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【エッセイ】夢の中のあなた
久しぶりに夢を見た。
ここのところ寝不足が続いていた。
短時間集中型の睡眠だからか、ここ最近、夢を見た記憶がなかった。
もうあなたのことを忘れかけていたのに。
もうあなたをしばらく思い出さないでいたかったのに。
はじめは分からなかったの。
この終始ニコニコしている男性はいったい誰?
あなたは家まで送ってくれたけど、
私の脳内では「この人誰だっけ?」と思い出そうとしていた。
私は一旦出かけ、夕方からの仕事に間に合わせるために家まで走っていた。
間に合いそうもなくて、あなたに電話したの。
「途中まで迎えに来て欲しい。」と言うと、
電話口のあなたは「いいよ。」ってやさしく言ってくれた。
電話からあなたが料理をしながらだと分かる。
炒飯か何か、炒めている音がしていた。
そうだったね。
あなたは料理が得意で、作った料理の写真をよく送ってくれていた。
失敗作も友人と作ったものもバーベキューの様子も。
電話をしながら、
「誰だっけ?誰だっけ?初めて会った人に頼んでいいのかな。」
って、思ってた。
待ち合わせの場所まで走りながら、あなたを思い出そうとしていた。
そして思い出したの。
あなたがあなただたって。
この短い夢を忘れたくなかった。
初めて夢に出てきたあなた。
あなたに会うことはもうないと思っていたから。
嬉しかった。
だからこの夢は忘れたくないと思った。
どうして夢に現れたのだろう。
あなたに会うことを私は心の底で欲していたのだろうか。
やさしいあなたで良かった。
あなたの方が夢に出てきたのね。