私はこうやって内定辞退を決めました(意匠設計の会社選び・下編)
今日も投稿頑張ります。
組織設計事務所勤務1年目のYOUです。
昨日は組織設計で就活した時の失敗談を書きましたが、今日は最後の進路を決めるまでの過程を書きます。
○ 規模・売上
会社選びの基準は人それぞれとは言え、特にこだわって特定の小さい分野に狙っていない限り、会社規模・売上、給料や福利厚生がどうしてもメインの参考基準になるかと思います。
私もほとんどの就活生と同じく、売上ランキング上位の会社を順にチェックしました。そして最終的に決まって今働いている会社は、自分が思うには準大手組織ですが、ランキングによっては時々大手組織に入ったりする、まあまあ規模のある組織です。
今から考えると、会社規模は確かに重要な基準の一つではあるものの、ランキングはあくまで「こういう会社があって大体これぐらいの規模だよ」という情報でしかない。上位3位ぐらい除けばランキングによって順位が大きく動くし、みんながみんなで年間売上を公表しているわけでもない。だいたいGoogleでランキング検索すると個人ブログで公表しているランキングがヒットして、出典や根拠も明記していなければなおさら参考程度にとどまるべきです。
ランキング順位のまんまで志望の順位になってはいけない、あくまで基準の一つです。
とは言え、私は特に気にしているのは、分かる範囲のだけですが、売上に対する社員の数です。例えば、同じ年間売上80億の会社、一つは社員数300人、もう一つは450人の場合、あなたならどう考えますか?
同じ売上に対して、もちろん社員数が少ないほうが平均給料が高いはずです。実際新卒院生の初任給は業界平均よりかなり高かった。
でも組織設計全般的の一人あたりの売上を見てみると、80億対450人という割合のほうが普通です。つまり、80億対300人の方が普通じゃない。給料は高そうですが、一人あたり1.5倍ぐらいの仕事をしている計算になります。みんな同じ残業時間数なら、同じ時間の中で仕事の密度が1.5倍、または、建築設計業界の平均労働時間の1.5倍という計算になります(絶対三六協定に引っかかっちゃうわ)。
人の1.5倍を働いて少し高めの給料もらうか、普通に働いて普通の給料もらうか。
この選択は人それぞれ。考え方によっては前者の方が勢いがあって魅力的に感じるでしょうが、私は普通の方を選びます。普通の方を選びました。いま健康を損なわない程度で「普通」に頑張ってます。
○ 会社の雰囲気
これは意外と見落としがちで、とてもとても大事なところです。実際働いてみて更に確信しました。会社の雰囲気や空気感は一番重要です。なぜなら、売上は伸びたり分野は開拓したりするのはありますが、会社の雰囲気は何年何十年経ってもなかなか変わることがないです。
会社説明会で会った先輩社員のネガティブ発言によって、選考をやめた会社もありました。
「先輩は就活の時どうやってこの会社に決めたんですか」という質問に、「第一志望落ちたから今の会社にした」と。
は?
第一志望落ちたからここに来たというのは本当だと思いますが、でもその発言から誠実な人柄だとか全く感じません。自分が会社を代表している自覚がないのだ。しかも入社当時はそのようなネガティブな気持ちがあるとしても、実際働いてもずっとその気持ちのまんまなら、むしろ非常に無責任だ。第一、就活イベントに出る以上会社を代表しているのですから、就活生に向かってこんな乱暴な発言はありえないと思いました。
「第一志望落ちたから今の会社に入ったけど、働いてみるといい仕事できて楽しかった」的な発言だったら、私はすごく好感を持ちますが。
たった一人の社員で会社全体を測ってしまっては誤差が大きいすぎないと思われるかもしれませんが、私はその一人で会社の雰囲気を代表できると考えています。
もしあたなが人事部長で、就活イベントでどんな社員を出しますか?それは一番優秀な社員を出すはずです。そこです。
先輩社員から感じる雰囲気は、ほとんどそのままイコールその会社の雰囲気です。なぜなら、就活イベントに出てくる先輩社員は、この会社で最も優秀な社員たちのはずです。
その意味でも、事前にできるだけ多くの会社を回って、実際にその会社の雰囲気を感じてみることは、会社選びに大きな参考素材になります。
○ 得意分野
明確な得意分野がある組織設計も少なくない。商業や再開発が得意な会社、都市計画が得意な会社、PMが売りの会社、空港や病院、学校など特定のビルディングタイプが得意な会社。
志望動機を語るときは大きな素材であるが、多くの学生にとってビルディングタイプまで拘ることはないと思います。もし何かのきっかけで学校を作りたいなどの強い希望があれば、会社選びに迷いがすくない分、フォーカスして対策することでコスパの高い就活ができるでしょう。
一社しか受けないけどその一社から内定もらった、という話は毎年います。私の近くにもいました。特別に優秀な学生だから楽勝というわけではなく、そこに入りたい強い志望動機や強い意志があるため、相手に伝わるのです。会社としても、優秀な学生はもちろんほしいですが、それより本気で自分たちの会社に入りたい学生を内定します。その意味で、優秀なのに落ちたのは、どうしても本気で入りたい気持ちが読み取れないからです。
脱線しますが、就活にはもちろんある程度の実力があったことに越したことはないが、もっと大事なのは、相手に「この子を応援してあげなきゃ」「この子を拾わなきゃ」「うちはこの子を育たなきゃ」と思わせることです。それさえできれば、内定は確実にもらえます。
○ 温度感
私は建築が好きです。多分。
少なくとも、建築について議論が白熱するのを、参加するのも、傍観するのも好きです。
でも就活していると、私はどこに行っても同じポートフォリオで同じようにプレゼンしますが、なぜか会社によって反応が大きく違います。会社によって建築に対する温度差が激しいと感じました。
学生の作品を興味津々に聞いてくれて、そして本気に学生と一緒になって考えたり、褒めたり弱点を指摘して提案してくれたり、本当に建築好きだなと感じる会社は、私は好きです。将来本当に一緒に仕事できる保証はないけど、一緒に建築について語り合うのはやっぱり楽しいです。
反対に、学生の作品について一通り意見は述べますが、事務的でどこか無愛想を感じる会社もありました。なぜかそういう会社に限って、就活生向けのイベントや設計ワークショップが多いように感じます。
ディスっているつもりは全くない。もしあなたが建築設計を仕事にしようと思っているけど、そこまで建築が好きというわけじゃないなら、建築大好きばっかり集まっている会社に行くと、それはそれで温度差のギャップで居心地が悪いと思います。
私は建築好きな人たちと一緒に働きたいと思っているけど(自分は好きかどうかは別として)、みんなは各々自分とあった温度の会社を見つけるといいですね。
○ いわゆる女性が働きやすい職場
今は建築業界に限らず、もっと女性が働きやすい社会とか、流行ってますね。
私は女性として、こういう「女性への特別な配慮」に複雑な気持ちを抱いています。女性も男性と同じように公平に働けるために女性へ特別に配慮する、自己矛盾してますよね!
