『Sea of Stars』と『The Messenger』の繋がり/ARGについて①
はじめに
この記事は、Sabotage Studio(サボタージュスタジオ)によるゲーム
『Sea of Stars』と『The Messenger』を繋げる大きな要素のひとつ、公式Discordサーバーにて展開される、ARG(代替現実ゲーム)の内容を部分的にまとめたものです。
※両方の作品のネタバレを含むので、どちらもクリアしたあとに読むことを強くおすすめします。
主にこちらの記事を翻訳・要約したものです。台詞については意訳した部分があるため、原文に目を通しておくことをおすすめします。
ARGの始まり
Sea of StarsとThe Messengerを直接繋ぐARGイベントは2018年12月8日に本格的に始まった。
2018年11月20日
公式DiscordサーバーのメンバーであるSoleil氏による、メッセンジャーの Twitch 配信のチャット欄にて、店主が「記録官(The Archivist)」と呼ばれる人物の存在を明らかにした。
彼女は許可なく水晶玉に触れてしまったKammesennin氏(後のリードモデレーター)に呆れつつ「記録官は時空の裂け目で行方不明となってしまったのだから、全員が協力して探しだす必要がある」と話した。
2018年11月21日
メッセンジャーのver1.04のアップデートで、未使用の台詞ファイルが追加された。それらは全て、裂け目に閉じ込められてしまった記録官によるものだった。彼は、虚無へ戻るための扉は外側から開けなければならず、そのためには石碑に刻まれたブードゥー教の呪文が必要だと述べていた。
この未使用の台詞ファイルがSoleil氏によって発見されたあと、サーバーに#the-voidというテキストチャンネルが登場した。
このチャンネルは消えたりまた現れたりを繰り返し、最終的に「ロアマスター」のロールを密かに与えられたSoleil氏を除いて、誰もコメントできなくなった。
2018年12月8日(“記録官”の登場)
メッセンジャーのDLC、「Picnic Panic」のトレーラーが公開された。トレーラーの途中では、記録官が述べていた内容を示唆する文字と、文字が刻まれた石碑が登場していた。翻訳すると、ルーン文字で「TUWHERA」と書かれていた。
the-voidでSoleil氏がTUWHERA と発言すると、「記録官」という名前の新しいメンバーがサーバーに加わった。彼はSoleil氏に礼を告げると、しばらく休むと言い残してサーバーから脱退した。
ARGの本格的なスタート
記録官はその後メッセンジャーの世界や自らに関する知識を提供するために定期的に戻ってきた。主に彼が挙げる選択肢のうち、どれを知りたいかをサーバーのメンバーがリアクションにより投票したり、彼が投げかけた質問に正しく答えたりすると情報が提供された。
始めはサーバーのメンバー全員が投票に参加できたが、あまり浮上しない人が適当に投票することで記録官の意図した投票結果にならなかった場合があったため、この件について少し荒れた後、投票はninjaロールを持つ人のみができるようになった。
2018年12月14日(店主について)
記録官がサーバーに現れ、次の3つの情報のうち、1つは真実、1つは完全に間違い、1つは重要な誤りを含んでいると話した。
×:店主はBowman(メッセンジャーの冒頭に登場した西の英雄)である
△:店主は大体店にいて、彼は物語を話してくれる
○:店主は最初の青頭巾の民であり、最初の使者でもある
投票により答えを確認したい情報が決められ、最終的に〇が最も多く、
記録官は、○は真実だと答えた。
店主のジェンダー代名詞
△については、店主のアイデンティティに関して重要な誤りを含んでいた。
作中では、店主のジェンダー代名詞は徹底して言及が避けられており、分からなかった。しかし、後に記録官が店主のアイデンティティに関して質問を受けた際、「彼女の先祖は、時計仕掛け城を作った」と話していることから、店主の代名詞はshe/her(彼女)であることが明らかとなった。そのため、△は店主のことを「彼」と呼んでいるため、誤りだった。
ちなみに店主本人は、それより前に「自分のアイデンティティに関しては匿名を望んでいるから、好きなように呼んでほしい」と話していた。
2019年1月25日(知識・目的・好奇心)
再び記録官が戻り、知識・目的・好奇心の3つの選択肢を提示した。
「知識」を選択した場合、彼が記録官となる以前はなんと呼ばれていたのかを明らかにし、「目的」を選択した場合、なぜ彼がはじめにプレイヤーに忍者の物語を見届けてもらいたかったのかを明らかにし、「好奇心」を選択した場合、ブードゥキン島で新たに発見された生き物について紹介すると述べ、コミュニティに投票を募った。
最終的に「知識」の投票数が最も多く、彼はこう答えた。
2019年2月5日(三冊の本)
記録官は3冊の本の背表紙を公開し、どれを読みたいかの投票を募った。
