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【連続小説】騒音の神様 125 働く男達が汗水流して働く中、騒音の神様は扇風機にあたって涼む。

暑い太陽の下、竹之内工業の従業員達は汗を流して働く。竹之内工業の者達だけでなく、万博工事現場で働く者達はみな、汗を流し、万博完成へ向けて熱気を持って仕事をしていた。そしてその一部の者は、ヒジ打ち男の襲来を恐れていた。また、実際にヒジ打ちをくらいアゴの調子が悪いまま「なんかアゴ、カクカク言うねん」とか言いながら働く者もいた。ヒジ打ちを食らった松原は、アゴも痛いし全身が痛いまま働いている。そして竹之内はヒジ打ち男が来るのを待っている。他にもヒジ打ち男を倒してやる、と思っている男達は沢山いた。なにしろ、現場での喧嘩は毎日あること。喧嘩好きの男達はたくさんいる。名前の上がっている「ヒジ打ち男」を倒したら、もっと名が上がると騒動を期待している熱気あふれる1968年。

一方、ヒジ打ち男の相方の「騒音の神様」は、またまた電気屋さんに来ていた。扇風機の前に立ち、風を楽しんでいる。騒音の神様は扇風機をジロジロとながめ、自分の手に持っている扇子と見比べる。
「よう出来てる。扇風機っちゅうやつはよう出来てる。風が出てくる。素晴らしい。わしの扇子は手首が疲れる。風も小さい。それに比べて扇風機の風は広く大きく届く。わしの声が風で震える。素晴らしいやないか、最高やないか。ああああ」

と声を扇風機で震わせて楽しんでいる。
騒音の神様は、扇風機についているボタンやダイヤルを回してみる。何度もカチカチ言わしてみる。

「このカチカチ感がええんや。この感触は、今まで無かった。江戸時代には全く無かった、覚えてへんけど。」

と騒音の神様は電気屋でカチカチ言わしながら、テレビをチラチラと見る。好みの漫才師が出てくるのを楽しみに、涼しげに扇風機を存分に楽しんでいた。

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