自分の心に素直に従う。旅するフォトグラファーから、写真と言葉で新しい価値観を見出せるクリエイティブディレクターへ
「旅するフォトグラファー」の肩書きを持ち、フォトグラファーとして活動する傍ら、字幕翻訳者としての一面も持つあきこさん。
「旅や海外での生活を通して、いろんな世界を見て、いろんな価値感にふれて知らない人や景色に出会って生きていきたい。」
そう笑顔で語る裏には、国内・海外、楽しいことも苦しいことも含めて、数えきれない出来事が。
今回はそんなあきこさんの人生に触れながら、現在の仕事や価値観に至るまでの経緯を伺いました。
<聞き手:中村 創(ライター)>
あきこさんのプロフィールと経歴
出会った人の言葉に興味を持ち、導かれることが多かった学生時代
-本日はよろしくお願いします!まず最初に現在の活動について教えていただけますか!?
あきこ:「旅するフォトグラファー」という肩書きで活動しています!
まだ実現の途中ではあるのですが、今後は海外に住んだり、旅をしながら仕事をしたい未来への期待を込めて、この肩書きにしています。
-旅するフォトグラファー!いいですね!その名の通りフォトグラファーとしてお仕事されてるんですか?
あきこ:フォトグラファーとしては、女性起業家さんのブランディングフォトをメインに撮影してます。
何を撮りたいか考えたときに、自分の生きたい人生を創っている人が好きだったんです。起業家さんがまさにそんな生き方をしている人だなと思い、写真を撮るようになりました。
また、字幕翻訳者としても働いていて、動画配信サービスや機内上映、YouTubeの英語音声を日本語字幕に翻訳しています。
-字幕翻訳者としても活動されているんですね!プロフィールを拝見すると、海外との縁がかなり深いように感じたのですが、最初の海外への興味のきっかけはなんだったんですか?
あきこ:中学の時に通っていた塾の英語の先生です。その先生に出会ったことで、英語や海外への興味が生まれました。
-まさかの塾の先生!
あきこ:先生は塾以外にも、通訳の仕事もしていました。授業中に海外で外国人に絡まれた時に法律英語でまくしたてて追い払ったとか、オリンピックで通訳をした時の体験だったり、そんな話をよくしていて。
それまでは英語が嫌いだったけど、「英語を話せるようになると、そんな面白い体験ができるんだ!」と英語の使い道を知ることができました。そこから海外に行ってみたいと思うようになりましたね。
-いい先生と巡り合いましたね!
あきこ:過去を振り返ると、出会った人の言葉に興味を持って、導かれることが多いと感じます。
高校生の頃も、旅人高橋歩さんが書いた本『LOVE & FREE 世界の路上に落ちていた言葉』を読んで、世界一周の旅に出たときの美しい写真と言葉がとにかく自分に刺さったのを覚えています。
私もいつか世界を旅してみたいと思えた運命の本です。
英語以外に、自分の武器になるツールの必要性を感じたカナダ留学
そんな海外に行きたいあきこさんが最初に行った海外はどこなんですか?
あきこ:カナダです、実は大学1年生の時点で授業が面白くないという理由で辞めまして…(笑)それから3ヶ月間カナダのトロントに短期留学に行きました。
-カナダ!過ごしやすいとよく聞きます。ホームシックになったりしました?
あきこ:周りの人は年齢に関わらずホームシックになっていたのですが、私自身は全然ならなかったです。むしろ別の国にもっと行きたいと思ったし、また何とかして海外に行きたい気持ちで溢れていました!
ただ、カフェで自分の英語が通じないショックはあったし、海外で暮らしてみる体験を通して、英語以外に自分の武器になるツールが必要と思ったのを覚えてます。
-確かに英語はあくまでコミュニケーションのツールですもんね。
あきこ:他のツールが欲しいとなり、「子どもの頃から好きだったことって何だっけ」と振り返った時に出てきたのが、写真だったんです。
撮るよりも断然見ることが好きで。女性誌やファッション誌はもちろん、友達のプリクラも「そんな真剣に見る人初めて見た」と言われるくらい見てたんです(笑)
-そこで現在も活動している写真に繋がるんですね!
あきこ:この写真好きだなと思う雑誌やCDのジャケット写真を撮った人を探していくと、同じフォトグラファーさんが撮っている率がかなり高くて。
それまでは被写体さえ良ければ、写真は自然と良くなると思っていたけど、そうではなくて、フォトグラファーの力がいい写真になる上で大きいと知り、写真の仕事に興味を持ちました。
見るのが好きなら、撮るのも好きかもしれないと思い、昼は働きながら、夜間の専門学校に通い始めたんです。
写真学校・英会話学校勤務から再び1年間の海外滞在へ
-夜は学校とおっしゃっていましたが、昼は何の仕事をしていたんですか?
あきこ:時間の融通がきくこともあり、5年間英会話学校で働いていました!
英語も好きだし、同僚とも仲が良くて、日本にいたけど友達は外国人の方が多かったくらい。
カウンセラー兼営業で、生徒さんのゴール設定をして、勉強方法をアドバイスしたりして、自分って人と話すのが好きなんだなと気づけた仕事でした。
-日本にいて、外国人の友達の方が多いってすごいですね!英会話学校を辞めた理由は?
