配偶者ビザの外国人が離婚・別居=6ヶ月でビザ取消の対象に。黙っていれば平気?その1
みなさん、こんばんは!今日は雪が降ってしまいましたね。ここ新宿では雨交じりで積もりそうもないのですが、みなさんの地域はいかがでしょう?
10年前から始めて450件ほどのアメーバブログ(内容はすべて日本のビザのみ)では人気アクセスの記事についてリバイバル版の記事をアップしているのですが、ここではお初になる記事として書いてみます。
当ブログではアクセス数が非常に多い人気の記事がいくつかあるのですが、年月が経過したり、文章が読みにくい部分もあるため、2022年バージョンということで、各記事について書き直しをしてみます。
*基本的な状況や内容は以前の記事(2013年や2017年)当時とさほど変わっていません。
以下、記事スタート
配偶者ビザの外国人が離婚・別居=6ヶ月でビザ取消の対象に。黙っていれば平気?その1
質問Q=配偶者系のビザ(日本人の配偶者ビザや永住者の配偶者ビザ)の外国人ですが、離婚・別居・死別しました。離婚・別居・死別して6ヶ月たつとビザが取消の対象になるそうですが、黙っていれば平気でしょうか?
今のビザは3年ビザなので、まだ2~3年くらいは日本で生活できると考えています。
回答A=私の回答は、一言で言えば、「黙っていてもよいことはありません。対策は色々取れますので早期にご相談を」というものになります。
なぜかと言いますと、理由やリスクは色々ありますが、まず最初の3つを上げるとすると以下のようになります。
(なお、質問者の方の今の3年ビザは、離婚・別居・死別した配偶者=夫や妻=との結婚を理由として許可されているだけですので、その結婚がなくなれば無効になるとお考えください。他のビザへの変更申請、または再婚するなら更新申請が必要になりますが、これは実質的には変更申請の内容となりますので決して簡単な更新申請でありません。)
1、外国人が離婚や別居や死別を隠し通すのが困難な時代に入ってしまった(2012年以降ずっと)
まず、外国人が離婚・死別した場合、その情報は全ての役所が共有することになると思ってください。
今や役所同士もネットで瞬時に情報を共有しています。離婚・死別をした事実は隠し通せる時代ではなくなっているのです。
別居についても同様に隠し通せる時代ではなくなっています(残念ながら「離婚はともかく、別居であれば、黙っていれば平気」ではありません。
(ちなみに別居=配偶者としての活動をしていない=別居が半年以上継続するとビザが取消される可能性が出てきます)。
その証拠といっては何ですが、
(1)離婚について=入管は、離婚後14日以内に入管に届け出をしない外国人に対し、届出を出すように電話をしたりすることがあります。これは、入管が離婚の事実を独自に把握しており、その管理に非常に敏感になっていることを意味します。
(2)別居について=入管は、何らかのきっかけや情報網などから、外国人の別居の事実・可能性を推測・把握し、ある日突然家に来たり、関係先や当事者に電話で確認するなどの調査もしています。
きっかけは、関係者からの通報もよくある話ですし、別件の申請やトラブル案件から出てきた情報を元に芋づる式で・・というのもありますし、関係各所の〇〇〇歴、某資料〇〇〇の〇〇の状況分析や調査というのも定番・・。場合によっては過去の申請記録から調査が進むというケースもあるでしょう。
いずれも、2012年の入管法の大改正以前では考えられないほどに厳しい対応ですが、2012年の入管法の大改正により、外国人管理に必要であれば、ちょっとしたことでも入管は調査が可能になったのです。
その後、2022年の現在に至るまで、この流れは一層進み、外国人管理の厳しさは基本的に右肩上がりという印象です(その反面、外国人観光客やエリート層については歓迎ムードです)。
とにかく、「島国で外国人管理に非常に熱心で、勤勉真面目な国民性の日本の入管を相手に、離婚や別居を隠し通すのは非常に困難」という一般的なイメージは、そのまま正しい、というのが厳しいですがリアルな現実になっています。
今後も離婚や別居を隠し通すのは年々困難になっていくでしょう。隠すよりは早めに入管に知らせて改善していくのがベストの対応です。
2、離婚・別居から6か月経過によるビザの取消が実行されている。取消にならずとも、取消以外の流れでの帰国や退去強制が多い。
入管行政のあり方はそのように年々厳しくなる一方で、離婚・別居から6ヶ月経過後のビザ取消についても、同様の厳しい対応がなされてきました。
