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【連続小説】騒音の神様 142 神様よく考える。
神様はしばらく喫茶店で、稼ぎの旅にいつ出発するか悩んだ。
「すぐ行こか。来月行くか。どっちにしても行くのは行こう。とにかく花守君には言うとこう。」
そう思いながら店を出た。相変わらず雨風は激しかった。傘が飛んで行きそうなで、傘を畳んでカッパだけで歩いて行く。顔にバチバチと雨があたりびしょ濡れになる。
「バイクで雨に打たれるよりは、ましやな。バイクに雨は、雨粒が痛かったもんなあ。あとやっぱり、長靴欲しいなあ。」
と思いながらびちょびちょの靴で歩く。家に着き、玄関でカッパを脱いでいると花守が声をかけてきた。
「神様、おかえりなさい。だいぶ濡れたでしょ。」
神様は、花守が寝ていると思っていたので驚いた。
「ああ、花守君、起きとったんか。いや、わしが起こしてしもたかな、すまんすまん。」
「いえ、神様に言うとかなあかんことがあって。仕事場の知り合いが、酒とタバコくれる言うてるんですわ。海外のええやつらしいんですよ。また今度、持って帰ってきますわ。これだけ言うときたくて。」
神様は
「ああ、ほんまか、ありがたい。ありがとう言うといて。ほな、ゆっくり寝てや。おやすみ」
と言いながら
「わしはほんま、もろてばっかりや。旅は、海外の酒とタバコもろてからにするか。旅に出ること、言いそびれたし。」
と思った。
花守は、すぐにぐっすりと寝た。神様はできるだけ静かに地図を広げて、眺めた。