息子事典Vol.3
道端で叫ぶ息子。とうとう気づいてしまった、この理不尽さに。
「ひどいじゃないか。自転車の大きさが違うんだよ!もう僕は7歳なんだ。このタイヤ、見てよ!」
子どもが小さい自転車や三輪車を乗っている姿を見るのが好き。あの、不安定さと一生懸命さと小ささと回転数の速さと…いろんなアンバランスさが無い混ぜになって、すごく愛おしく感じる。
小さな前かごに入った「こびとづかん」。こびとを探すはずが、自転車で目的地に辿り着くのが精一杯になってしまった今日の冒険。この茹だるような暑さ。
それでも私は楽しくて、笑いを必死に隠す。
悪ブレそうだけど一生懸命。あられちゃんに出てくる、三輪車のキノコちゃんを連想してしまう。どんな悪態をついてもやっぱり可愛い。
いや、そろそろ買わないと、分かっているけど、この姿を見れなくなると思うと、足が遠のいてしまう。
ごめんね、と心の中で呟きつつ。
回転数の早い息子の自転車を数メートル先でニヤニヤして待っています。