すき間亭日記2月16日「梅の木と梅干とお婆さん」
むかし、我が家には一本の梅の木があった。
梅の木は、春に成ると美しい白い花を咲かせ、とても良い香りを漂わせた。
そして初夏の頃には、毎年のように多くの実を付けたのだった。
うちのお婆さんは、まるで漫画「巨人の星」の、星一徹のように、突然怒り出してちゃぶ台をひっくり返すお爺さんに対しても。
怒った事も無ければ、口答えするような事もなく、気立ての優しい猫が大好きな良い人だった。
ある年のこと。
我が家の梅の木が、あまり花も咲かせず、実も付けない年があった。
お婆さん