あきこ:仕事はとても楽しかったけど、ワーキングホリデーに行きたくて辞めました。ニュージーランドに1年間、職場は子どもの頃から好きだったお花屋さんです。
ビザの関係で1年しかいられないとなると雇ってもらえないので、苦労しました。履歴書を出すだけでは、自分の英語力や想いも伝わらないと思い、インスタで気になる花屋さんを探して、直接交渉に行きましたね。
-すごい行動力ですね!カナダの短期留学とはまた違った体験がありましたか?
あきこ:「何もないことがこんなにも豊かなんだ」と強く感じました。そこまで外出したりはしないけど、ゆったり過ごして。料理だったり洗濯だったり、こんなに家事が楽しいんだと。日々の暮らしがとても豊かでしたね。
ある意味日本より娯楽の選択肢が少ないから、ニュージーランド人はクリエイティブな人が多いことにも気づけました。
帰国後の派遣社員として働いた暗黒時代を経て、選んだ独立の道
-ワーキングホリデー後に、独立して今の仕事を始めたんですか?
あきこ:いいえ。「とりあえず稼ごう」と安易な気持ちが芽生え、帰国後は外資系企業の派遣社員として働き始めました。
ただ、ニュージーランドの日々とあまりに違ったからか、じわじわと元気を無くしてしまい…(笑)私はこの時期を暗黒時代と呼んでいます。
-暗黒時代。どうしてそんな状態になってしまったんですかね。
あきこ:自分を信じなかったからかな。自分を信じて、自分の心に従って仕事を始めればよかったけど、日本ではそれができないと思い込んでしまった、せっかくニュージーランドでのびのびと豊かさを感じて暮らしていたのに、帰国してから不自由な生き方をしている自分が嫌でした。
-ギャップが大きい分、余計に精神的に落ち込んでしまったんですね。
あきこ:「このままでいいはずがない」と思い、会社勤めをやめようとした時に持ってるスキルが写真と英語。だったら、両方仕事にしようと思いフォトグラファーと字幕翻訳の道で独立しました。
-独立のタイミングでこれまでの点と点が線になるんですね!
あきこ:最近は写真と英語に加えて、ライターとして言葉も仕事に加えようと思っています。
写真って、結局その人や物事のいいところを視覚的に切り取って誰かに届けるじゃないですか。言葉も一緒で、いろいろな側面のある一面を切り取る。そして良さを届ける。そういう意味で、写真と言葉って似てると思ってます。
-写真と映像を仕事にしている身として、言葉が似ているというのは新しい視点でした!
全部1人ではできない。だからコンセプトを軸にチームで作っていく。
-クリエイティブディレクター養成スクールである「NEON ACADEMY」に入って活動されてますが、どうして入会したんですか?
あきこ:コンセプトを軸に、自分がディレクターになって、チームでクリエイティブを作ることに魅力を感じたからです。写真、言葉、英語以外にもデザインや動画にも興味はありますけど、全部1人ではできないですよね。
実際に、他のジャンルのクリエイターと仕事で一緒になったときに、コンセプトが明確だと作品作りがしやすいと感じたことも。逆もしかりです。とても重要なポジションで大変だとは思うけれど、挑戦したいと思いました。
ー入会してから2ヶ月が経ちますが、ここまでの感想を教えてください。
あきこ:ここまでの言語化力、企画力、執筆力、どの講座も本当に面白いです。物事を角度を変えて見たり、それを言葉にしてみることが元々好きなので、楽しいです。
あとはAllyさんも受講生のみんなも、心の温かい人ばかりで好きです!
海外にいることを強みにした、新しい価値観を見出せるクリエイティブディレクターになりたい
-最後にあきこさんの今後の目標や夢について教えてください!
あきこ:私はやっぱり根底に「ふらふらしたい」という想いがあるなと思いました。
旅や海外での暮らしを通して、いろんな世界を見て、いろんな価値感にふれて知らない人や景色に出会って生きていきたい。今までの仕事選びもそこがポイントだったように思います。
写真も書く仕事も私にとっては同じで、そんな楽しいことが仕事としてできるっていいよねと思ってます。
だからその生き方を叶えられるように、海外にいることを強みにした、新しい価値観を見出せるクリエイティブディレクターになりたいです。
あとは旅人や海外在住者のフォトエッセイが昔から大好きなので、私もいつか自分の写真と言葉でフォトエッセイを出したいなと思ってます。
-あきこさんの今後の海外での活躍楽しみにしてます!フォトエッセイを出した際は教えてくださいね。本日はお時間いただきありがとうございました!
<編集後記>
進むべき方向に迷った時に、自分の好きなもの、過去の自分が好きなものと向き合い、素直に従っていった結果、写真と言葉、そして海外で暮らすことに辿りついているんだなと思いました。
せっかくならこれを機に、あなたの好きなものを一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
<取材・文・撮影=中村創(@soooonakamura)>