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2021年「今年の漢字」に関する考察

金(かね)

2021年12月13日、日本漢字能力検定協会(以下「漢検協会」とします)は「今年の漢字」が「金」に決まったと発表しました(漢検協会の独断ではなく応募方式によるものです)。厚生労働省が国内でのラムダ株の存在が確認された事を隠蔽しつつ、市民の命を犠牲にして敢行された東京五輪/パラリンピックにおいて日本人選手が続々と金メダルを獲得した事が主な理由との事です(当時内閣総理大臣であった菅義偉が、野党の要請をガン無視して臨時国会召集をせず、医療崩壊そっちのけでメダルツイートにかまけていたという醜態をご存知の方も多いでしょう)。尤も私は漢検協会の発表を聞いた瞬間に「あぁ、政治と金の問題の事ね」と解釈しました(「キン」ではなく「かね」の方です)。私は東京五輪/パラリンピックについては開催前の時点で「(開催されたとしても)一切観ない」事を決めていましたし、実際にリアルタイムでの競技は一切観ませんでした(「速報」としてオリパラのニュースについて続々と通知が来る事には辟易しました)。勿論「誰がメダルを獲得したか」について私は全くと言って良い程知りません。私がオリパラについて記憶しているのは、名古屋市長の河村たかしがアスリートが獲得したメダルに突然噛み付いて非難囂々となった事くらいです。開催前に「東京五輪/パラリンピックによる経済効果」について色々言われていましたが、果たして「経済効果」とやらは出たのでしょうか?
閑話休題。今年の漢字「金」について、私は「政治と金の不穏な関係」がクローズアップされたという意味において「妥当」と考えています。更に言えば「オリンピズムの精神」をかなぐり捨てて「カネ至上主義」に落ち魄れた近代オリンピックの醜態を表すという意味においても「妥当」でしょう。えっ?金メダルの金だって?そんなの知った事ではありませんよ。今年の6月1日に、自由民主党幹事長(当時)の二階俊博が「ずいぶん政治とカネの問題はきれいになってきているじゃないですか。このことは評価していただいてしかるべきだと思う」と嘯きましたが、今回の衆議院選挙を振り返れば「金の力で健全な民主主義を捻じ曲げる政府与党の醜態」がありありと分かるというものです。茨城6区の「国光文乃陣営による日当5000円問題」(私はこれを「サクラが5000円をもらう会」と名付けました)や、新潟5区の「星野伊佐夫による泉田裕彦への裏金要求問題」といった「自由民主党による民主主義の根幹を破壊する愚行」が明るみに出ました。衆議院選挙だけでも「金」に関する問題が目白押しです。

2021年だけではない

尤も「自由民主党政権と金の問題」は、今年に限った事ではありません。たとえば、岸田文雄内閣発足において自由民主党幹事長に就任した甘利明は、就任早々、2016年に発覚した自身のUR斡旋収賄問題について「未だに説明責任を果たしていない」と非難されました(衆議院選挙において小選挙区で落選し、幹事長職を辞任しましたが、だからといって説明責任がなくなるわけではありません)。他にも下村博文「加計学園からの献金」という問題を抱えているのですが、2017年に「都議会選が終わったら説明責任を果たす」と公言したにもかかわらず、2021年の都議会選が終わった今においてもいっこうに説明責任を果たそうとしません。「憲法改正」を訴える前に現行の法令を遵守し、説明責任を果たして貰いたいものです。

1文字ならば「金」。2文字ならば「金目」?

さて、先の衆議院選挙で小選挙区/比例代表共に落選した石原伸晃が、事もあろうに「内閣官房参与」に就任した件については前の記事でも取り上げましたが、その後石原伸晃事務所が「雇用調整助成金」を受給していた事が発覚し、市民の非難を浴び、結局内閣官房参与を辞任しました。これも「今年の漢字」である「金」を象徴する出来事ではないでしょうか。かつて石原は、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う中間貯蔵施設の建設を巡って「最後は金目でしょ」と発言しましたが、結局自分自身も「最後は金目」だったという事です。ところで、未だに「野党は批判ばかり」といった言説を述べる者が少なくなく、また野党議員の中にも「批判より提案」をアピールするヘタレまで出てくる始末ですが、石原の辞任は「市民の批判」があったからこそです。「批判だけではどうしようもない」のではなく「批判しなければどうしようもない」わけです。問題が噴出している際に批判すらしないような者は政治の世界では到底生きられないでしょうし、そもそも議員でいる資格もありません。

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