背表紙には、ルーン文字で上からNINJA、THE ALCHEMIST、BARMA’THAZELと書かれていた。
最終的にNINJAと書かれた本への投票数が最も多く、公開された本にはルーン文字でこう書かれていた。
※鉄頭巾(工芸家)はDLCで追加されたキャラクターで、以前から時の塔にIRON HOOD(鉄頭巾)とルーン文字で書かれた彫像があるなど、存在が示唆されていた。
記録官はこの本を公開したのち、もしこれ以外を選んだらどんな情報を提供したかについて話した。
THE ALCHEMISTは原点の物語について、BARMA’THAZELは悪魔将軍(バラマセーゼル)が片目を失う前の力とそれを失った過程について、そして選択肢にはあったが画像にはなかった×の本は、サボチーム(サボタージュスタジオ)に贈る予定の二冊目の本の表紙(次回作のタイトル)を渋々公開するつもりだったと述べた。
時計仕掛けの守り人が一時的にサーバーに参加した。彼は脱退する前、
「時計仕掛け城」というこれまで知られていなかった場所の名を口にした。
2019年2月7日
記録官は、#ninjasテキストチャンネル(現在の#ninja-village)で、最初に見届けてもらいたい物語がなぜ忍者の物語だったのかについての議論で、
「忍者の物語の登場人物に注目する必要があるとしたらどうだろう?」というメンバーの発言にリアクションをつけた。
2019年2月14日(記録官の起源)
記録官はルーン文字で、世界で起きたいくつかの大きな出来事が書かれた石板の画像を公開し、これを時系列順に並べることができたら、彼がなぜ不死となったのかを話すと述べた。石板にはそれぞれ、「数十万年の空白」「錬金術師の誕生」「数千年の空白」「ファントムの呪いの始まり」「大洪水」「忍者が巻物を運ぶ」と書かれていた。
コミュニティは話し合ってこれらを最終的に、古い順に「錬金術師の誕生」「数十万年の空白」「大洪水」「ファントムの呪いの始まり」「数千年の空白」「忍者が巻物を運ぶ」の順に並べた。
正しい回答だったため、彼は自らが不死となった理由について話した。
これ以降は、代わりに時計仕掛けの守り人がARGに関しての役割を引き受けることとなった。
2019年3月15日(守り人の役割について①)
時計仕掛けの守り人は、記録官から時計仕掛け城の中にある邪悪な物体を守るよう指示されたことをほのめかし、その後重要な名前が検閲されたメッセージを投稿したが、開発チームにより削除された。
削除されたメッセージ:「******は*****'******の特別な力を消すことができるのだろうか。」
最初のアスタリスクは青文字で6文字の長さ、2番目の単語には赤文字でアポストロフィがついていた。
2019年3月22日(悪魔王について)
時計仕掛けの守り人は、記録官から危険な旅に出かけるため#the-voidチャンネルを一時的に閉じるよう命令されたことを話した。
そして悪魔王について、メッセンジャーで戦った悪魔王はオリジナルより弱いコピーであったこと、本物の悪魔王の残骸は時計城にあることを明らかにしたが、これはすぐに開発チームによって削除された。後の時のかけら※を入手するためのクイズで、悪魔王の残骸は、悪魔の軍勢が手にすることがないように保管されていることが明らかになった。
(※後日#the-shopというテキストチャンネルが作成された。そこでは時のかけらと交換で、ARGに関する情報などを購入することができた。時のかけらはサーバーのメンバーが増えるなど、コミュニティが発展すると入手できた。)
2019年4月4日(“子供たち”について①)
時計仕掛けの守り人は、初めて「子供たち」について言及した。
彼らは時の魔法に同調しており、時計仕掛けの守り人を再構成したことが明らかになった。
2019年4月26日
コロスとサセスのARGイベントの最中、バラマセーゼルは時計仕掛け城に侵入し、悪魔王の残骸の解放を試みた。しかし、時計仕掛け城の封印が強化されたため、失敗に終わった。
Thierry氏により、これはDLC「Picnic Panic」以前に起きた出来事であることが明らかになった。
2019年5月6日(“子供たち”について②)
時計仕掛けの守り人は、彼の過去はあまり幸せではなかったこと、「子供たち」が彼を育ててくれたと話したが、メッセージは開発チームにより削除された。ディレクターのThierry氏がそれについて話すべきではないと指摘すると、彼は「すまない、私はただ彼らが恋しいのだよ。あれほどの犠牲を考えると……」と呟いた。
2019年5月7日(守り人の役割について②)
時計仕掛けの守り人は、彼は記録官の命令で動いており、主な仕事は悪魔王の残骸を守り、長いこと大洪水が起きるのを遅らせた万象の浮遊島を管理することだと話した。
2019年7月9日(記録官の巻物①)
