上智大学詩歌会 『夕星』 vol.7 + おまけ 15 上智大学詩歌会 2024年12月5日 20:34 2024年12月1日の文学フリマ東京39にて頒布した『夕星』vol.7のpdf版を公開いたします。引用・感想などは #上智詩歌 #上智夕星 まで。また、春に開催した吟行会の詠草も併せて公開しております。よろしくお願いします💫 上智大学詩歌会『夕星』vol.7.pdf791 KBファイルダウンロードについて ダウンロード 上智大学詩歌会フリーペーパー『夕星』vol.7 (2024年12月1日発行)短歌連作 しろ 高井伽称子目に見えぬことの溢れて夏の日は葉の間を抜けて円を成したりもうそこに天守はなくて木陰から日向へうつるときの白さよ戦ひを知らないままに燃え落つる城の幻を炎天に見ゆ薄雲に秋思ひつつ真昼間の日差しの中を二人歩きぬやや前を歩くあなたの二の腕に指を沈めてゆく白鳥路どこまでも行くんだらうなこの人は スプリンクラー指さしてをり旅薄れつつある夜のファミレスにレモン搾りて唐揚げを食ふ ジオメトリック 若松優都手をいれて形を確かめるまでにBGMは3度止まった恋愛って結局性欲じゃないですかってあなたの前で言うことじゃない知っていることしか起こりえないのでここは私の夢だとわかる革靴がタクシー乗り場に捨てられて、想像できるいくつかの理由打ち切りになった漫画のスピンオフは父を名前で呼んでるかんじそれからも同じ座標で鳩をみる京都タワーを原点として あやなし 海葱わたしにも嫌いなひとはいたからさまた太陽が西へとすべる車窓には広告みたいに街があるお金を払って消してしまおう常夜灯ほんとうの月みたいだねほんとうの月ってどんな月?窓越しに大きな影がのしかかる寝れば言葉はぜんぶ寝言だ幸せな人が憎いね 柔らかいものならぜんぶ命みたいだ ね冬色の重たい布団で浅い息いまでも口は象形文字だ学童のフェンスが茶色い蔦だらけ乾いたいのち型におはよう 回るのは 榊隆太冬の道を選んでゆけばすれちがう人も車も向こうから来る食べるため歌を作って一皿が一首で買える即詠寿司よ一首百円これが原稿料よりも高いのか安いのかわからない届くのはいつも隣の家族の寿司でわたしたち断食に向いているかもしれない目的と手段とを取り違えては湯呑みに冷たい水を注いだ寿司の皿を数えるたびに人生を運命を試されていただなんて呼ぶよりも先に振り向く犬の背と顔が入れ替わる その調子 お願い 鹿戸千尋必勝法はないはずだったうつくしいゲームの前のルール説明一冊も借りないなんて図書館のもっとも手の込んだ燃やし方汚そうとすれば汚せる名画にもお願いだからさわれなくなる片目を閉じて自分の鼻を見ていると擬人法なんて無駄だと思う水筒が落ちるだけでも寒かった背骨に音が沁みてくるのは骨までも使える魚 ほんとうにもう勝てないかまだたしかめる注文は真正面からつまらないメールアドレスでいい? 任せて ケーハク 巣々木盥逡巡と逡巡は繋がつてゐてチャリンコの籠は繋がつてゐる妄想の偉人のはねた寝癖のみ頼りにするような青年期続く未来のこと考えるべき過去のこと面白い 温泉バス運転ロボ引き継ぎご近所のテレビの失せし近未来馬の爪こそぐ動画さへ見ゆほっぺたの検索をしてほっぺたを揉み揉み近近冬冬礼儀より礼儀が大切にしたがってつまめばたゆむ先生の顎散々の仮想の人の散髪をする息の自分が許すことと他人が許すこと ざらざらとしたい 石橋莉瑠理屈だけざらざらしていてコミカルに狂うことでしか生きられない…解決させない というあり方 誰にあげるわけでもなく残す唐揚げソーシャルの中でソーシャライズされしゃらしゃら生きてる君を見ている罪罪罪罪罪罪罪罰ぐらいの毎日やだね、散歩に行くか乗っている一人ひとりにある姓が揉みくちゃにされてもう新宿だふるさとの天気予報は正確で陰謀論者に憧れている天才であらねば!