息子事典Vol.2
「小さいころ、鼻くそ食べててん。」
子どもたちが私の幼少期の話を興味津々で訊いてくれる。これくらい関心持ってもらえるって有り難いことだなぁと思う。
子育てしていると、自分の子どもの頃がダブって見えることがある。忘れていた自分の子ども時代のエピソード、今日はその一つが「鼻くそ」。
息子が鼻くそを食べている。
ときどき鼻血まで出す。結構、力が強い。
特に注意はせずに。まずは様子を見ることにした。どんなときに食べるか、どういう意味合いや文脈なのか。美味しいから?寂しいから?ぼんやり考えながら観察していたときに、ビビッと映像が出てきた。
そうだった。
私はトイレの洗面台前で鏡を見ながら鼻くそを食べている子だった。人気の少ない1階の北側トイレにわざわざ出向いて。ただ、なぜ食べ始めたかは全く思い出せない。
やめられたきっかけは、同じクラスの賑やかな男子、木村くんか横田くんに目撃されたから。みんなにいつ暴露されるか、ビクビクして何日か過ごしたのを鮮明に思い出した。私の中で北側トイレの扱いが変わり、安全な場所から危険な場所になった。
こんな話を息子は前のめりになってじっと聞いてくれた。
「鼻くそを食べるのを見られたん?恥ずかしいなあ。」
と恥ずかしそうに笑っていた。息子が私とシンクロしたような感じで面白かった。引き続きやってもいいけど、バイキンが入るとよくないから、爪はちゃんと切っておいてな。
「そんなん、恥ずかしいからやらへんわ。なあ、ままの子どものときって昔なん?」
大真面目に失礼なことを訊いてくる。昨日購入した「こびとづかん」を大事に抱えて、明日は「こびと」を捕まえる冒険に出るらしい。