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文系出身のITエンジニアは大学で学び直すべきか?

僕は文系出身のITエンジニアで、仕事上、それで困ったことは無いけれど、違和感は残っていた。ITエンジニアがふさわしい学部って何だろう。僕が高校生に戻ったとしたら、どの学部を選べば良いのだろうか。

ITエンジニアと言ってもその仕事内容は幅広い。大まかに分類すると、デザイン、システム、インフラの3つに分けられるだろう。

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デザイン領域

デザインとは、ここではUXやUIの設計を意味する。プロダクトマネージャーが何を作るか、Whatを決めるのに対して、ITエンジニアはそれをどう作るか、Howに着目する。

デザインとは、企業活動をシステムに翻訳する作業であり、対象となる業務の知識が欠かせない。一方でシステムの知識については、基本的なアーキテクチャが理解できていれば十分だ。

そうだとすると、大学の学部選びとしては、経営学部のような文系の学部がふさわしいと言える。文系出身のITエンジニアは、業務知識や企業活動に対する洞察力が、キャリアの強みになるだろう。

システム領域

次にシステムの領域について考える。ここでシステムとは、デザインを実現する作業であり、いわゆるアプリケーションを意味する。情報そのものを扱うIT (Information technology) の中核である。

狭い意味でITエンジニアといえば、システムを構築する人に他ならない。それでは、大学でシステム構築を学ぶことができるだろうか。

確かにアプリケーションを作ることはできる。しかしながら、教材となるようなシステムの要件は途中で変わることはないし、期間やコストも容易に調整可能だ。現実はその逆である。

開発チームを組んだとしても、気心の知れた仲間であって、クセの強いベテランや、異なる文化を持つオフショアメンバーはいない。チームマネジメントを実践的に学ぶことは難しいだろう。

システム構築のキーとなるのは、実はマネジメント能力である。プログラミングは独学でも十分だ。そうだとすると、システム構築について、大学の貴重な4年間を費やす必要はない。学校の4年より現場の1年の方が、学びが多いだろう。

インフラ領域

それでは、インフラについてはどうか。インフラとはここでは、OS、ミドルウェア、フレームワークなどのソフトウェアを指す。システム構築の基盤となる技術だ。AI技術などもここに含めて良い。

大学では、情報学部でインフラの領域を学ぶことができる。しかしながら、日本の大学では、インフラの背景にある理論を学び、ロボットや電子機器など”モノ”に対して研究する傾向が強い。日本の基幹産業が製造業であることにも由来すると思う。

これに対して、サービス業が求めるインフラの知識とは、理論ではなく実践である。ゼロからの開発ではなく、デファクトスタンダードを組み合わせて効率良く開発する力が必要だ。クラウド技術によってインフラのサービス化が進んでおり、ますますその傾向が強まっている。

GoogleやAmazonがそうであるように、インフラそのものがサービス業として成立しており、インフラは成長産業である。市場規模も大きい。インフラの領域を学ぶのであれば、海外の大学に進むべきと思う。

終わりに

以上を振り返ってみると、文系出身のITエンジニアというのは特別な存在ではないし、僕自身はデザインの領域で仕事をしたいから、高校生をやり直しても、大学はやっぱり文系を選ぶと思う。


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