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風をきる

正月からもう立春へ
今年の正月も恒例の箱根駅伝をみて
寝正月三昧でかなりゆっくり過ごした。

一月は地元では都道府県駅伝大会が行われ
毎年恒例の行事なので交通規制について
あちこちでお知らせを見かけることになる。

そこで気になるのが、地元での駅伝大会より
「交通規制」
お出かけに困る用事はなかったかな??
そんなことがよぎるのが通例。

正月の箱根駅伝の余韻が残っていたのか
毎年スルーしていた「駅伝大会」に
今年はピンときた。
よくよく考えたら直ぐ間近で
ランナーの雄姿がみられる機会が
どれだけあるだろうか?


いつもの風景や恒例の行事
これらが当たり前ではなくなる
そんな未知な状況下にある時代の変換期
気になったものはスルーせず試みるのは鉄則
瞬の今を味わい尽くせるタイミング
といってもいい。

今のこの時、これまで縁ある土地で
楽しむすべは惜しみなく体験したら
というお知らせだろう。
とりあえず
地元の駅伝大会が脳にインプットされた。



当日
そうは言っても出不精だし混雑は嫌だし
やっぱり家でごろごろしながら
観戦するだけでいいやとなり
中継だけでもみてみることにした。

はじめて腰を据えてみる駅伝中継は
箱根駅伝程の壮大な距離感ではないものの
地元ならではの見慣れた景色を眺めながら
観戦できるとあって、なかなか面白い。

選手層も中学生~社会人の混合
全国都道府県に思い馳せることもできるし
未来のトップランナーの推しも見いだせる。

白熱実況中継を聴いていると、出不精な私でも
なんか沿道に行きたくなってきた。
折り返し地点まで展開が進むと
気分もだいぶ盛り上がってくる。

こちとら重い腰があがり
散歩がてら雄姿を拝見しに行って
声援でも送ってみようという気になった。

気が向いてから出かけても観戦に間に合う
これが地元住民のメリットだ。


沿道に近づくとタイミングよく
ゴールに向かう選手を見ることができた。

それはもう・・・・
TVで見るのとはまったく違う躍動感。
汗しぶきが散ってきそうな距離で
駆け抜けていく選手たちのパワーを
臨場感をもって体感したら興奮するぞ。

周囲はコアな駅伝ファンも集結していて
ものすごい勢いで整列に
むりやり割り込んで入ってくる
いい大人のおじさま方や

「もうお婆さんはしんど過ぎて立っていられない」
という声とともに倒れ込んで最前列に割り込み
茶番劇を平然とやりきる元気なお婆様とか・・・

おやおやと思う場面も多々ありながら
ほんとに心から声援を送っていたから
みんなこれで元気をもらってるんだなー
なんて思えた。

目の前にいた可愛い女の子の
「頑張れー頑張れー」
という純な掛け声が心地よく
私もつられて声援していた。

ところでやっぱり

生選手ってすごい。
アスリートってすごい。

自転車走行より全然早い。
ものすごい引き締まった力強い
カモシカみたいな無駄のない筋肉で
そいでもって
足が宙に浮いてんじゃないの!!
ていうぐらい軽る~くスーッと
一瞬で目の前を通り過ぎてしまった。

誠に失礼ながら
鍛え抜かれた美しい動物
まさにそのもの

その人間という動物には
ユニフォームというものが貼りついていて
それは、羽衣なみにヒラヒラしており
かろうじて身にまとっているだけ
といった感じにも見える。

よくよく考えたら
こんな真冬にノースリブで超短パンなんて
こちとらダウン着こんでるのに
すごい熱量なのねって改めて思った。

ふとみると
箱根駅伝の走者だった選手もちらほら
TVで見た人って一瞬通り過ぎても
気づけるもんなんだなーと
脳の記憶というものにも驚いた。

コア駅伝ファンとは違う目線で
なんかマニアックに楽しんでしまった。


昔は駅伝というと
脱水でフラフラ倒れ込みながら
走者を続ける姿も多々あり。
ややもすると
観客もドラマティックな展開や美談を
多少期待している部分もあったように思う。
今はそういった
明らかな体調異変も目につかなくなった。

天候の予測や体調管理や選手のデーター
そういった分析も緻密で詳細になっていて
ケアも行き届いているのだろうなと進化を感じる。

なんといっても今の若者は足が長い
とにかくストロークが大きい
肉体も進化してるんだなーと思った。

だから、脱水症状でへろへろで・・・
お涙頂戴的なドラマはなくなったし
何より選手が勝負を楽しんでいる感じ

中継途中も何人かの選手が
ポイントで軽いパフォーマンスを
披露してみせたり、いい意味で
選手自体が楽しむ余裕すら感じる。

最下位の石川県の最終ランナーは
沿道に自ら声援を送るように煽りながら
堂々と帰還し、最下位を逆手にさながら
マイステージのように風をきって明るくゴール。

疲労困憊の中、場を盛り上げてくれて
なんだかたくさん元気をもらった。
石川の被災者にも沢山元気が届いただろう。


新時代らしい変化
勝負事も
風をきるがごとく
軽やかになっている。


私はいったい何で風をきろうか。








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