白衣を虹色に染めてからはじまりははじまる CORPORE SANO 小山内図式二重瞼のようにか細い月がうろこ雲の底を這っていた目と鼻の先で見られるものはゆっくりと膚の間を切り離すようにゆるやかな坂をくだっていく人の眼には見えない夜を呑むこと長い槍を思い、いつかその槍を引抜いたり差したりして遊ぶ不眠だったけれども目を閉じていればニューロンに錯覚の明日が来るおまけ 春の吟行会詠草去る2024年4月28日(日)、新入生歓迎企画として小石川後楽園を訪れて吟行会を行いました。以下に参加者の詠草の一部を公開します。梅林を抜け八つ橋へだんだんと昼の姿になっていく影空っぽの東屋にも神様が居て染み出している光の軽さ古井戸を奥へ奥へと魂はずっと三人称の視点で飛石に踏まない部分があることに納得できずに老いていこうね会いに行く/この池の水全部抜く/踵は石段の数を知る海葱地下鉄に閉じ込められて十一時寝癖なくて健全な遅刻新緑の若木のもとのこの肩にカメムシ降り立つ とにかく座る塀の外竹藪眺めた あと半歩 ほとほと疲れ後輩はどこ?淵淵泪「集合時間は十時」曲がりくねった幹の葉でやる花占い 当たるも八卦当たらぬも八卦鯉が井の中としている ちいさなだいだらぼっちの琵琶湖わたしの首のあたりで折れて光を食べて育つ唐梅湖面に波紋を生んだから鯉はいつでも半月を見るわたしたちがそこに居たのは菖蒲をも葱と見紛う季節でかきぬ暑さすら小脇に抱える夫人会澄まして咲むは主催のカキツ雲英水道橋から後楽園に歩いたら東京ドームと地続きだと思えるセブンでうどん買ってうどん食べる 高井さんが見せてくれた蓮の花エドワード・ヤンが早稲田でやっていて思い出しつつ大学の木込谷和登不自然に傘を広げて待っているあなたに後ろから声をかける想像の外でも松は衰えず体躯を水の上に伸ばしてあの道の草の渚に踏み込んで聞けない過去のことは聞けない榊隆太チョコミントアイスと火傷 あの夏で結べなかった像に別れをさわ子名勝は大震災で焼け落ちてそのとき生えていた羊歯の横わたしのパスワードなどが溶けだしている池をぱくぱくする鯉なんて鹿戸千尋我が前に降り立ち再び飛んでゆく土鳩の首の明るきを見ゆ人生といふ喩を払ひ蛇行する道の流るるままに歩きぬ庭内に地名を名付く淋しさよ温冷のある風を受けつつ人の気配ふとなくなりて借景に見返る我と出会つてしまふ風吹けど光動かず初夏といふ長き事象のかたはしに入る高井伽称子ペルソナがまたひとつ 九時の帰路の桜 行潦の上風に押される(※「行潦」に「こうろう」のルビ)蠅鳥青い冬が過ぎてなおも青いままなら早く春、渡してほしいよくみると手すりみたいな傷がある このひと工夫で染み入る笑顔チャンプルが炒め物と知ってればもっと機内は眠れなかった手の届く567の先っぽにまだ届かない休憩はまだ柳葉がモテる理由なんとなくわかるよストールと言えるんだよ原川「皮算用」「赤色の、もみじの季節、じゃなくて、こうようの季節ね」ってセンス好きかもふかわたろ ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #上智詩歌 #上智夕星 15