娘研究vol.3
上がったり、下がったり。差し迫ってきている。
「頑張るというより、楽しんでいこう!」という言葉を残して先生は帰っていった。
今回は、2日前に首が動かなくなるというアクシデントがあり、スポーツ整体に駆け込んだ。どうなるかと思ったけど、さすがだ。翌日にはだんだん良くなってきた。
娘の緊張がビンビン伝わってくる。私は落ち着くために持っていくものを整理。
カイロ3枚、楽譜、参加票…
実は、いつも前日から食欲が落ちる。こういう時、普通の親はどんな風に振る舞うんだろう、と考えて、できるだけその様に振る舞おうとする。他のことに気を紛らわしたり、本を読んだり。
自転車に乗るとお尻が焦げるんじゃないか、と心配するような暑さの中でもカイロは3枚必ずカバンに入れる。ちょうど温まるように時間を逆算して封を開ける。
練習している防音室には立ち入らず、そっと音を聴いている。かれこれ4時間。緊張が伝わってくるけど、気迫も感じるようになってきた。
次のレッスンは…1週空いて全国大会の当日。ふと余計なことを考えてしまう。先生はもう諦めているのかもしれない、と。こんなこと、絶対に口にしてはいけない。
余計なことを言ってくる「不安」というおばちゃん。沢山言うだけ言い散らかして最後は「知らんけど」で帰る。頭の中でワーワーうるさい。
いつも本番前は緊張で手が冷たくなる。カイロを握りながら、「ふーふー」と温める。手にほんのり温かさが戻ってくる。
この瞬間は、最高に嫌で最高に好き。矛盾してるけど、もっと強くなりたいという焦りと、単純に体温が伝わる嬉しさからだと思う。
明日もきっと同じやりとりになると思う。人目を気にせず、大きくラジオ体操を2回するだろう。そして、娘はいつものように何度も同じことを私にきくはずだ。そしたら、いつものように、答えよう。
「大丈夫、大丈夫。」