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『濁水漂流 Drifting』

一般公開から随分遅れてやっと観た。

作品はかなりの高評価だったし、監督の李駿碩は『看見你便想念你』『翠絲』から注目していたのでずっと観たかった作品。

Francis Ng 吳鎮宇のキャラクターの作り方が凄くて、今まで観た彼のキャラの中で一番好きかも。ジャンキーは私もかなり見てきたので、よく観察してキャラ作りしたのだなとわかる。

謝君豪の役作りや芝居は言わずもがな。息子との再会の後のあの笑顔で、ああ、飛び込むのだな、とわかった。

Loretta Lee 李麗珍は三級片女優とのイメージを持っていたのだけれど、この作品でこういう芝居もするのだと知った。ただ、この作品中では本来彼女自身が持つピュアに華やかな雰囲気が勝ち過ぎたように思う。どちらかというと Baby Bo 寶珮如の方が底辺の生活者の雰囲気を出していたと感じる。

Will Or 柯煒林も本来的にかっこよすぎて私としてはイマイチしっくりこなかった。『別叫我「賭神」』での自閉症の息子役も頑張っているのは百も承知だけれど、イマイチしっくりこなかったのを思い出した。

今回のキャストで一番しっくりこなかったのは『金都』のクソ彼氏こと Tommy Chu 朱栢康。彼の演技も一流なのはわかっているけれど、キャラ的に捻りが全くなかったのが気になった。

今回はどうやら大学の授業の一環での上映だったらしく、上映後に本作DPの梁銘佳と Hong Kong Film Critics で梁銘佳の妻である Kate Reilly との Teach-in があった。HKUと聞こえたので香港大学だと思ったのだけれど、電影系は無いので、HKUだったとしてもジャーナリズム系かもしれない。Kate が常に「my students」と言っていたので彼女がなんらかの講師であることは間違いなさそうである。

Teach-in は完全に英語。聞きなれた香港人の英語でもなければ、それなりに聞きなれたカナダの英語でもなく、自分でも驚くほど聴き取れなかった。多分6-7割しか聴き取れなかったように思う。それにしても香港の大学生(今回は圧倒的に女性が多かった)は本当に優秀。しっかりとした自分の意見を持ち、バンバン手を挙げて自分から質問や感想を述べる。様々なことを感じ取り、それを英語で滔滔と話す。素晴らしい。なんとなく映画を観て、ぽわんとした感覚を言葉にせずにいた自分を恥じた。私も映画を観るのが好きですと明言する限りは、もっと自分なりの感想や感覚を文字や言葉にすべきだと思った。

梁銘佳が参加者に逆質問した。「この作品はほとんどのシーンが hand-held(のカメラ)で撮影されていますが、2つだけカメラを固定で撮った部分があります。さて、どのシーンでしょう。」答えは、何姑娘の家の中と木仔の家の中のシーン。手を挙げはしなかったけれど、心の中で思っていた「木仔の家の中」が当たっていたので、私もそれなりに見る目あるんじゃね?とちょっと自信を持てた。これからは一つの作品をもっと深く感じて観ていこうと思った。

そうそう、Teach-in の場所(スクリーン出たところのホワイエ)が寒すぎて(そういえば以前、石雋の Teach-in の時も寒くて死にそうだったの思い出した)、Teach-in 終わった途端に席を立ったせいで聞けなかったことがある。最後の輝哥の自焚シーンはどうやって撮った(手配)したのか聞きいてみたかった。あれは実際に燃やしているのだと思うのだけれど、普通にタクシーやら車が向こうを走っている。一般車だと思うので通報されたりしなかったのか、あそこであれほどに燃やしてもいいと許可取れていたのか、聞いてみたかった。いつか本作関係者に聞いてみる。

百老匯電影中心にて鑑賞。★★★★

©写真はオフィシャルFBより

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