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漂着する足首【黒衣森伝聞集より】

 黒衣森北部森林タホトトル湖の岸に、人間の足のようなものが漂着した。当局が星■月■日、発表した。星■月■日水四刻頃、付近を散策していた住民から「漂着物の中に足のようなものが見える」と鬼哭隊に通報があった。調べによると漂着したのは赤い靴を履いた人間の右足。腐敗が進んでおり、性別や種族は不明。当局は事件と事故の両面から捜査しているが、現場はイクサル族の拠点も近く、捜査は難航している。
【星■月■日のグリダニア日報3面より】

 イクサル族や森の密猟者も最近は大人しい。このまま何事もない日が続き、俺のような軍人がいつか金食い虫だと言われるような世の中が来ればどれほど素晴らしい事だろう。いつか来るその日を夢見て俺は明日も職務に邁進しよう。あぁしかしあまりに何も起こらなければギドゥロのやつを繋ぎ止めづらくなる。一体あいつはどこまで飲みに行ったんだ?
【双蛇党員サンソン大牙士の日報より】

 黒衣森北部森林タホトトル湖の岸に、人間の足のようなものが漂着した。当局が霊■月■日、発表した。霊■月■日水三刻頃、付近をパトロールしていた鬼哭隊員が発見した。タホトトル湖では同様の事例が多発しており、付近の住民には不安が拡がっている。イクサル族の関与が疑われているが、当局は「現時点では(イクサル族の関与は)不明」としている。
【星■月■日のグリダニア日報3面より】

 物騒な事件が耳に入ってくるが俺は捜査機関の者ではない。俺は俺の責務を果たし、グリダニアの安全と秩序を保とうと思う。ギドゥロのやつも今日は真面目に弓の修練に励んでいた。周りの奴らは何か女で揉めて逃げて来たのではないかと囃し立てる。あいつがなんだかんだで訓練ノルマを疎かにしないことをみんな知らないのか?
【双蛇党員サンソン大牙士の日報より】

 双蛇党から得られた情報をもとに目撃者を取材。第一発見者は周辺に住む農家の女性。山菜採りの際に川を通りかかった際発見したらしい。どこにでもいる話し好きの中年で特筆すべき点は見当たらなかった。同行していた女性の友人も同様だ。
【グリダニア日報取材班マリウステルの手記より】

 南部森林のレッドベリー砦だが、最近見知らぬ盗賊団が出入りしているらしい。記録によればあの峠はかつて似我蜂団が占拠していたらしいが、今はもうただの廃墟だったはずだ。砦を陥落させたのは俺達と出会う前の「エオルゼアの英雄」。全く彼女には頭が下がる。だが彼女が彼方で武勲を立てている一方で、この森にはまだまだ不届な奴らがいる。せめてそんな輩ぐらいはこの手で退治してやりたい。
【双蛇党員サンソン大牙士の日報より】

 黒衣森北部森林タホトトル湖の岸に、豚の脚などを不法投棄したとして、ハーストミル在住の無職ジョアキム・アギヨン(57)が廃棄物処理法違反の容疑により逮捕された。調べに対しアギヨン容疑者は「足首が流れ着く事件を聞いて思いついた。周りを驚かせたかった」などと供述している。同様の事件は数件発生しており、当局は余罪を追及している。鬼哭隊のスウェシーナ・ブルックストーン氏は「極めて悪質だ」と苦言を呈した。
【星■月■日のグリダニア日報3面より】

 夜明けとともにレッドベリー砦に攻め上がる。俺たちはその時を待ち、クォーリーミルで英気を養っていた。焚き火を囲み、ギドゥロが戦歌を奏でる。聞けば盗賊団は若い娘を狙った誘拐も行っているらしい。ギドゥロの歌声に静かな怒りが感じられた。やってやる。俺たちならやれるさ。
【双蛇党員サンソン大牙士の日報より】

 エオルゼア随一の博物学者を名乗る女に取材。言動がいちいち癇に障る女だったが分析は確かだった。細かい記録はすでにまとめてあるが、とにかく彼女に拠れば足首が漂着することはただの自然現象だ。何らかの理由で川や湖に落ちて死んだ人間は川の生物の餌になる。貪られているうちに四肢が身体から離れる。ちぎれた足首が靴などを履いていれば、それが浮力になって浮かんでくるというわけだ。このあたりのメカニズムを伝えれば不穏な噂も収まるのではないだろうか。
【グリダニア日報取材班マリウステルの手記より】

