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【連続小説】騒音の神様 124 久しぶりの出社

次の日の朝、竹之内工業の従業員達は会社に集まった。二日休んだだけだが、とても長い夏休みをとったような、皆久しぶりのような不思議な雰囲気だ。誰もが声を掛け合い、今日からの仕事のやる気を見せた。
「おう、なんか久しぶりやなあ。体大丈夫なんか、」
「大丈夫や。ちゃんと働くで。現場あけたぶん、取り戻さんとなあ、」
「結構、みんな来てるなあ。みんな体、丈夫やなあ。」
高石は、松原が来ていないことが気になっていた。
「松原さんは来てないですね。まだしばらく休むかな。」
「心配すな。また元気に来るよ。それまで俺らで頑張ろや。」
「そうですね、バリバリ働かんと。」
皆が話していると、竹之内社長が来た。
「おはようございます、社長。」
「今日からガンガン働くんで。」
と従業員達が口々に言う。竹之内は
「おう。皆頑張ってくれ。俺もしばらく万博の現場に入り浸るからな。俺は後から行く。」
皆がトラックに道具を準備していると、松原がやって来た。
「おう、松原、来たなあ。大丈夫なんか。」
「えらい顔腫れとるで。まだ休まんでええんか。」
「松原さん、体、大丈夫ですか。」
次々に、松原に話しかける。
松原は、
「みんな、おはよう。大丈夫や、顔は腫れてるけど大丈夫や。家で寝てても、体なまるだけや。いくで俺も。社長、俺、大丈夫なんで。」と言った。竹之内は
「おう。」とだけ言って、現場への準備を手伝う。松原が来て、皆は嬉しかったし、ほっとしたし、やる気も上がった。それぞれトラックや車に乗り合わせて、万博造成現場へ出発した。

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