ハンデを自己PRに変える思考
今日も投稿を頑張ります。
組織設計勤務1年目のYOUです。
今日は自分が意匠設計で就活していた当時、圧倒的にハンディを持ちながらも無事内定できたことから、自己分析や自己PRの仕方を少し共有できればと思います。
○ まずい素材からできる美味しい料理
いきなりですが、私が就活していた時に、明らかにハンディになることを以下にリストアップします。
・新卒なのに年齢はアラサー
・4歳子供の子育て中(基本的に残業できない)
・意匠学生としては作品数が圧倒的に少ない
・所属研究室は意匠系ではないので情報がない
・特にコンペもやってなければ受賞歴もない
就活始めた当時は意匠系研究室の同級生が企業が行った学内コンペで華麗なる内々定をもらったりしている横で、自分はコンプレックスのかたまりでした笑
「就活は自己分析から始まる」とよく言いますが、本当にそのとおり。何度も何度も自分の人生を振り返り、自分は何者か、何が得意か、自分にしかないものは何か。就活していた4ヶ月の間は、ひたすら自分の人生について考えていました。
どもハンデはハンデのままだと、とてももったいないことに気づいたのです。
料理に例えると、自分の持っている能力や経験という素材は同じでも、出来上がった料理が美味しいかまずいかは、完全に料理の仕方に左右されてしまいます。むしろいい素材じゃなくても、料理の腕一つで美味しく仕上がることが十分可能です。
私の悪い素材はいかにして美味しい料理に変身したか、振り返りながら書いていきます。
○ アラサーの新卒
人材育成の観点から、新人を一人前に育つのにかかるコストは一定の場合、定年までの年数は長い方が企業にとってのリターンが高いと言えます。そのため、一般的に企業は若い学生を好む傾向があります。企業によって募集資格に年齢制限を設けているのもそのためです。
合理性の観点からこの考え方自体間違いないので、年齢制限で弾かれるのを悔やんでも仕方がありません。
それより、年齢制限を設けてない企業に向かって、それを逆手にとって大大にアピールすることにしました。
私は一度二流大学の建築学科に入って、3年間勉強したのち退学し、その後1年間知人の建築事務所で働いて、やっぱり建築をちゃんと勉強したいと、改めて大学受験の勉強をして今の大学に入り直しました。
そのため私は同級生より7歳年上だったりしますが、その分私は建築に対する思いれが強く、通常の新卒学生より経験を積んでいます。
大袈裟に言えば、企業にとって、新卒の給料でキャリア採用のような人材を雇えるというメリットがあります。そう考えると、年齢はハンデではなくなります。
浪人や留年の場合も同じ発想で転換できるはずです。
過去はすべて自分の意図通りではないが、過去という素材を意図的に編集することはできます。編集とフィクションの線引に気をつけながら。
○ 子育て中
新卒で子持ちはなかなかいないものの、学生で子育てってすごいねと言われる反面、本当にちゃんと仕事できるの?と不安に思うのがほとんど。
仕事に支障がないのは言い切れない。だって基本的に残業はできない。転勤もできない。出張すら難しい。子供を連れて出張するのを許されるなら話は別ですがそんなのもちろん仕事にならない。
最初に考えたのはこうです。
「学業と育児を両立させてきましたので、これからは仕事と育児も両立できると考えています。残業は難しいが、定時まで仕事が終わるように段取りします。」
悪くはないが、どこかで余儀なくされた感があるのは否めない。
そして次に考えたのはこうです。
「学業と育児を両立してきました。働き方改革が注目される現在、定時内で仕事が終わるように、仕事効率の向上を目標にしています。そして、御社の働く女性の模範となれるように頑張りたいと思います。」
随分背伸びして大きいこと言ったなと自分でも思っていました笑
育児は事実上ハンデですが、考え方一つで言い方を変えれば、もはや別人に聞こえます。前者はなんとなく無理があって心配になりそうですが、後者はどこかで人に期待を持たせてわくわくさせるものがあります。
ハンデは、強みにもなるのです。
○ 作品数が少ない
私は学部の時に待機児童で2年間まともに大学に行けなかった時期があって、くわえて4年生から歴史研究室に入ったため、作品数は圧倒的に少なかった。OB訪問で、同級生たちが次から次へと作品を取り出してプレゼンする風景を見ていると、かなり焦っていました。
もちろん新たに作品を作る余裕もありません。
でも気づきました。
そもそも数で勝負するものではない。
私は一つの作品を徹底的にブラッシュアップすることにしました。選んだ作品は背景説明が長くなる卒業設計ではなく、学部3年生の分かりやすい設計課題でした。一つ小さな施設設計から、まちづくりスケールまでズームアウトしたり、ストリートファニチャーまでズームインしたりと、一つの課題から3つの提案をすることにしました。すると背景説明は1回だけで、作品は3個プレゼンできる。
