冬が来た日
今日は風が強い日だった。まるで今日から冬だと言わんばかりに、冷たい風が吹いていた。空は不思議な模様の雲で薄く覆われ、なんだか深海にいるような魚を彷彿とさせた。
やっぱり午前中には起きられなかった。しかし今日はダラダラしているわけにいかない。後回しにしてきた洗濯を今日こそやらないとまずい。洗濯機を回した回数は4回。そして今日も厚手のものはコインランドリーの乾燥機にかけることにした。なんだか毎週のお決まりみたいになってきた。寒くなってきたこともあって量が多く、自宅からコインランドリーまでの距離が近いことに感謝した。
洗濯物を乾燥機にかけている間、昨日の買い物のリベンジをすべく、100円ショップへ向かった。今日はちゃんと紙皿と割り箸と裁縫用接着剤を買ってきた。しかし100円ショップとは不思議なもので、もう十分の状態でも、まだなにか他に必要なものがなかったか探してしまう。別にしばらく来られない訳では無いのに。必要なものができたときでいいのに。また次に来たときにすればいいのに。必要なものは買っているはずなのに、やっぱり忘れている気がしてしまう。いやいや、今日は何も忘れていない。しっかり必要なものだけを買って、店を後にした。
ドン・キホーテに行って、卵とボディソープ、あと安くなってたトッポを買ってきた。100円ショップでは我慢できたのに、ここに来て余計なものを買ってしまった。仕方ない。最後までチョコたっぷりには抗えない。甘いものは正義。
今日は寒くなり始めてから初めて暖かい上着を着た。 通りすがりの人の声が聞こえたが、明日はもっと寒くなるらしい。もう秋は終わってしまうみたいだ。あの風と空の深海魚が冬を連れてきたのだ。いつの間にか終わってしまった金木犀とか、まだもう少しだけ長かった日差しとか、心地のいい涼しさが恋しくなる。これから、朝は布団から出たくなくて、外に出る時はモコモコの上着とマフラーをして、ハンドクリームやのど飴が手放せなくなる季節が来る。冬は夏よりは好きだが、乾燥するのは勘弁だ。はちみつ白湯を作って持ち歩こう。あと、マシュマロの入ったココアが恋しい。
100円ショップにはもう鏡餅が売られていたし、ドン・キホーテには年賀状が置いてあった。出来ればクリスマスに注目していたいが、もう今年は終わりかかっているようだ。時の流れは早すぎる。来年の今頃私は何をしているだろうか。まだ事務所に残れて役者でいられているか、はたまた残れず別の人生をスタートしているか。でもまぁ、この季節ならきっと、やはり同じように、1年って早い、なんてことを思っているんだろうなぁ。