よくあるのは、離婚・別居後の日本人配偶者ビザから定住者ビザへの変更申請において、離婚・別居の事実を指摘され、6ヶ月経過したことを理由にビザ取消がされる事例。
この点、「6ヶ月経過しても、取消の対象になるだけで、すぐに取消されるかは分からないから大丈夫。取り消し件数もさほど多くない」という意見があります。
役所統計情報の通り、実際に取消されている案件の件数はそこまでは多くないかもしれません(日本人配偶者ビザの場合、H28年~R2年までの5年間いずれも年間100件未満です)。
ですが、実際には取り消し以外の流れでやむなく帰国している外国人の方も多いという現実があります。
つまり、取り消し以外にも、
(1)入管が離婚等を把握し、その外国人に自主的に出国するように求めて帰国させるケース(いったん帰国して認定申請で出直すも過去の在留状況不良を背景として不許可になる。いわゆる認定リセットは都市伝説に近い部分があり、特に近年の困難案件の現場ではまず通用しないとお考え下さい)。
(2)入管が離婚等を把握し、更新申請などを不許可にして、「特定活動(出国準備)」の30日間のビザに変更させて、出国するように求めて自主帰国させるケース(いったん帰国して認定申請で出直すも過去の在留状況不良を背景として不許可になる。いわゆる認定リセットは都市伝説に近い部分があり、特に近年の困難案件の現場ではまず通用しません)。
が存在するのです。現場で見聞きする中ではこちらの方が多い印象があります。
さらには、ビザ切れになってオーバーステイとなり、退去強制手続きになって退去強制させられるケースも多いでしょう(日本人配偶者ビザの場合、オーバーステイの摘発人数はここ5年間で年間2600人~3200人もあります)。
ちなみに、上記の(2)のケースを挽回したりするケースは当事務所でも扱っており、最終的に挽回できたケースもありますが、非常にハードルが高いです。
また、6ヶ月のビザ取消については、DVや離婚協議・調停・訴訟などの事情ある場合には、取消予防の対策を取る事が出来る場合もあります。
3、外国人の住民票や住居地・住所の管理がより強化されてきている
また、離婚した場合、通常は住む場所が別々になるのが普通ですので、別途、90日以内に住所・住居地の変更届を出す必要も出てきますが、その届出をしない外国人に対して入管職員が家まで直接訪問してきたり、電話をかけてきたりしています。
これも2012年の入管法の大改正以前ではありえない厳しい対応であり、それは2022年の現在まで変わることなく続いています。
離婚しても住居地が同じままだと、いわゆる生活保護目的の偽装離婚を疑われ、現地調査が入る場合もあります(いきなり入管が家に来たり、張り込みをされたりします)
なお、全てのビザ(短期・外交・公用・3月以下のビザを除く)の外国人は、新しい住所・住居地の届出を90日以上しない場合にはビザが取消の対象になりますので、ご注意下さい(ウソの住所・住居地の届出をした場合もビザは取消の対象になります)。
4,追記
入管は、コロナ禍の中でも偽装結婚ビザ取得の逮捕・摘発を地味にかなりの件数やっており、報道されていない分を合わせればかなりの数になります(ここ5年間ほど不法滞在者の数が6万人から1.5万人ほど増えて8万人を突破しており、入管は引き締めに躍起になっているという背景もあります)。
当事務所の配偶者ビザのお客さまは超絶困難案件~困難案件の方でようやく3年ビザとなり、さらには5年ビザにもなった方もいます(現在永住申請中の方もいます)。
ビザ不許可の問題になるポイントとしては、離婚・別居・再婚・素行不良や犯罪・収入が低い・年齢差や病歴などがありますが、当事務所のかかわった案件を見る限り、基本的には真正な結婚であって、あきらめずに丁寧に慎重に手厚く資料作成をしていけば許可になる場合がかなり多いイメージではあります。
正しい努力をして(初めから信頼できる専門家に依頼して)、あまり時間をかけずに(感情がからむ結婚ビザでは時間がかかると関係破綻のリスクが上昇します)、1回目の申請で許可を取る(いったん不許可になると許可ハードルが1.5~2倍上昇します) のがベストのやり方・段取りになります。
まだ書きたいことはあるのですが、書ききれませんので、続きは、続編、「2017年版 配偶者ビザの外国人が離婚・別居した場合、6ヶ月でビザ取消の対象に。黙っていれば平気?その2 」のブログ記事をご参照ください。
入管・外国人ビザ(在留資格)申請専門 行政書士 横田あずま
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