見出し画像

キツネ雨 - 1st EP「Shoes」

こんにちは、Soothee.(スージー)です。
10月27日に配信開始した、1st EP「Shoes」より、
2曲目『キツネ雨』の解説をつらつらと書いていきます。

前回の『ハニートースト』が思ったよりも
文章量が多くなってしまったので、
絞りに絞ってお話ししようかな。


キツネ雨って?

キツネ雨とは、雨が降っていながらも、
雲の隙間から陽の光が差している天気のことで、
キツネの嫁入り、お天気雨とも呼ばれています。

一言「雨」と聞くと、どうしてもどんよりとした
重い雰囲気を感じてしまうのですが、
その雨さえも輝きを放ち、
キラキラとした表情に生まれ変わります。

が、
この曲歌詞を見ていただくと、
結構重いです。
重いというか暗い。

これは、
キツネ雨を綺麗な風景として
視線の先で見つめている時、
自分の立っている場所は、
雨側だったというコンセプトだからです。

相対する二つ、というのが
歌詞にも音楽にも表れています。


晴れ間と不幸は巡り来る

幸せは巡るもので、
調子のいい時があれば、
そうでない時もありますね。

この曲の主人公も例外ではなく、
いい時を晴れ、悪い時を雨として、
何度か天気が巡っています。

しかし、晴れが巡ってきていても、
どこか寂しげで落ち込んでいる様子が見られます。

君のいない街並みに
くすみ滲んでいく
水たまりと腫れた目を
ずっと 残したままで

キツネ雨 / Soothee.

晴れが差し込んでも、
雨は水たまりとなってそこに残り続けてしまいました。

放つ晴 光のプリズム
くすぐったいよとはしゃいで
水面まで続く細道を
駆け急いだ あの日は 戻らずに

キツネ雨 / Soothee.

晴れが差し込んでも、
気持ちはずっと晴れないままで。


別れのハナシ

それが単純な恋愛関係のもつれなのか
死別による永遠の別れなのかは
聞く人によって印象が変わると思います。

それでも一貫しているのは、
もう二度と会えなくても、
変わらず愛しているよ、という気持ちです。

ただ相手を求める感情ではなく、
あなたが幸せでありますようにと
優しさのこもった愛情です。

キツネ雨 降り切ってしまえ
君のもとで降るくらいなら ここで

キツネ雨 / Soothee.

君のもとで雨が降るくらいなら、
こちらで振り切ってしまって。
その先の陽に照らされた場所に、
あなたがいて欲しい。
そんな自己犠牲の愛情を表現しています。


透明と不透明

さて、歌詞についてざっくりと語りましたが、
音楽面についてもお話しします。

一曲目の『ハニートースト』と打って変わって、
かなり落ち着いた曲調に仕上げました。

雨のポツポツとした音、
雨に反射した光がキラキラとする音を、
それぞれピアノ、グロッケンで表現しています。

ピアノは少し音をこもらせて歪みをかけることで、
クリアなグロッケンと相対するような音色にしました。


非現実的な音色

2番の前奏から、薄く弦の音を入れ始めています。

現実ではあり得ませんが、
ハーモニクスの音色をかなり動かして重ねています。
薄くありながらも、豊かな響きが得られる効果があります。
DAWだからできる音色ですね。

また、ラスサビへ向かうように、
少しずつ音量や、音数を多くしています。
山の頂点でコンサートバスドラ、スレイベルを鳴らすことで、
「天気」という人の手が及ばない領域の荘厳さを表現しています。


戻りたがる気持ち

イントロからアウトロまで、
様々な箇所で鳴っている「ウーウォン」という音がありますね。

これはグロッケンの波形を逆再生したもので、
独特でかつ繊細な音色をしています。

これは何かを失った主人公の
過去に戻りたい心情を表したものです。

グロッケンで表現した光の反射を見てもなお、
思い浮かぶのは過去のこと。
あなたの幸せを願うことに落ち着いてもなお、
戻りたい気持ちに嘘はつけない。

音と歌詞をリンクさせたこだわりだったりします。


最後に

Soothee.のコンセプトは、
お散歩しながら聴けるような曲、でした。

一口に「お散歩」と言っても様々ですが、
ひどく落ち込んでしまう時、
むしゃくしゃした自分の気持ちと向き合うために、
その一歩を運び出したのなら、
ぜひ『キツネ雨』を聴いてほしいです。

励ますようなことはできないし、
聴いてとびきり元気になるわけでもないと思います。が、

曲に込めた想いと、
積み重ねた音たちが、
あなたの傷を少しだけでも癒してくれますようにと、
願うばかりです。

いいなと思ったら応援しよう!