名もなき村の英雄譚【短編小説】
【プロローグ】
地球なのか・・・
異世界なのか・・・
昔なのか・・・
未来なのか・・・
そんな世界の小さな村のお話です。
その村は自然に恵まれ、村人が生活していくには十分な農作物が取れ、これまで、山に囲まれていたこともあり、盗賊や他の村との大きな争い事もなく平和な時間が流れていました。
しかし、その平和な時間は未来永劫、約束されたものではなく、変化の時を迎えようとしていました。
村の周辺では領土を広げようと国と国が争い、各地で戦争が起こっていました。
その為、豊かだった土地は枯れ、食料などの奪い合いが各地で起き、残党兵や盗賊などが豊かな村を襲い、略奪を繰り返すようになっていました。
そしてついにこの小さな村にもその影響が出てき始めました。
ほんの十数里先の洞窟に盗賊がアジトを作り、周囲の村を襲い始めたのです。
しかし、平和に慣れた村人の多くは何の根拠もなく、自分の村は大丈夫だと安心しきっていました。
【戦士の進言】
とある町の王宮にて・・・
戦士「王様、各地で起こっている争いの影響で、各地の村々が盗賊に襲われております。このままでは前線で他国と戦っている兵士たちの食料にも影響が出てきてしまいます。まずは我が国の民のために盗賊の征伐軍を・・・」
王様「ちょっと待て!!お主は今の我が国の状況をわかっているのか?今、我が国は領土争いで一進一退の戦況の中、民の為とは言え、兵力を分散できる余裕などあるわけはないであろう!!そもそも、この国がなくなれば、民がなどと言ってられないのだぞ。」
戦士「それでは王は民を見捨ててしまわれるのですか!?」
王様「誰もそんなことは言っておらぬわ!!ただ、お主の言う通り盗賊どもの最近の振る舞いは見過ごせぬところもあるのも事実だ。」
戦士「流石はわが王君、それでは兵をお貸しいただけるのですか?」
王様「まあ、落ち着け!、先ほども言ったが、今、戦況はひっ迫しておる。正直、近衛兵のお主にも戦場へ出てもらいたいぐらいなのじゃ。だが、お主の言う通り、食料が枯渇することは即敗戦を意味することも理解は出来る。そこでお主に改めて命を下そう。」
戦士「・・・・」
王様「盗賊征伐のために軍を動かすことは・・・やはり出来ん。」
戦士「それでは民が・・・」
王様「まあ、落ち着けと言っているであろう!!話は最後まで聞け!!」
王様「ワシからの命はお主一人で盗賊どもを何とかしてこいという事じゃ」
戦士「はっ?どういう・・・」
王様「疎いやつうじゃの・・・そのままの意味じゃ。但し、お主に金貨を10万枚与えてやるので民兵を募集して秘密裏に盗賊どもを討伐をしてくるのじゃ。他国に情報が流れないように秘密裏にじゃぞ。いまそのような情報が相手国に流れてしまっては余計な刺激を与えるだけじゃからな。」
戦士「・・・・」
王様「何をしておる、話は以上じゃ、良い知らせを期待しておるぞ!」
【我が道を行く武術家】
武術家「強い相手と戦いたいな~」
武術家「日々の鍛錬で自分が強くなっていく実感を感じるのは嫌いじゃないが・・・やっぱり強い相手と戦いたいな~」
武術家「んっ!?何か聞こえるぞ?」
男の声「おい!クソガキ、命が惜しかったら黙って、村まで案内しろ!!」
少年「誰がお前たちみたいな盗賊の言う事を聞くかよ!」
少年「お前たちみたいな卑怯もんは、俺みたいな子供でも人質にしなきゃ村一つおそえないんだろ!!」
男の声「くそ!優しくしてりゃつけあがりやがって!!今すぐ殺してやる!!」
男の声「イテッ!!」突然男の頭に石が飛んできてぶつかる。
盗賊の男は石の飛んできた方向を見ると凄まじく威圧感のある大柄の男がたっていた。
そしてその大男は盗賊に向かって話し出した。
武術家「おいおい、大人3人がかりで子供1人に力づくとは・・・大人げないね~」
武術家「それから少年!!命は粗末にするもんじゃないぞ!お前が本気で村を守りたいって思うんなら強くなるしかないんだ。今なら俺が助けてやるがどうする?自分の弱さを認めるのも強さなんだぞ!!」
男たち「何を勝手にベラベラと!!」
武術家「うるせいな!!今、大事な話をしてるんだ!!」
武術家「少年!!決断しろ!助けて欲しいのか、欲しくないのか!」
少年「わかった!助けてくれ!村を守りたいんだ!!」
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