また、おじいちゃんたちが受けそうなアイデアも考えました。ブラッシュアップの時に、おじいちゃん達をイメージしながら作業を進めていました。
ブログなどを書く時は、事前にターゲットを具体的にプロファイリングし、そのターゲットに話しかけるように意識して書くべきと聞きます。就活の作品ブラッシュアップにおいても全く同じことが言えます。おじいさん達のほとんどは、大学が好むような難しい理論に、脳細胞を費やさないのであります。
徹底的に、一つの作品に賭ける。作品がないからことの戦略だ。受けが悪ければ即死。でもエネルギーが分散することなく一つの作品に注がれるので、意外と打率は高かった。
一つの作品に集中することで、自分どういうものに興味や問題意識をもっていて、どういう建築を作りたいか、そこから発展して自分はどのような人か、とても伝わりやすくなります。
○ 非意匠系の情報弱者
割と歴史研究室に多い問題かもしれません。
非意匠系研究室出身で、意匠設計で就活していると、様々な不都合が出てきます。
筆頭は情報不足。
大手企業は特定大学の特定研究室にだけ、リクルーターを派遣したり情報を流したりすることがあります。
当時の私は一時期その情報の不足分を一生懸命かき集めようとしていました。
学校の各種事務所で問い合わせたりOBの名簿を調べたり、就活担当の教員に話を聞いたり。最後ようやく情報の持っている同級生までたどり着き、リクルーターの連絡先を教えてもらえないかと頼んだところ、急に人が変わったように冷たい口調になり、教えることができませんと。
普段は普通に仲良くやってきたつもりだったので非常にショックでした。学内ですらそのシビアな状況で、学校を出たらもはや都内の学生だけでなく、地方各地の学生トップが必死になって東京で職をつこうとしています。
当時の焦りはある意味無意味でした。
情報が流れてこない企業は、例えむりやりリクルーターまだたどり着いてもただの迷惑だ。企業側は採用方針はっきり決めていて、その方針通りに採用活動しているのに、情報が入ってこないのは、そもそも自分は対象にすら入ってない。骨折り損の草臥れ儲けでした。
もはや酸っぱい葡萄に執着する必要がない。キツネのように去ることにしました。
一流会社の三流社員よりは、三流会社の一流社員の方が精神衛生上健全だと考えるようになりました。
第一志望の大手企業を捨てたことで、一流三流問わず、幅広く企業訪問するようになり、結果的貴重な経験となっただけでなく、満足かつ納得の会社選びができたのでした。
○ コンペ経験・受賞歴なし
これも非意匠系研究室出身だからのハンデと言えます。
やろうと思えば、自主的にコンペを出ることもできますが、人は強制されなければなかなかやらないし、ゼミや研究発表だけで精一杯ですし。
でも就活始めると急に後悔し始める。なんでもいいから何かしらのコンペをやっておけばよかったなとか。
実は企業側にとって学生コンペなんかどうでもいい。企業が好きなBCS賞に比べて、学生コンペはおままごとのようだ、という味方もできます。
またまた酸っぱい葡萄(笑)
でもよく考えると、意匠系の学生は、設計しかやってこなかった。非意匠系のあなた、どんな研究室であれ、その研究室独自の研究活動はあるはず。そこを深く掘り下げて、就活の軸まで持っていくのです。
こういう作業はむしろ非意匠系の方が強い。例えば歴史研。時々歴史は推理小説のようなものだと思うことがよくあります。当事者が死んでいる以上真実かどうか誰も分かりませんが、説得力のある推理はできます。
つまり、例え所属研究室の活動はあなたの軸と無関係にしても、糸口を見つければ結びつくことができます。それを押します。
私の場合、持続的発展の観点から田舎の村をひらすら疾走して調査を行ったり、チームをまとめて海外偏狭地での集落調査を実現させたり、オーストリア建築家の著作の翻訳出版を手伝ったりするなど、意匠系なら経験できないプロジェクトのみならず、それらのプロジェクトが立ち上げるまでの思考プロセスを経ていることは、大きな強みになると気づきました。
作品数が少ないところじゃなくなりました。
作品よりは研究活動の方がすごいのですから。
「私は学生作品より、就職して初めて本当作品づくりができると考えています。そのためにあえて歴史研究室を選びました。物事を総合的に分析したりまとめたり、場合によっては砕いたり再構成したり。課題設定から問題解決までの循環プロセスを大学のうちに繰り返し経験したことは自分の大きな財産と思っております。」
人のないアドバンテージに変身しました。
○ おわりに
人間はどうやらコンプレックスを持ちやすい生き物です。
意識していなくてもつい人と比べてしまいます。
でも意識的にハンデをチャーミングポイントに変えることも可能です。
一旦変えることができると、ハンデは最初からチャーミングポイントだったこと、ハンデはそもそも存在しないことに気が付きます。