「社内SE」がSEの最終キャリアだと思っていた時期が私にもありました
社内SE。
それは世の中のSEなら誰もが憧れるポジション。だったのは、過去の話だ。サービスを開発する一般のSEとの大きな違い(メリット)は、やはり技術との”いたちごっこ”から解放される点。これが実にデカい。
いまやIT技術は日進月歩で進化を続けている。去年の技術はもう古くなる。新卒2年目の新人が、新技術を引っ提げてプロジェクトのジョインしてきやがるもんだから、10年選手のベテランも必死に新技術の習得をしなければならない。
そんな終わりのない“いたちごっこ”から解放されるのが、社内SE。一生勉強しなければならないプレッシャーから解放されることで「安息の地」としてSEたちが目指す最終キャリアの位置付けになっていた。
二度言うが、これは過去の話。いまは、そんな安息の地にたどり着いた技術者たちが、「仮想化環境」というニューノーマルに取り残され、四苦八苦している現実がある。
きっかけは、新型コロナの流行によるリモートワークの常態化だ。
ITエンジニアが転職先を探すとき、昨今は新型コロナの影響もあってか転職サイトのフリーワードに「在宅勤務」と入れる人が多いようだ。
■リクナビNext「みんなが検索したキーワードランキング」より
https://next.rikunabi.com/rk02/?__m=1603200665229-2376998930373115572
上記URLのランキングを見ると、11位に在宅勤務の文字がある。新型コロナの影響もあってか、在宅勤務ができる環境を皆求めているらしい。
そんな新型コロナの時代で、未だにニューノーマルの環境変化に追い付けていない多くの企業が存在するのもまた事実。在宅勤務を想定しておらず、かつ「意外とすぐに新型コロナ収まるんじゃない?」とタカをくくり、仮想化環境が構築できていない「中小企業」の社内SEが一定いる。
「そんなん、やったったらええやん!」
その通りだ。仮想化ソフトは無償で提供されているし、ネットで少し検索すればマニュアルが大量に出てくる。OSが比較的最新であれば、MacだろうがWindowsだろうがもちろんLinuxだろうが、大体なんでもイケる。
しかし、上述した「中小企業」の社内SEを対象にすると、これがなかなか実現できない。気軽に仮想化環境を構築できない理由は概ね以下だ。
(1) 未知のものに触れるのが怖い
(2) 誰にも指示されないからやらない
(3) 勝手にやって責任を押し付けられるのが怖い
(4) 仮に成功しても評価にならない
(5) インフラは基本にベンダーに任せていた
特に、ITサービスを提供する企業であればまだしも、それ以外の事業会社であれば特に仮想化への理解は困難を極める。
「仮想化にしたいと思います」なんて急に言っても役員たちにハトが豆鉄砲を食らったような顔し、二言目には「そこまでお金かけて費用対効果は?」だ。
成功すれば、そこで利便性を理解してもらえるだろうが確かに業務が飛躍的に楽になるかと言われると、自分があまり理解できていないから説明できない。そして、失敗したら「どうしてくれる」と罵詈雑言を一身に受けることになる。まさに、ハイリスク・ローリターン。
しかし世の中は仮想化技術こそ求められる技術であり、いま取り組むべき課題。社内SEだからと言って生涯安泰を決め込むのでなく、エンジニアである以上、技術から逃げるべきではない。技術をもっと好きになり、スキルを高めていくことを忘れてはならないのだ。
コロナ禍では各社企業が経験者を求めるようになった。以前のように、未経験者が優遇されるマーケットではなくなってきている。もし再び世の中に大きな影響を及ぼす不況が訪れたとき、転職の選択肢を迫られるかもしれない。その時に、自分が胸を張ってスキルや経験をアピールできるか、胸に手を当てて考えてみよう。
【プロフィール】Game&Watch
新卒で入社したのはゲームの開発会社。約3年勤め退職後はカメラマン兼ライターとして人材業界の広告代理店に入社。ITやガジェット、ゲームが大好き。パソコンはお友達。テクノロジーのトレンドや働く意味を常に考え続けている。