建設など単純就労・単純労働系の業界の就労ビザの不許可からのリカバリー許可取得の事例のご紹介

みなさんこんにちは!快晴の日々が続きますね。

今日も時期的に需要の多い就労ビザの不許可でお困りの方向けの記事をアップしていきます。

では、つい最近の建設会社の就労ビザの不許可からのリカバリーの許可取得に成功した事例について書きます。概要はこのような感じです。

・雇用主=小規模の建設会社(一般人にはわかりにくい、ややマニアックな業務内容)。外国人社員1人(技人国ビザ)+技能実習ビザ数人。

・申請人=ベトナム人の短大卒(建設系専攻)、過去に技能実習ビザ&特定活動の建設就労ビザで5年在留経験あり。

・過去のビザの経歴の関係で、いったん帰国しての技人国ビザの認定申請で不許可になった後に再申請で許可となった(技人国ビザ1年)。

書きたいことはたくさんあるのですが、すべてを書くことはできないため、主に、

(1)特にリカバリー回復の許可で重要だったことや、

(2)単純労働系の業界と見られてしまいがちな建設系の会社での就労ビザ許可においてもっとも重要なこと、

この2点のみに焦点をあてて書いていきます。

詳しくは面談等にてご相談ください。あくまで一部のみのご紹介となります。

1、本題の導入部分 今回の事例の不許可の背景

入管は、申請人の過去の申請資料ややり取り(電話の会話内容や入管窓口カウンターの会話内容や面談の内容等も含む)のすべてを電子化してデータベース化して記録しています。

申請人が何の気なしに気軽に書いた内容のミス、間違った記載やわざとした実態との異なるウソの記載が、その後何年もたってから不許可を引き起こす事態はまま発生します。

これって、まさに昔からよくある定番の入管あるある話なのですよ。

今回の不許可理由もまさにそこにありました。技能実習ビザについてはなぜか都市伝説のように「高卒以下の学歴で独身でないとビザが出ない」とされている傾向があるようで、

それにあわせて中国やベトナムやネパールやミャンマーやカンボジア等の送り出し機関が、

申請人の経歴を「本当は大卒短大卒なのに高卒にしたり」「本当は結婚して子もいるのに独身にしたり」するといった事態が発生している模様です。

(特定技能ビザは状況が分かりませんが、同じようなトラブルが発生することがあってもおかしくないでしょうね。)

ですが、その後に技能実習ビザ(あるいは特定技能ビザ)を終えて他のビザを取ろうとする場合には、不都合が生じてしまいます。

就労ビザを取ろうとする場合には、短大や大学卒の学歴があることが必須なケースがほとんどのため、この段階にきて、短大や大学卒であることを打ち明ける必要が出てきますが、

これにより過去の経歴詐称がばれてしまい不許可になってしまうのです。今回の事例はまさにそうでした。

(なお、学歴がなくても、きちんとした3年か10年の職歴+きちんとした立証資料+立証の技術や経験があれば、就労ビザの許可を狙えますが、こちらは別の難しさがあります。学歴の分だけ立証負担がかなり増すケースが多いです。)

2、特にリカバリー回復の許可で重要だったこと

入管の審査官だったら、この不手際やトラブルに関していったいどう思うだろうか?

審査官だったら、どの点についてどのように問題があると考え、どのような謝罪・反省・改善策を望むだろうか?

審査官だったら、どのような内容を理解すれば謝罪・反省・改善策であるとご理解・ご納得いただけるか・・・

この点について私と申請人とその関係者(雇用主の方等)と一緒に考えます。面談を通じて考え抜きます。

その際には、私は以下のようなプロセスを踏んでいきます。

入管全体や担当審査官の価値観・感情・道徳観・思考パターン・今までのビザ審査の流れや傾向の積み重ね・入管や現場審査官の建前論と本音論(とっても大事!!)・等々を考慮して、トラブルを整理して分析します。

専門的な知識はむろんのこと、過去の実務上の経験や技術やノウハウの積み重ね等を駆使していきます。

あぶりだした問題点が3個あれば3個すべてに対応します。1個足りないだけでも再度不許可になる恐れがあることを知っているからです。

各問題点についての反省・改善の内容を審査官が認めうるレベルに達するまで磨き上げます。申請関係人と一緒になって。

これをベースにして、反省・改善の全体像を決定して、上申書を書いていきます。もちろん手書きのものになります。

ちなみに、この上申書は、いわゆる「ごめんなさい的な」一般的な反省文とは全く異なるものです。

専門的な知識や経験や技術やノウハウまでふんだんに盛り込んだ入管への反省・改善のレポートのようなものです。

入管や審査官の価値観や感情や思考パターン(時には時事ネタ等含む)にまで配慮した深い踏み込んだ内容になっています(もちろんすべて申請関係者との実際の面談をもとにしています)。

一般的な反省文は、困難案件や不許可案件ではほぼ役に立ちません。なぜだと思いますか?

