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試着室で何を思い出すのか。 - 服に悩む彼女たち

こんにちは。
最近は台風が去ってまた台風、秋と夏を行ったり来たりして服装に迷う時期ですね。

台風を見送る最中、暴風の音におびえながら尾形真理子さんの著書
「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」
を遅ればせながら読み、考えを巡らせていました。
(以降ネタばれあり。ご注意ください。)

作中に登場する東京の各所に懐かしさを覚え、登場人物と過去にすれ違っていたような、本の世界と自分が生きる世界が交差する感覚に陥りました。

作品に登場した彼女たちは、おとぎ話のヒロインでもプリンセスでもない、東京でありふれた日常を生きる素敵な女性たち。きっと今も東京で、仕事に恋に奔走しているに違いない。
そんな彼女たちは、服にまつわる体験の中で自分の心と向き合い様々な気付きを得ます。試着室の鏡が自分の心を映し出すことも。

きっとあの物語は、クラスメイトのあの子の、10年来の付き合いのあの子の、放課後一緒に遊びまわったあの子の日常。

恋をしているあの子は、
年中ダイエットに励むあの子は、
服なんて着れれば何でもいいというあの子は、
試着室で何を思うのだろう。

自分に身近な彼女(友人)たちに、尋ねてみたい。

物語に登場した彼女は、愛する彼に自分にしかない個性を見てほしいと、ネットで見つけたドレスを試着しに家を飛び出しました。
誰かに見てほしい自分の一部として服を選ぶのか、服に背中を押してもらうのか、はたまた単純に自分の好きな服を選ぶのか…。

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自分を表す服は人それぞれ。
服を着ないという選択肢は無いけれども、何を着るかによってその瞬間の心持ちがずいぶん変わるもの。着るか着ないかの選択権は無いのに、何を着るかはときに難題。たかが洋服、されど洋服です。

ときに試着室でがっかりすることもあるはず。
あのモデルさんが着ると可愛いのに…
コンプレックスが悪目立ちする…
思っていたのと違う…

自分と服とがちぐはぐでしっくりこないあの感覚は、なんだか切ない。
服がかわいく見える代わりに、自分のコンプレックスを理由に自分にはこんなかわいい服を着る資格がないとさえ感じてしまうことも。

試着室は自分一人で鏡に向き合う空間。選んでいる服をどこに着ていくのか、だれに会うのか、なんの為の服なのか、状況に応じて試着室での心境も違うはずです。

自分の身体にコンプレックスがあるというあの子は、他の人の身体に対しては何も思わないのに、自分のそれだけ醜く見えてしまうのだそう。
洋服の広告を見てお店に吸い寄せられたというあの子は、モデルさんの写真のように着こなせない自分にがっかりしたとか。

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私はというと、実は試着室が苦手。
服は何カ月も悩んで本当にしっくりくるものだけを買います。だからこそ、これでいいのか、という疑問が残るものは絶対に買わないし、似合うかどうかよりも、好きなら買う、そうじゃないなら買わない。
試着室で試すのはサイズ確認のためだけで、あまりあれこれと考えることがありません。なぜなら試着室の中にいると自然と急かされたような気になってしまうから。
店員さんの、あの言葉。
「いかがでしょうか?」「あら、とってもお似合いですよ。」
お世辞を聞くと反対に、似合わないと言われたような気がするから不思議です。それに、自分の意見だけで選んでいるはずなのに、どこからか自分を惑わせる声が聞こえてくるような気さえしたり。

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私はひとに会うとき、会う相手と行く場所、目的や時間によって服装を選びます。自分の好きな、気分が上がる組み合わせで。コーディネートじゃなく、スタイリングじゃなきゃ。
予定が女子会なら、大胆なスタイルにチャレンジしたり、
家族で出かけるなら気取らないムードでカジュアルに。
デートなら、自分が自分らしくいられるような、心がリラックスする服を選びます。
でも、どんなに悩んで服装を決めても、家を出てから後悔することもしばしば。結局自己満足で、誰も自分の服装を気にしていないのは、重々承知。
それでも、自分が選んだはずの服たちに支配される気がするのは、きっと気のせいじゃない。

一方、服装に悩むのも悪い事ばかりじゃない、そう思わせてくれたのは、本に登場するこの言葉。

あしたの服を悩むのは、あしたを夢みるからなんだ。

尾形真理子(2014)

また、あるYouTuberが言いました。
「女の子は、自分に自信を持っているときが一番かわいい。だから、自分らしく感じられる、自信をくれる服をデートに選んだらいいんじゃない?」

確かに…。

だったら、あしたの服に悩んでも、試着室で自信を失っている場合じゃない。それはあしたがデートでもプレゼンテーションでも入社試験でも同じでしょう。服装に悩むのは、自分にとってそれだけ大事なことが控えているから。あしたを夢みていなければ、服装なんてもっとどうでもよかったのかも。

そういえば私のバイト先の方も、同じようなことをおっしゃいました。

「○○ちゃんはいつもおしゃれな服装を選んできて働きに来てくれるよね。私は○○ちゃんがおしゃれなのも嬉しいけど、おしゃれしようという心構えがもっと嬉しいよ。」

そっか。確かにね!
私はなんて優しい上司を持ったんだろうと自分を幸運に思いながら、その言葉の意味に納得しました。自分の勝手な趣味のはずが、他者に感謝してもらえることもあるんだな、なんてラッキーなんだろう!そんな気持ちをかみしめて、あぁ、ファッションが好きでよかった!と思ったのでした。

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なぜ試着室で複雑な気持ちになるのか。
なぜ服に悩むのか。
十人いれば十通りの答えがきっとあるでしょう。

自己満足で結構。
他人受けより自分受け。

それでも、その日を一生懸命生きるために、
より良い一日にするために、
服に願いを込めて勝負をかけるから。だから服に悩むんだ。
これが私の場合の答えでした。

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皆さんはどんな風に服装を選ばれますか?

皆さんの夢みる明日が、昨日夢みた今日が、
明るく素敵なものであることを願っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました!:)

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P.S. そういえば、第一作目の記事を読んだ皆さんの中に、感想を送ってくれた方々がいました。とっても嬉しかった!ありがとう。もしよかったら、何か考えたことや思ったことを何でも教えてください。大喜びします:)


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