特別配慮している時点で公平ではないし、特別配慮されているお母さんと特別配慮に配慮されていない未婚女性って余計お互い気まずいし。
今建築業界、特に設計は女性がどんどん増えていて、結婚や子供より建築や設計の方が好きな女性もまあまあ結構います。子供いても毎日残業するまで建築の仕事が大好きなお母さんもいると思います。
でも私はどっちも諦めたくない。学業と育児が両立してきたから、次は仕事と育児の両立!特別配慮してもらえるなら、罪悪感はあるものの、育児や生活はすごく助かります。罪悪感がある分、もっと会社に貢献したいとも思うようになります。
いわゆる、女性が働きやすい職場。私の会社選びの大きな基準の一つです。会社見学のときもオフィスフロアを見渡して、女性が多い職場はやっぱり女性が働きやすいはずです。定時は何時から何時か、同じ8時間働くにしても、5時定時と6時定時は子供を迎えに行くお母さんにとって大違いです。
話少し変わりますが、私が最初に内定をもらった会社、結構勢いがあって成長が見込めて、私も本気で行きたいと考えていました。でも最後の役員面接でその場で内定が承諾された時は、まったく喜べなかった。やっと最初の内定もらって一安心のはずなのに、まったく喜べない。それは、最終面接で、社長が内定を承諾したあとにこぼした一言です。
「私は子育てをするお母さんに偏見がないけど、なんかあったらすぐ『帰ります』じゃこまります」
私を最終面接まで押し通した担当のおじさんは、社長が下した内定の承諾で満面の笑み。そして対比的に社長は無表情で、すごい圧のかかった口調のこの一言。私はゾッとしました。
正直この一言はショックでした。子育てしている母じゃないと、この言葉の威力は理解できないかもしれませんが、私にとって、それは明らかな偏見で、もっと言えばマタハラと言えるレベルの発言だと思ってます。
もちろん実際の仕事は何年の間も社長と一緒に仕事することはない、実際に一緒に働くのは私を最後まで押してくれた優しいおじさんです。でもやっぱり不安材料としては大きかった。最後は辞退を決断しました。おまけに辞退を申し出た後に引き留めようと担当からメールが来て、本当にこの優しいおじさんに土下座して謝りたいぐらいの罪悪感でした。
そして似たような状況は二個目の内定にもありました。そこまでひどくはないが、子育てのことや勤務時間のことまで細かく聞かれて、役員面接は1時間もかかっていろんなおじいさんから次から次へとシビアな質問が飛んできて、安心して働けそうとは言い難い。内定の電話も、「もちろん来てくれるよね」「一緒に仕事しましょう」とか、迷っている私には威嚇のように聞こえました。そこも、やっぱり辞退するときに、何度も何度も相談に乗って作品をみてくれたリクルーターの方に申し訳ない気持ちになります。
最近脳外科医のドラマやっているけど、女医は仕事と家庭が両立しないと描かれてます。建築もそうかもしれません。私は勝手に両立させようとしているせいで、会社選びの時に子持ちに対する差別的発言に余計敏感になったかもしれません。
辞退する2つの会社も、どちらもいい会社でした。
○ 自分の目で確かめよう
規模・売上・給料はほとんど各社のリクルートHPで情報入手できます。しかし会社の雰囲気、温度感は実際行ってみないと分からない。
私は一時期意気込んで50社回ろうとしました。それ自体は貴重な経験という財産になるからです。(実際は30社ほど回った時点でエントリーシートの作業に潰されましたが)
就活は期間限定の婚活のようなものです。
会ってもない相手と結婚しませんよね。
いろんな会社に入って回れるのは、就活生の特権です。
あなたも実際に企業訪問して、自分の目で確かめてから決めてください。
自分なりの基準もできるはずです。
自分に合う会社をみつけて、頑張ってください。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
就活しているあなたの参考になれば幸いです。
今勤めている会社を選んだ経緯、また明日。