審査官が、各案件について、どのような資料につきどのような判断をしたか(内部決済の詳細)はすべて電子データ化されており永久に残ってしまうのです。

審査官の認定・判断はすべて役所に記録が残り、担当審査官は疑義のある認定・判断をした場合には、永久に役人を辞めた後も責任を追及されてしまうのです(過去には審査官が申請人に便宜を図ったとして逮捕された事例があります)。

そのように、審査官も重大な責任を生涯追及される立場にある役人である以上保守的になり自己保身になるのは仕方がありません。

ですので、それなりの品質・内容のものでなければ反省文として評価できませんし考慮もできないのです。それなりの根拠なしに困難案件や不許可案件で許可を出すわけにはいかない事情があるのです

そのため、審査官が困難案件や不許可案件で許可を出すには、「ここまで本人が手書きで長文で整理された形で書いてきて、各問題点について、深く専門的なレベルまで理解して反省し改善すると言っているなら、再び同じミスはしないだろう」と、

審査官のだれもが、反省文の文章をみて客観的に確認できることが必要になってくるのです。

私の経験上、ここまでレベルの反省文・上申書を添付して、(もちろんさらに詳細な検討をした長文の理由書や多くの任意の説明書等もつけて)、申請した場合には、

追加資料の要求なく一発で許可が取れている案件がほとんどです(就労ビザはむろん配偶者系のビザもほぼ同様。犯罪歴等ある場合の永住申請は除きます)。

今回の事例では、技能実習ビザ時代、そして、その後の特定活動32号ビザ(外国人建設就労者)時代の各送り出し機関・受け入れ機関(合計4つの機関)、

そして、申請人と雇用主

合計6つの機関や個人用の上申書を作成し、協力いただけなかった2つを除き4通を入管に提出しました。

あわせて、上記のような詳細な理由書・説明書や立証資料+入管HPで紹介されている定型資料をすべて提出して申請し、追加資料の要求なく再申請1回で許可となりました。

3、単純労働系の業界と見られてしまいがちな建設系の会社での就労ビザ許可においてもっとも重要なこと、

業務内容の説明を「一般の何も知らないド素人でも一読ですぐにわかるレベルにまでかみ砕いて、丁寧に詳細に説明すること」、つまり説明する手間や姿勢を放棄しないことがとーーっても重要!!

「審査官は何でも知っていてスーパーマンだからわざわざ説明しなくてもわかってくれるでしょ?日本の役所なんだし・・」

もしかしてこんな風に思ってませんか?

残念ながら、これに対して、審査官は、「説明不足なので不許可です(忙しいので次の案件審査しなききゃ・・)」で終わりです・・・

これは、昔からよくある定番の不許可のパターンです。説明不足。

審査官はビザ申請や制度についてはプロですが、それ以外のことについてはまるでド素人と思ってください。

書面審査なので、誰もが書面を読んで「この業務内容はこういう内容で、技人国ビザの条件にこういう理由・事情・背景からあてはまっているのだ。必要性はこうだ。相当性はこうだ。」と確認できなければならないのです。

審査官がたまたま知っていても、それを自分で書くわけにはいきません。

だからこそ、業務内容については、ド素人にもわかるレベルにまでかみ砕いて詳細に丁寧に説明する必要があるのです。

特に単純就労系のビザの申請では「信ぴょう性」が重視されるので、担当業務内容について詳細に説明しないのであれば、「信ぴょう性がない」という理由でも不許可にできてしまいます。

さらにいえば、「説明しなければ、不許可になるけど、説明するほどにミスをしやすい(就労ビザに関する理解の不十分さや誤解がでてしまいやすい)」のも、悩ましい問題です。

1単語のミスでも不許可になるのです(実際の例ですが「作業」とうワードのみでもアウトです。警察・国防系の許認可なので些細なミスも一切許されません)。

担当業務内容の適切な設定の仕方についても同様です。ほかにもいろいろありますが以下省略します。

4,最近そして今後において特に大事なこと

2019年4月の特定技能ビザ導入以前であれば、業務内容の説明は1~2行くらいあっさり説明すればOKな場合もあるようなこともあったようですが(この時代でも不許可になるケースももちろんありました)、現在ではそのレベルでは説明不足と判断され不許可になる場合が増えてきています。

また、2020年2月の変更・更新申請のガイドライン改正により、申請時点において、過去の在留活動の説明を要求するようになってきており、それがないと不許可になるケースも増えつつあります。

結構多いケースは、

・大手・中堅の企業様でそれまで社内の人事担当者が普通に使用していた資料等であっさり申請して許可を取れていたのに、いきなり認定や更新や変更の申請で不許可になるケース(特定技能ビザ導入が背景にあり)。

・すでに許可が取れている案件の更新申請で、楽勝なはずが不許可になるケース(上記の2020年2月のガイドライン改正が背景にあり)。

・専門家等への大量発注(多人数割引や成功報酬制等含む)のビザ申請で不許可が多発するケースやそもそもの大量発注を拒否されるケース(許可取得に手間や時間がかかるようになってしまい、従来型のやり方に無理が生じている等の背景あり)。

以上となります。

当事務所は不許可案件や困難案件がほとんどでじっくり丁寧に一件一件作成するスタイルを取ってきて日本のビザ申請一筋10年超になります。その経験や知識がみなさんのお役に立てば幸いです。

何かあればお気軽にお問い合わせください。

入管・外国人ビザ(在留資格)申請専門 行政書士 横田あずま

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