記録官は時計仕掛けの守り人に「迷える魂の戯言」というタイトルの巻物を届けた。これがコミュニティによって解読されたあと、時計仕掛けの守り人は公式ウェブサイトにて公開された芸術家(The Artificer)のブログ投稿について言及し、これにより芸術家に関する新たな情報が明らかになった。
2019年7月19日
the-shopチャンネルで行われたテキストアドベンチャーゲームの第二章にて、「レシュアン」という名前の人物について言及された。また、キーナサンという名前の人物についても言及された。
2019年8月8日
時計仕掛けの守り人は、フレッシュマンサーがとある時系列で月を破壊した出来事について言及したが、開発チームにより削除された。
2019年9月13日(記録官の巻物②)
店主により、記録官を再びサーバーに召喚するには#the-shopに売られている文字を集め謎を解き、とある言葉を唱える必要があり、
記録官が対処しようとしている悪は、悪魔王ではないことが明らかとなった。その後コミュニティは「迷える魂の戯言 第二巻」の巻物を購入した。
2019年9月19日
「水晶玉」という名のユーザーがオンラインとなり、#scrying-orbテキストチャンネルで何かメッセージを入力しようとしている様子が見られたが、メッセージは投稿されなかった。
その後、そのユーザーのアバターが更新され、コミュニティはそのアバターに「L」の文字があることに気づいた。それを壊すか否かで激しい議論が行われた。
そして、記録官を召喚するための言葉が、「AEPORUL」ではないかと議論が行われている最中、記録官がサーバーに参加した。しかし、彼は何も発言しないまま、そのままサーバーを脱退した。
(後日コミュニティに促され、サセスが水晶玉を遠くまで蹴り飛ばし#scrying-orbが削除された。壊れてLの文字が手に入ることが期待されたが、壊れることはなく、代わりに水晶玉を永久に失ってしまった。サセスは悲しみ、サーバーから立ち去った。)
2019年11月4日(Thierry氏によるQ&A)
公式スピードランイベント「サボカップ」にて、ディレクターのThierry氏はカジュアルなランスルー配信をする途中で、視聴者からの多くの質問を受け付けた。
まず、以前記録官が公開した3冊(実際には4冊だった)の本のうち、選ばれなかった本について更なる詳細を明らかにした。
THE ALCHEMISTの本では、記録官の名前が明らかになった。
BARMA’THAZELの本では、Bowmanがバラマセーゼルの目を射貫き、石化する能力を無効化したことに関するエピソードが明らかになった。
(以前ARGにより、バラマセーゼルが片目を失う前は特別な力を持っていたこと、Bowman(西の英雄)はバラマセーゼルの目を射貫くことに成功したものの、石化されてしまったことが明らかになっていた。)
Thierry氏は、コミュニティが忍者の本を選択したのはある意味正しい選択だったと指摘した。この本は雄叫び洞に入った忍者についての話だったが、最後の「彼の真下には…」の部分は、忍者が自分の真下にある海底神殿の重要性を知らなかったことに関係するヒントであり、記録官が始めにメッセンジャーの物語を見届けてほしいと思ったのは、忍者が海底神殿を訪れたからだった。海底神殿と歪んだ未来は、記録官がプレイヤーに注目してもらいたい主な要素だった。
視聴者からエフォラルの正体について質問されたが、彼は、「記録官が既にネタバレしてるよ」と答え、続けて「これには暗い内容が含まれているから、これについて話し合うのは不適切だ」と述べ、質問をスキップした。
記録官から手渡された「一冊目の本」は、サボタージュスタジオにより「The Messenger」に翻訳されたが、「二冊目の本」は、一冊目より分厚いことを明らかにした。
2019年9月18日(守り人について)
時計仕掛けの守り人は、彼は元々非常に暗い目的のために作られ、解放された後、「子供たち」が彼をより人々に歓迎されるデザインに改良してくれたことを話した。
2019年11月7日(記録官の巻物③)
時計仕掛けの守り人は、モデレーターであるKammesennin氏を介して三つ目の巻物を公開した。
2019年11月22日(二冊目の本)
テキストアドベンチャー第三章にて、バルトレイドの名前が言及され、
フレッシュマンサーの名前が「エフォラル」であることが明らかとなった。
最後にテキストアドベンチャー内で不死の錬金術師、レシュアンが登場し、「二冊目の本」を手渡した。
その本のタイトルは「至点の子供たち」だった。
次回:
おまけ
レシュアンやエフォラルなどSea of Starsに直接繋がるような箇所だけとまとめましたが、他にもThe Messengerのキャラクターに関する情報はARGで多く語られているため、引用元の記事も目を通しておくと良いかもしれません。
これまでのARGで確定していた情報ですが
ゲーム本編でも
どちらのセリフでも
「パートナー」と表現しています。
二人はかつて恋人でした(あるいは今でも)
それが言いたかっただけかもしれない