 TUO TI GNIKAT TUOHTIW YLF DLUOW I TAHT DIAS I EMIT TXEN OS TSIAW EHT MORF PMUJ DNA SEYE GIB HTIW ROOLF DNOCES EHT MORF PMUJ DLUOW I TAHT DIAS I RODASSABMA EHT HTIW EMOH TOG I NEHW DEREPSIHW I ESUACEB KAEW TI FO TUO PMUJ TNDLUOC I SAW I YRACS WOH RETTAM ON GNIDLIUB WEN EHT FO ROOLF DNOCES EHT FO TUO DEKCITS YLGNIKOJ SETAMSSALC YM FO ENO FI NOSAER PEED A TON STAHT KRAD OS TOG TI YHW REDNOW YAM EMOS KEEW A TUOBA ROF NWOD TAS DNA LOOHCS EHT FO ROOLF DNOCES EHT FFO DEPMUJ I LOOHCS YRATNEMELE NI SAW I NEHW DLIHC A SAW EH ECNIS NUG DEMRANU NA MORF YENOM TSOL SAH EH
【フォールゴウト東門付近に撒かれていたビラ】

 俺たちの強襲は成功し、盗賊団は壊滅した。訳の分からない言葉で威嚇してきたが、それしきで怯む俺たちではない。都市外の異常な常識に染まった結果だろうか。誘拐された女性達はなかなか見つからなかったが、ギドゥロが発見した隠し通路の先に彼女達はいた。砦の下には古い地下集落後があった。ゲルモラ時代か、もっと古いか?とにかくその集落跡地の奥に彼女達は監禁されていた。部屋の床をくり抜いたような、ひときわ深く広い穴に彼女達はいた。天然の檻だった。とにかく、俺たちは協力し、女性達を救出した。女性達は皆ずぶ濡れだった。聞くところによれば、盗賊団は訳の分からない言葉とともに女性達に水を浴びせかけ、穴を水で満たそうとしていたらしい。カルト野郎共め。
【双蛇党員サンソン大牙士の日報より】

 黒衣森北部森林タホトトル湖の岸に、人間の足のようなものが漂着した。当局が霊■月■日、発表した。霊■月■日水二刻頃、狩りに向かう冒険者の一団より「漂着物の中に足のようなものが見える」と鬼哭隊に通報があった。調べによると漂着したのは靴を履いた人間の足。腐敗が進んでおり、性別や種族は不明。同様の事件は依然散発的に発生しており、付近の住民に不安が広がっている。鬼哭隊は「事件解決に向けてさらに調査を進めたい」との声明を発表した。
【霊■月■日のグリダニア日報3面より】

 黒衣森北部森林タホトトル湖の岸に、人間の足のようなものが漂着した。当局が霊■月■日、発表した。星■月■日水二刻頃、狩りに向かう冒険者の一団より「漂着物の中に足のようなものが見える」と鬼哭隊に通報があった。調べによると漂着したのは赤い靴を履いた人間の左足。腐敗が進んでおり、性別や種族は不明。爪が異様に長くなっていたという。同様の事件は依然散発的に発生しており、付近の住民に不安が広がっている。鬼哭隊は「事件解決に向けてさらに調査を進めたい」との声明を発表した。
【グリダニア日報取材班マリウステルから提出された記事の草稿より】




 マリウステルの自宅は家具や食料などがそのままになっており、争いがあったようには見受けられない。自発的に失踪したのではなく、何かの事件に巻き込まれたのではないだろうか。彼の机の上に遺されていたメモや切り抜きは付記のとおりである。彼を探さねばならない。
【グリダニア日報取材班エドワルドが編集デスクに郵送した資料に付記されていたメモ】





 焚書任務完了。報酬は冒険者ギルドまで。
【冒険者イズミ・アオバより】



情報提供者:イズミ・アオバ




◆◆◆


「黒衣森伝聞集 …?情報提供者?あぁ、それでコソコソ付け回してたの。だったら次はちゃんと連絡してよね。…歯が折れた?知らないよ」

「私が提供した話?渡した分が全て。それ以上は何も」

「しつこいね。精霊様のご機嫌を損ねたら、歯じゃすまないよ」

「…私?私はいいんだよ。じゃあね」

途端に彼女の姿は掻き消えてしまった。


この度はせばさんの最高の企画に参加出来てめちゃくちゃ楽しかったです。作品については掲載しているものが全てなので語ることは何もないのですが、足首漂着事案はカナダで実際に発生しているものです。そしてせばさんがこの作品について感想をつぶやいたところ、以下のような出来事が有ったとだけお伝えしておきます。


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