線結びなのか」という観客からの質問に「子供の頃に遊んだから」など答えつつ
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この作品に登場する界石 Boundary Stone についての情報などを紹介していた。
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この作品は香港の貴重な風景を沢山捉えている。香港のあちこちへ隠された点を探しに行くという設定で、実に多くの場所を撮影して映像に残してくれている。10年後の今となっては無くなってしまったり変わってしまった場所もある(と思う、モンタージュでパッパッと画面が変わるので全部しっかり見切れていない)ので、実に貴重な映像の宝庫である。
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実はこの上映を観に行くと知らせていなかったので、サプライズで登場してやったり。「あれ?来たの?もう観てるやん!」と言われた。「でもまたスクリーンで観たいやん!」「そうなん?俺はもうエエわ。」って、そりゃあなたな導演やから、何百回と観てるでしょうが、こちとら10年ぶりだしね。
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せっかくなので10年前の大阪アジアン映画祭での写真を。皆若いなぁ。ステージでの写真を撮ってくださった皆さん、ありがとうございます。
導演とカメラマンの Angus。最近会ってないけど元気にしてるかな。
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『點對點』のティーチ・イン。この時に音音姐とすっかり仲良くなっちゃった。
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このティーチ・インには黃雪聰(陳豪)に片思いする同僚の倩兒(張雪芹)も登壇。さっぱりした平易近人な方だった。
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この作品で既に Amos Style とでも呼ぶべきなフェーズ毎に文字を表示して画面を切り替える手法を使っている。話が流れていくリズムを上手く作り出すこのスタイルはわかりやすくて良いと思う。
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この作品は、香港の大切な風景を出来るだけ残しておきたい、香港にとって重要な事件をしっかり記録しておきたい、土生土長の香港人としての子供の頃の記憶を残しておきたいという導演の想いがいっぱい詰まった作品。香港の風景が好きな方は是非ディスクを手に入れて香港のあちこちに浸ってみて欲しい。
香港電影資料館にて鑑賞。★★★★